著者
石本 健太 山田 道夫
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第60回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.236, 2011 (Released:2011-09-29)

Stokes 流体中を形状変形によって移動する生物について,生物の慣性がゼロ の極限で成り立つPurcellの帆立貝定理(scallop theorem)が知られている。 この定理は,流れの時間変化項が無視できる場合,形状変形が帆立貝の運動の ように往復運動であるときについて,一周期に移動する距離がゼロであること を示している.ここではまず生物の運動が回転を含まない場合を扱い,生物が 有限の小さな質量をもつ場合を摂動的に議論して帆立貝定理の破れを解析的に 調べる.その結果,生物の質量のゼロ次では帆立貝定理が成り立ち,一周期の 移動距離は一般には1次のオーダーで現れること,しかし対称性の良い場合には 1次のオーダーでも消失が起こり移動距離は2次のオーダーとなることを見出した. また運動が回転を含む場合についても、一般的な理論的枠組みを定式化し, 帆立貝定理と生物の慣性による定理の破れを議論する.
著者
山田 道夫
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.141-151, 2001-06-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
16

Weakly nonlinear theory of fluid motion is discussed in relation with pattern formation phenomena in fluids. In nonlinear stability theory of parallel flows, Landau-type equation is obtained by growth-rate expansion method around the critical point, while in subcritical case it is obtained by amplitude expansion method in which the solvability condition is replaced by an exact definition of the 'amplitude'. In the case of falling film flow, amplitude equations derived so far do not agree well with experiments, and a new expansion method of Pade type proposed by Ooshida is successful although the method is not yet fully understood in mathematical sense. In the Benard convection problem, an order-parameter equation describes the weakly nonlinear stage, and some reduced amplitude equations are derived from this equation. Even in strongly nonlinear stage, pattern formation phenomena are often observed as in the two-dimensional turbulence on a rotating sphere where a circumpolar jet appears from a turbulent initial flow field.
著者
山田 道夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.434-440, 2005

今から40年前, 今井先生は流体力学を通じて数学を理解・研究することを「流体数学」として提唱された.その後の数値的技術の発展は, 数学だけでなく, 多くの諸分野と流体力学の関係に大きな影響を与えつつある.数値解析や新しい実験・観測によって, さまざまなマクロな物理現象において多様な流体運動が発見され続けており, その物理的機構には未解決なものが多い.それら多様な分野における流れに物理的理解を与えることは, 基礎科学としての流体力学/物理学の大きな課題となっている.
著者
鈴木 光明 山田 道夫 前田 優 永瀬 茂 赤阪 健
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-78, 2016-04-30 (Released:2016-04-30)
参考文献数
37

For the structure determination of endohedral metallofullerenes (EMFs), X-ray crystallographic study is very powerful because it provides detailed information of the positions of encapsulated species as well as the cage structures. We have reported a number of X-ray crystal structures of EMFs and their derivatives, which are in good agreement with those suggested by theoretical calculations as well as NMR analyses. Herein we show the importance of interplay between experiments and theoretical calculations for the structure determination of EMFs by taking up La@C82, Gd@C82, and Sc2@C66 as the representative examples.
著者
山田 道夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.434-440, 2005-06-05
参考文献数
13

今から40年前, 今井先生は流体力学を通じて数学を理解・研究することを「流体数学」として提唱された.その後の数値的技術の発展は, 数学だけでなく, 多くの諸分野と流体力学の関係に大きな影響を与えつつある.数値解析や新しい実験・観測によって, さまざまなマクロな物理現象において多様な流体運動が発見され続けており, その物理的機構には未解決なものが多い.それら多様な分野における流れに物理的理解を与えることは, 基礎科学としての流体力学/物理学の大きな課題となっている.
著者
金子 晃 笠原 勇二 竹尾 富貴子 菊地 文雄 山田 道夫 三村 昌泰 成田 希世子 塚田 和美 真島 秀行 松崎 克彦 山本 昌宏 北田 均 バランディン アレクサン 薩摩 順吉
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

偏微分方程式の基礎理論の研究においては,ジェブレイ級の解の接続問題において,接続可能性を方程式の特性帯の重複度とジェブレイ指数に関連付けた新しい結果を得た.解の漸近挙動・スペクトルの研究では,定数係数線型偏微分方程式が劣指数的増大度の解を持つための条件を追求し,リウビユの定理の拡張を得た.また,枯草菌のコロニーパターン形成過程の数理モデルを提出し,計算機によるシミュレーションにより2次元パターンを再現し,それが相転移的メカニズムで起こることを明らかにした.さまざまな逆問題の研究では,双曲型方程式に対する逆問題の一意性を係数の正則性を弱めた形で導き,逆問題のリプシッツ安定性を最も望ましい形で示した.また,密度一定の2次元図形について,2方向からの投影データによる再構成問題の一意性が成り立つ場合に,その離散化版の実用的な再構成アルゴリズムを与え,安定なことを示した.一意性が成り立たない場合に適当な重み函数を見出してそれを最大にする解を計算機により探索し,非常に面白いパターンが得られることを発見した.偏微分方程式の数値解析的研究では,中厚平板のモデルであるライスナー-ミンドラン平板に対して新しい安定化混合型4辺形有限要素を開発し,ロッキングを起こさずに薄板モデルに漸近することを検証した.また,乱流のシェルモデルにおいて,相似則を満たすカオス解を追跡しリヤプノフスペクトルを得,それが波数空間において特徴的な波数の周辺にのみ大きな値を持つことを見出した.このアトラクタ次元が大きな極限での漸近表式を導き,数値計算との良い一致を検証した.更にスケール変換に対して不変な積分作用素に適合する双直交ウェーブレットを構成し,応用を与えた.また,修正8節点セレンディピテイ要素が3次の補間誤差を持つことを示し,具体的な問題に対する有効性を確認した.