著者
永田 晋治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.168-176, 2013-03-01 (Released:2014-03-01)
参考文献数
60

昆虫が,環境に適応し,正確に成長し,そして繁殖するためには,各成長段階においてライフイベントに関わる行動が規定されている必要がある.つまり,脱皮,摂食行動,生殖行動,社会行動などは,生命や種の維持のための重要なメカニズムなのである.現在,昆虫の内分泌学的な行動制御の仕組みが明らかになりつつある.ここでは,これまでに明らかにされた昆虫の行動を制御する一連のホルモンと,その作用のメカニズムを脱皮,摂食行動,生殖行動をメインに簡単に紹介した.
著者
永田 晋治
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の実験対象であるフタホシコオロギの共食いでは、触角を介し被捕食者の体表の脂溶性成分を認識することが分かった。実際に、体表をヘキサンで拭うと被捕食者になる。体表の脂溶性成分のGCMS分析では、主に13種の炭化水素を同定した。化学構造から推察される生合成酵素群をRNA-sequencingにより探索し、その遺伝子群をRNAiにてノックダウンすると、同種異種の認識に変化が認められる。フタホシコオロギの「共食い」行動では、フタホシコオロギで固有の体表脂質成分の変化が捕食者と被捕食者の関係性に導かれることが分かった。
著者
永田 晋治 清家 瞳
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.31-37, 2021-04-01 (Released:2021-04-22)
参考文献数
66

昆虫の摂食行動も,他の生物と同様に内分泌系により支配されている。ペプチド性因子はその中心的役割を担い,エネルギー恒常性を維持している。栄養分依存的なメカニズムとしては,他の生物と同様,インスリン様ペプチド (ILP)と脂質動員ホルモンAKH(グルカゴンの昆虫におけ る機能的アナログ)により血糖値や体液中の脂質レベルを調節する。その上流や下流では,他のペプチド性因子が機能し,ホルモンリレーを作り,様々な栄養条件に対応できるようになっている。また,摂食行動に重要とされている各組織には,内分泌細胞が存在し,ペプチド性因子と摂食行動との強い関わり合いが予想できる。これらのペプチド性因子は,腸管の蠕動運動を調節することが知られているので,腸管の蠕動運動や口の動きなど摂食行動にかかわる運動はペプチド性因子が直接制御していると考えられる。 つまり,ホルモンによる統合的な調節メカニズムが摂食行動を制御しているのであろう。
著者
永田 晋治
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

昆虫の摂食行動に関わる生体内分子の探索を行なった結果、カイコ(Bombyx mori)の幼虫から新規のペプチド性因子を2 つ見出すことができた。ともに機能は未知であるが、脂肪体で発現し体液中に分泌するペプチドであり摂食行動や栄養要求に関連することが示唆された。