著者
江田 司
出版者
和歌山大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

【研究目的】1.ディズニー音楽映画「ファンタジア2000」(DVD)を起点に、聴いて楽しい20世紀の音楽作品を収集し、子どもたちに音楽を聴く喜びをいっそう深めること。2.ICT環境を充実するとともに関連鑑賞教材の指導法を開発することで,どの子どもにも音楽を味わって聴く態度を身に付けること。【研究方法】これらの2点について平成23年1月~3月まで、和歌山大学教育学部附属小学校5/6年生児童(5学級)を被研対象とした。《火の鳥》(『ファンタジア2000』収録/ストラヴィンスキー/1919年版)のアニメーション映像を見せて関心を高め、4曲から「カスチェイの凶暴な踊り」の音楽に焦点化し、1.オリジナル(1910年全曲版)の音源(CD:デュトワ指揮:モントリオール)、2.同管弦楽演奏映像(DVD:ラトル指揮ベルリン)、3.同バレエ映像(DVD:ゲルギエフ指揮マリインスキー&バレエ)と、広範な関連鑑賞資料を駆使して鑑賞活動を行った。とくに1の活動ではこの楽曲特有のモチーフの「反復」に着目させることで、2での楽器による音色の変化の認知に効果が表れた。本研究の有意性を確かめるために、3授業についてそれぞれ研究協力本学教員,初等音楽科教育法受講学生(150名)及び現職教員による参観レポート及び被研全児童からのワークシートを回収し分析した。【研究成果】子どもたちは4種類の『火の鳥』すべてに興味を示し、とりわけバレエ音楽への興味は、後日、強い要望で被験者全員が3(約50分)を鑑賞するまでになった。考察の結果、楽曲のドラマティックな魅力とともに、旋律と楽曲の構造を捉えた1、2の鑑賞の活動がこのような効果を生んだと考えられる。