著者
大﨑 達哉 金城 結海夏 池内 与志穂
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.251-255, 2020-05-01 (Released:2020-06-13)
参考文献数
26

脳は運動・知覚・意識や記憶といったヒトのすべての活動において重要な役割を果たしている.脳の機能が生み出される仕組みを理解するために,多様な手法(EEG, fMRI など)が発展してきたことに加え,近年はヒト幹細胞から脳に似た構造を持つ組織体(脳オルガノイド)を作製して解析する試みが盛んに行われている.本稿では,複雑な脳の秘密を解き明かす手法として,基礎研究と産業応用の両面から期待されている脳オルガノイド研究の現状を紹介し,さらなる発展への工学・化学分野の必要性を議論する.
著者
池内 与志穂
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.151-161, 2021-12-05 (Released:2022-01-05)
参考文献数
92

脳を作るという夢に向かって,長年にわたって神経の培養技術が開発されてきた.初代培養に始まり,幹細胞分化などによって二次元上で神経回路を構築する技術が発展した.三次元技術の発展に加え,三次元幹細胞培養から自発的に生み出される脳の様な構造を持った組織(脳オルガノイド)の登場により,三次元神経回路を構築する研究が飛躍的に発展した.生物学と工学が交わって神経回路構築研究が発展している様子を紹介し,神経回路の機能獲得に向けた今後の研究の展望について議論する.