著者
田代 浩二 海野 美奈子 永瀬 茂 寺前 裕之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.11, pp.1404-1408, 1986-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

Allingerの分子力場計算(MM2)のための飽和ケイ素化合物の力場定数を,分子軌道法を用いて決定した。決定した力場定数を用いて計算した構造と生成熱は実験値およびab initio計算値と非常によい一致を与えることを示した。ケイ素化合物の構造と安定性を明らかにするために,環状化合物としてヘキサシラシクロヘキサン(Si6H12)とその誘導体を,鎖状化合物としてボリシランSinH2n+2(n=1~30)を取り上げ,類似の炭素化合物と比較した。ケイ素化合物の立体配座異性体間のエネルギー差は炭素化合物の場合よりもきわめて小さいことを見いだした。とくに興味深い結果は,直鎖パラフィン(CnH2n+2)では炭素鎖がまっすぐに紳びた直鎖構造をとるのに対して,ポリシランではn=7以上になるとケイ素鎖がらせん構造をとることである。
著者
鈴木 光明 山田 道夫 前田 優 永瀬 茂 赤阪 健
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-78, 2016-04-30 (Released:2016-04-30)
参考文献数
37

For the structure determination of endohedral metallofullerenes (EMFs), X-ray crystallographic study is very powerful because it provides detailed information of the positions of encapsulated species as well as the cage structures. We have reported a number of X-ray crystal structures of EMFs and their derivatives, which are in good agreement with those suggested by theoretical calculations as well as NMR analyses. Herein we show the importance of interplay between experiments and theoretical calculations for the structure determination of EMFs by taking up La@C82, Gd@C82, and Sc2@C66 as the representative examples.
著者
永瀬 茂 小林 郁 工藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.177-184, 1994-03-10
参考文献数
40

ゲルマニウムを骨格にもつ芳香族化合物,多面体化合物,ラジカルカチオンの特性をab initio分子軌道計算を用いて理論的に研究した.具体的には,(1)ベンゼンと多環式芳香族化合物のナフタレン,アントラセン,ナフタセンおよびペンタセンの骨格炭素をすべてゲルマニウムで置換したときの構造と電子的特性,(2)ゲルマニウムを骨格にもつテトラヘドラン,[n]プリズマン(n=3-10),ドデカヘドランなどの多面体化合物の歪みエネルギー(3)シクロトリゲルマン,ビシクロ[1.1.0]テトラゲルマン,ペンタゲルマ[1.1.1]プロペランおよびヘテロ原子置換体のイオン化による興味深い構造変化を明らかにした.ゲルマニウム骨格の特性を系統的に明らかにするために,対応する炭素,ケイ素,スズおよび鉛化合物とそのラジカルカチオンの同様な計算結果とも比較した.これらより,ゲルマニウムに特有な興味深い物性と新規な構造をいくつか予測した.