著者
池田 克已 楠 公仁 大澤 一茂 栗橋 豊 小野寺 修 金 容彰 岩川 吉伸 西本 正純
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.654-661, 1986-06-28
被引用文献数
3

歯周疾患の治療を行うための基礎となる疫学的調査を従来, あまり行なわれていない精神病患者を対象に行い, その患者における歯周疾患の罹患状況, 歯科治療に対する意識調査およびその予防対策などについて精神科医と共に検討してみた。対象は山梨療養所に入院加療中の精神病患者219名で, 歯周疾患の罹患状況は219名全員に, そしてそのうち42名に詳細な口腔内診査, 44名に対して歯科治療に対する意識調査, そしてその中の12名には刷掃指導を行った。その結果, 精神病患者の歯周疾患罹患率は, 一般正常成人に比べて高く, さらに, 歯科治療に対する意識調査では一般正常成人との間に差は認められなかったが, 刷掃指導に対するモチベーションは刷掃の理論づけ (意識的) を行うよりも, 「磨きなさい」と言う動作的な指導から行ったほうが効果的であった。また, 精神病患者に対する刷掃指導は, 精神科領域の治療の一助にもなることが示唆された。
著者
伊藤 弘 仲谷 寛 沼部 幸博 鴨井 久一 辰已 順一 栗原 徳善 渡辺 幸男 池田 克已
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.417-428, 1993-06-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

本研究の目的は, 垂直性骨欠損においてコラーゲンより精製した吸収性膜を組織再生誘導法 (GTR法) に応用し, 臨床的な評価を検索することである。慢性辺縁性歯周炎と診断され, 歯周初期治療終了後, 外科処置の必要性がある垂直性骨欠損を有する31名の患者に対してGTR法を応用した。GTR法は通常のフラップ手術に準じて行った。すなわち, 粘膜骨膜弁にて剥離, 翻転した後, 骨欠損部にコラーゲン膜を完全に覆うように調整し, 歯肉弁を復位し縫合を行った。術後3カ月, 6カ月に各々臨床評価を行った。その結果, 術後3カ月では術前と比較して骨変化量は, 1.15mmの増加, 付着の獲得量は, 1.52±1.81mmの増加, また, ボケットの深さは2.75±1.54mmの減少を認めた。術後6カ月では術前と比較して骨変化量は, 1 . 26mmの増加, 付着の獲得量は, 1.68±1.75mmの増加, また, ポケットの深さは2.84±1.54mmの減少を認めた。以上の結果より, 歯周組織の再生を目的としたGTR法におけるコラーゲン膜の応用は有用な処置方法であることが示唆された。