著者
新田 敏勝 川崎 浩資 芥川 寛 江頭 由太郎 石橋 孝嗣
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.3034-3039, 2011 (Released:2011-11-07)
参考文献数
14

症例は76歳,女性.突然の心窩部痛,嘔吐を主訴に当院救急外来を受診された.上部消化管内視鏡検査所見では,胃穹窿部から索状物が認められ,幽門洞へ引き込まれていた.また腹部造影CT検査では,十二指腸球部に占有する5cm大の腫瘤陰影を認めた.まず,術前に用手圧迫を併用し内視鏡下に整復を行い,胃穹窿部から発生したGISTと診断し,小切開による胃部分切除術を施行した.病理組織学的にもKIT(+)CD34(+)でGISTであった.ball valve syndromeをきたした症例に対し,内視鏡下に嵌頓を解除し,適切な加療を行えた1例を経験したので報告する.
著者
江頭 由太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.823, 2012-05-24

肉芽腫とは,結節状の肉芽組織で,マクロファージ系の細胞の浸潤を伴うものである.類上皮細胞は扁平な上皮細胞様の形態のマクロファージ由来の細胞で,淡好酸性の細胞質と明瞭な核小体が特徴である.類上皮細胞の浸潤のみられる肉芽腫を類上皮細胞肉芽腫と呼ぶが,肉芽組織の構造を伴わない単なる類上皮細胞の集簇巣も類上皮細胞肉芽腫として扱われる.類上皮細胞肉芽腫には類上皮細胞が融合して形成されたと考えられている多核巨細胞もしばしば認められる.類上皮細胞肉芽腫は比較的限定された疾患にしか認められず,疾患ごとに特徴のある組織像を呈することが多いので,組織学的に類上皮細胞肉芽腫を同定し,その組織像を解析することが疾患の診断につながる. 消化管疾患で,類上皮細胞肉芽腫が認められる可能性のある疾患をTable 1に挙げる.
著者
齊藤 治 小島 敬史 寺西 務 中川 憲 萱澤 正伸 南里 昌史 江頭 由太郎 平田 一郎 勝 健一
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1307-1312, 1999-09-25

要旨 患者は29歳の女性.1985年(14歳時)に下痢が出現.1986年に発熱,関節炎が出現し,大腸型のCrohn病と診断された.その後,steroid,salazosulfapyridineなどで治療されていたが,入退院を繰り返した.1993年5月には上行結腸の狭窄のため結腸唖全摘術を施行した.その後,salazosulfapyridineで治療されていたが,1997年2月には発熱,貧血,低蛋白血症で入院.腸管狭窄(回腸S状結腸吻合部およびその口側の回腸)のため回腸,S状結腸の部分切除術を施行した.1998年8月には貧血,低蛋白血症で入院.大量の蛋白尿を認め,ネフローゼ症候群を呈していた.腎生検の結果,アミロイド(AA型)の沈着を認めた.