著者
住居 広士 江原 勝幸
出版者
県立広島大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.57-63, 1998-03

我々は, 要介護高齢者における介護支援量を示す介護度と日常生活自立度との関係を検討した。介護度は, 介護業務における関わり度・困難度・必要度の介護評価で数量化して設定した。それと厚生省の障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)と痴呆性老人の日常生活自立度(痴呆度と略す)との関係を検討した。1995年12月の西日本における配票調査で, 要介護高齢者1208名を分析した。寝たきり度が増悪すると介護度も上昇していた。寝たきり度B-2で高値となり, C-1で若干低値となって, C-2でさらにB-2より高値となる二相性の傾向を示した。介護度と寝たきり度との相関係数は0.245で若干の正の相関を認めた。介護度と痴呆度では, 痴呆度が高くなるに従って次第に介護度も高くなる傾向を認めた。介護度と痴呆度との相関係数は, 0.277で若干の正の相関を認めた。介護度とBarthel Indexは-0.254,老研式活動能力指標とは-0.240と若干の負の相関関係を認めた。寝たきり度と痴呆度等の心身の障害により, 相加的には介護度が上昇するも, その相関関係は低かった。日常生活自立度は, 心身の障害度を捉えてだけでは, 個々の生活での介護支援量は把握できない。介護保険制度において, 障害モデルによる日常生活自立度や要介護度(要介護状態区分等)だけでは介護支援量を判定できないので, 介護モデルによる介護度を新たに構築する必要がある。
著者
江原 勝幸
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

最終年度は、4年間の助成期間の集大成として、地域での対応が進まない要配慮者支援という地域課題に対し、地域住民と福祉従事者等の専門職が連携して取り組む要配慮者支援をテーマとする宿泊型防災訓練の実施及びその検証を目的とするシンポジウムの開催を通じて静岡市駿河区西豊田地区における住民支え合い支援体制モデルを確立することができた。平成27年度の研究費助成採択が10月と遅れたため、27年度は研究準備期間として、地域住民や関係者との打ち合わせや活動の中心となる「西豊田学区地域支え合い体制づくり実行委員会(以下、実行委員会)」組織化の準備を進めた。平成28年度から、研究代表者を中心に月に1回の実行委員会を開催し、地域での要配慮者支援の課題や対策を協議し、要配慮者の特性や災害時に求められる配慮を学ぶワークショップや障害児・家族が参加する宿泊体験などの参加型防災教育を取り入れ、その結果に基づく実践的な宿泊型防災訓練を継続実施してきた。また、この参加型防災活動を振り返り、課題や対応を検証する要配慮支援シンポジウムも毎年開催した。宿泊型防災訓練のプログラム内容も毎年バージョンアップを重ねてきた。平成28年度は指定避難所での福祉スペースの確保・対応を実践し、平成29年度は住民の自主的な福祉避難所の開設・運営訓練の実施、そして平成30年度は平成30年3月に改訂された『静岡県避難所運営マニュアル』に即して避難所運営の運営本部及び活動班(8)を組織化した避難所開設・運営体験、数多くの障害児・者等及び家族の参加による実践的な要配慮者支援、ペットオーナのペットとの同行避難などのリアルな避難所対応を実施した。また、防災講座、宿泊体験、防災訓練などを組み込み、参加者が避難行動や避難所生活を模擬体験し、その中で要配慮者の支援や配慮を考え、地域での支え合いの仕組みの必要性を体験するプログラムを確立した。