著者
平賀 良彦 大石 直樹 小島 敬史 和佐野 浩一郎 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.125-130, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
20

側頭骨の放射線骨壊死(ORN)は放射線照射後に生じる晩発性障害の一つで、しばしば治療に難渋する。今回我々は放射線照射後の難治性中耳炎に対し、中耳根本術に側頭筋弁での充填と外耳道閉鎖術を併用した手術(充填型中耳根本術)を施行することで耳漏を停止することができた症例を経験した。症例は74歳、女性。X-17年に頭蓋内軟骨性骨肉腫に対し手術および放射線治療後に難治性の左慢性中耳炎を発症し左難聴は徐々に進行し聾となった。持続する耳漏に対してX年に乳突削開術および鼓室形成術wo型を施行したが耳漏の改善は認めなかった。そこで、X+2年に充填型中耳根本術を施行したところ耳漏を停止することができ、患者のQOLを大きく改善することができた。本術式はORNに伴う難治性中耳炎に有効な術式である可能性が示唆された。
著者
齊藤 治 小島 敬史 寺西 務 中川 憲 萱澤 正伸 南里 昌史 江頭 由太郎 平田 一郎 勝 健一
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1307-1312, 1999-09-25

要旨 患者は29歳の女性.1985年(14歳時)に下痢が出現.1986年に発熱,関節炎が出現し,大腸型のCrohn病と診断された.その後,steroid,salazosulfapyridineなどで治療されていたが,入退院を繰り返した.1993年5月には上行結腸の狭窄のため結腸唖全摘術を施行した.その後,salazosulfapyridineで治療されていたが,1997年2月には発熱,貧血,低蛋白血症で入院.腸管狭窄(回腸S状結腸吻合部およびその口側の回腸)のため回腸,S状結腸の部分切除術を施行した.1998年8月には貧血,低蛋白血症で入院.大量の蛋白尿を認め,ネフローゼ症候群を呈していた.腎生検の結果,アミロイド(AA型)の沈着を認めた.