著者
池本 毅 岡部 文市 山本 直史 中津川 弘子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.229-237, 1999

香料による体臭のマスキング効果の持続性を高める方法として, 花香気成分の前駆体として知られる香気成分配糖体の応用について検討を行った。まず<i>in vitro</i>試験として香気成分配糖体を含む培地にてさまざまな種類の皮膚細菌を培養し, 生成した香気成分量と残存する配糖体量をGCおよびHPLC分析にて検討を行った。そして, 多くの皮膚細菌類が香気成分配糖体を代謝し香気成分を生成することを確認した。また, その生成量は菌種や配糖体の構造により代謝速度が大きく異なることも確認した。次に, 香気成分配糖体を身体に塗布したときの効果を確認する目的で, ヘッドスペースガス法を用いた<i>in situ</i>試験を行った。その結果, 香気成分配糖体を身体に塗布した場合にも香気成分が持続的に生成すること, その生成量は配糖体の構造や塗布部位において大きく異なることを確認した。さらに, eugenolを香気成分部とするeugenyl β-D-glucosideには持続性に優れたデオドラント作用のあることも官能試験により確認された。
著者
前田 真治 杉田 淳 齋藤 雅人 萩原 摩里 池本 毅
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.179-186, 2006 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7

日本酒濃縮物 (日本酒濃縮入浴剤) 添加温水が人体にどのような影響をもたらし、有用な作用があるかをみるために、健常成人を対象に日本酒濃縮物添加温水、またその特異成分であるα-エチルグルコシド添加温水、水道水温水とを比較検討した。その結果、血圧・脈拍は3者間で差がなく心肺への負担は水道水温水と同じであった。前額部の表面皮膚温で日本酒濃縮物添加温水が他2者に比して出浴後緩徐な低下であり、保温効果が示唆された。深部体温計の経過から日本酒濃縮物添加温水が、熱吸収効率の高い要因としてα-エチルグルコシドの関与が考えられた。皮膚血流量増加も加味した結果から、日本酒濃縮物添加温水は、温水中の熱が身体内に入りやすく、かつ出にくい環境を作り出すと考えられる。その要素として、α-エチルグルコシド以外の溶存物質が関与することで、より強い熱運搬作用と保温作用をもつと結論した。皮膚水分量の測定から、温水中に入っている部分では、出浴後早期の潤いはあるが、早期に以前の状態に戻ることがわかった。温水中に入っていない顔面は、皮膚の角層水分量が日本酒濃縮物添加温水の方が良好であり、保湿量が増加していることが認められた。