著者
岡村 聡 永田 秀尚
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S93-S102, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
33
被引用文献数
1

本コースでは,小樽から積丹半島東海岸に分布する多様な水底火山噴出物を見学し,それらの産状観察から海底火山活動の定置環境や噴火機構について考察する.これらは新第三紀中新世に活動した玄武岩,安山岩,流紋岩の多様な岩石種からなり,変質作用や変形をほとんど受けていない.特に玄武岩質マグマの噴出による枕状溶岩や溶岩噴泉によって降下堆積した水冷スパッターの産状など,浅海下で生じた火山噴火の定置環境の復元が可能な地域である.本地域に分布する新第三紀の水底火山噴出物は,高く連続する海食崖を形成しており,そこではしばしば岩盤崩壊が発生している.岩相的にはそれほど大きな差はないが,海食崖の高さや波食ノッチの発達程度,既存の亀裂の頻度や方向性,風化程度などの地形的,地質的な条件の違いによって,さまざまな規模や破壊,運動形態の異なる岩盤崩壊が発生しているのを観察する.
著者
永田 秀尚 小嶋 智
出版者
日本山の科学会
雑誌
山の科学 (ISSN:24357839)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-12, 2023 (Released:2023-02-06)

上高地,梓川左岸斜面での地質調査によって,重力変形体の内部構造が明らかになった.変形体の基岩は,ジュラ紀付加体美濃帯の主として泥岩からなる.層理面は北北東-南南西走向をもち,分水界の尾根にほぼ平行である.また地層は西に高角度で傾斜しており,これによって岩盤は地表面傾斜より面構造が急な逆目盤構造となっている.変形体内部では,その上部で岩盤のゆるみが大きいほど層理面傾斜が低角度となり,また下部では層理面が東傾斜となっている.したがって変形体は全体的にはS字状の断面構造をもつ.厚さ100 mあるいはそれ以上に達するこのような構造は,おそらく岩盤の弾塑性的な挙動による座屈あるいは塑性的な流動によって形成された.
著者
岡村 聡 永田 秀尚
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.S93-S102, 2007
被引用文献数
1

本コースでは,小樽から積丹半島東海岸に分布する多様な水底火山噴出物を見学し,それらの産状観察から海底火山活動の定置環境や噴火機構について考察する.これらは新第三紀中新世に活動した玄武岩,安山岩,流紋岩の多様な岩石種からなり,変質作用や変形をほとんど受けていない.特に玄武岩質マグマの噴出による枕状溶岩や溶岩噴泉によって降下堆積した水冷スパッターの産状など,浅海下で生じた火山噴火の定置環境の復元が可能な地域である.<br>本地域に分布する新第三紀の水底火山噴出物は,高く連続する海食崖を形成しており,そこではしばしば岩盤崩壊が発生している.岩相的にはそれほど大きな差はないが,海食崖の高さや波食ノッチの発達程度,既存の亀裂の頻度や方向性,風化程度などの地形的,地質的な条件の違いによって,さまざまな規模や破壊,運動形態の異なる岩盤崩壊が発生しているのを観察する.
著者
永田 秀尚
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.53-61, 2002-06-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
45
被引用文献数
2 1