著者
中澤 秀一 小澤 薫
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、憲法 25 条で保障された「健康で文化的な生活」を営むためには、生計費が最低どの程度必要になるのかについて明らかにするために各地で最低生計費の試算を行った。その結果、現在の最低賃金制度や社会保障制度のもとでは、「健康で文化的な生活」を営むことは難しいことが明らかになった。最低賃金は少なくとも1300円、人間らしい労働時間を考慮に入れれば1500円以上が必要であるし、子どもを育てている世帯では住宅費や教育費を軽減する社会保障制度がなければ、貧困問題はますます深刻になっていくだろう。
著者
江原 勝幸
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

最終年度は、4年間の助成期間の集大成として、地域での対応が進まない要配慮者支援という地域課題に対し、地域住民と福祉従事者等の専門職が連携して取り組む要配慮者支援をテーマとする宿泊型防災訓練の実施及びその検証を目的とするシンポジウムの開催を通じて静岡市駿河区西豊田地区における住民支え合い支援体制モデルを確立することができた。平成27年度の研究費助成採択が10月と遅れたため、27年度は研究準備期間として、地域住民や関係者との打ち合わせや活動の中心となる「西豊田学区地域支え合い体制づくり実行委員会(以下、実行委員会)」組織化の準備を進めた。平成28年度から、研究代表者を中心に月に1回の実行委員会を開催し、地域での要配慮者支援の課題や対策を協議し、要配慮者の特性や災害時に求められる配慮を学ぶワークショップや障害児・家族が参加する宿泊体験などの参加型防災教育を取り入れ、その結果に基づく実践的な宿泊型防災訓練を継続実施してきた。また、この参加型防災活動を振り返り、課題や対応を検証する要配慮支援シンポジウムも毎年開催した。宿泊型防災訓練のプログラム内容も毎年バージョンアップを重ねてきた。平成28年度は指定避難所での福祉スペースの確保・対応を実践し、平成29年度は住民の自主的な福祉避難所の開設・運営訓練の実施、そして平成30年度は平成30年3月に改訂された『静岡県避難所運営マニュアル』に即して避難所運営の運営本部及び活動班(8)を組織化した避難所開設・運営体験、数多くの障害児・者等及び家族の参加による実践的な要配慮者支援、ペットオーナのペットとの同行避難などのリアルな避難所対応を実施した。また、防災講座、宿泊体験、防災訓練などを組み込み、参加者が避難行動や避難所生活を模擬体験し、その中で要配慮者の支援や配慮を考え、地域での支え合いの仕組みの必要性を体験するプログラムを確立した。
著者
松尾 ひとみ
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

先天性心疾患の手術後に水分制限を受けたこどものストラテジーの構造を明確化し、口渇の苦痛を緩和するケアモデルの開発を目指して、6〜12歳の先天性心疾患で手術をうけたこどもを対象にグランデッドセオリーを用いて行った。その結果、水分制限を受けたこどものストラテジーの構造は、2つの次元「飲みたい-飲みたくない」、「飲める-飲めない」に沿って、6つのコアカテゴリーが点在する構造と、その構造を統合し<ちょうどいい飲水量の感覚>のコアカテゴリーが出来るという構造であった。ストリーラインは、こどもは術後、早期から<飲みたい時・飲みたくない時がある>と常に口渇が発生する訳ではないと気づいていた。同時に、<病院だと喉が渇かない>と、口渇の原因に環境温や活動量が関与すると冷静に分析できるまでに至っていた。やがて、食事の開始時に医療者から水分制限の説明をうけ、<測らないと飲めない>と飲水量を測定する未経験の飲水方法に困惑していた。こどもは、限定された範囲に飲水量を納める様々な試行錯誤の過程から、<大切に飲む>という口渇をコントロールし飲水する独自の戦略を開発していた。しかし、水分制限が緩和していく段階毎に、医療者と保護者に<飲むと悪いことが起こる>というメッセージを送られ、こどもは<飲みたいけどガマンする>と恐れ、少な目に飲水を自粛していた。こどもは、このような水分制限のある生活体験を約2週間経過すると、体験が蓄積し、こどもに<ちょうどいい飲水量の感覚>が芽生え、身体に必要な飲水量の目安が感覚で掴めるようになっていた。
著者
林 恵嗣
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2013年度は、食事摂取が呼吸化学受容器反射に及ぼす影響について検討し(実験1)、2014年度は、高糖質食の摂取がその後の運動時の呼吸循環反応に及ぼす影響について検討した(実験2)。実験1では、特にCO2に対する呼吸化学受容器反射について検討し、実験の結果、食事摂取は呼吸化学受容器反射を介して呼吸パターンに影響する可能性が示唆された。実験2については、高糖質食摂取と一般食摂取で比較した。その結果、高糖質食摂取によって食後の運動時には心拍数や換気量が低値を示し、体温上昇にともなう一回換気量の低下が小さくなった。このことから、食事内容の違いによっても呼吸パターンが変化する可能性が示唆された。
著者
今福 恵子 深江 久代
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、難病患者の災害準備に対する意識調査、実態調査をALS協会や、静岡市保健所、三重難病相談支援センターの協力を得て調査した。その結果、災害準備をしている人は30%であった。さらに「何をどのように準備したらよいかわからない」といった自由回答もあったため、難病患者宅に訪問し、どのような内容がマニュアルに載せてほしいか意見を聞きながら、難病患者当事者の視点に立った災害マニュアルを作成した。