著者
柏木 健司 瀬之口 祥孝 阿部 勇治 吉田 勝次
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.8, pp.521-526, 2012-08-15 (Released:2012-12-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1

This paper describes Saru-ana Cave, located along Kurobe Gorge in the Kanetsuri area, eastern Toyama Prefecture, central Japan. Saru-ana Cave (total passage length, ca. 120 m; relative height, ca. 40 m) opens onto a steeply inclined cliff face, 75 m above the bed of the Kurobe River. The cave consists of horizontal to inclined rooms and vertical shafts. Speleothems in the cave, although not abundant, include cave corals, flowstones, soda straws, stalactites, and a stalagmite. Fossil specimens of six Japanese Macaque individuals (Macaca fuscata) were collected from the cave for paleontological investigation.
著者
柏木 健司
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.221-238, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
66

1900年代前半(1900~1945年)の黒部峡谷における哺乳類相について,登山家による山行記録を用いて情報を整理した.当時の黒部峡谷流域で,イノシシSus scrofa,ニホンカモシカCapricornis crispus,ツキノワグマUrsus thibetanus,ニホンザルMacaca fuscata,ニホンテンMartes melampus,タヌキNyctereutes procyonoidesないしアナグマMeles anakuma,ニホンノウサギLepus brachyurus,ニホンリスSciurus lis,ムササビPetaurista leucogenys,翼手類の一種の記録がみられる.当時の主たる狩猟対象はツキノワグマとニホンカモシカであり,その他にニホンザル,ニホンリス,ムササビ,タヌキないしアナグマなども対象とされていた.1900年代初頭におけるイノシシの確実な記録として,黒部峡谷の最下流部に位置し,現在は宇奈月ダムのダム湖に沈んでいる柳河原が挙げられる.山行記録中の哺乳類情報には,日時と場所を伴う観察記録が多く含まれる.さらに当時,登山家が雇用した山案内人は,猟師や釣り師を生業としていたことから,登山家に哺乳類や狩猟に関する多くの情報を伝え,登山家は積極的にそれら伝聞を文章として残した.山行記録中に記されている哺乳類は,目につき易く狩猟対象ともなっている中・大型哺乳類に限定されている.一方,1900年代前半の黒部峡谷の哺乳類相について,研究者による研究報告は極めて限定的である.登山家の記した山行記録は,1900年代前半の中・大型哺乳類相の情報源として極めて有用である.
著者
柏木 健司 山際 延夫 八尾 昭 江崎 洋一 酒折 有美子 庄司 康弘
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.5-16, 2002
参考文献数
58

1)紀伊半島西部, 和歌山県広川町の黒瀬川帯に分布する, 池之上層中部層に含まれる鳥巣式石灰岩から, 刺胞および海綿動物化石を報告した.刺胞および海綿動物化石の指示する年代はジュラ紀新世である.2)池之上層中部層の大部分は, 炭酸塩マウンド周辺に堆積した陸源砕屑岩が卓越する部分に相当する.炭酸塩マウンドそのものは1箇所でのみ認められる.散点的かつ小規模に含まれる鳥巣式石灰岩は, 岩酸塩マウンドから重力流により運搬され, 陸源砕屑岩中にブロックとして定置した.3)Kimmeridgianの頃, 陸側から古生代後期の緑色岩-石灰岩の巨大オリストリスが海溝陸側斜面上に多量に供給された.厚層のオリストストロームの堆積は, 海溝陸側斜面の浅海化を促進させた.4)Tithonian〜Berriacianにかけて, 海山列の付加に伴って海溝陸側斜面が急激に上昇し, 広範な浅海域が形成されるとともに, その浅海域に池之上層中部層や由良層などの鳥巣層群相当層が堆積した.
著者
横山 俊治 柏木 健司
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

四国山地では付加体の硬岩が滑っている.四国山地の尾根は、至る所で、約100年に一度発生する南海地震によって裂けている.この裂け目に流れ込んだ雨水が特定の岩相の地層を劣化させ、劣化した地層には初生地すべりのすべり面が醸成されていく.付加体地すべりは尾根の裂け目から滑り出し、地すべり末端の侵食がなくても滑動を続ける.