著者
辻 盛生 軍司 俊道 江 東 平塚 明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.179-182, 2006-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

多自然型川づくりにおいて,植生ブロックと覆土によって緑化が行われる事例が多く見られる。岩手県遠野市 (旧宮守村) を流れる宮守川における植生ブロックと覆土による事例を調査した。その結果,水際部の覆土は失われ,定着する植物は陸生の外来種が多い傾向が見られた。水際部の植物群落は,水辺エコトーンとして多様な機能の発揮が期待できるが,そのためには水域に進出し,水との接触が可能な種の定着が必要である。水辺エコトーンの早期形成と,陸生の外来植物優占の回避とのために,現地周辺に自生する水域に進出可能な植物の植栽が一手法として有効であることが明らかになった。
著者
江 東林
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本年度では、デンドリマールテニウムポルフィリン錯体中心のルテニウム上で、赤外照射により酸素分子の活性化が触媒的に起こるという特異な現象を見いだした。一連のサイズの異なるデンドリマールテニウムポルフィリン錯体をピリジンと共存させ、系内に酸素をバブリングしながら、赤外線を照射した。その結果、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリン錯体の系では、酸素添加反応が起こり、触媒的にピリジンオキシドを与えました。これに対して、サイズの小さなデンドリマールテニウムポルフィリンを用いた場合、ピリジンオキシドの生成は全く観察されなかった。また、基質として、ジメチルスルファイドを用いた場合も、上述と同じ現象が観察された。詳しい検討から、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリンは赤外線捕集アンテナとして機能し、吸収した赤外線エネルギーをコアに送り込み、化学反応を引き起こすということが分かった。これは、今まで全く利用されることのなかった赤外線を用いた分子状酸素活性化のアプローチであり、新しいタイプの人工光合成と言える。