著者
佐藤 翔 伊藤 弘道
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.55-68, 2020 (Released:2020-06-30)
参考文献数
17

本研究では公共図書館において,図書の書架上の位置が利用者の注視時間に与える影響を明らかにすることを目的に,視線追尾装置を用いた被験者実験を行った。実験は2017年10 ~11 月にかけ,愛知県の豊橋市中央図書館にて実施し,11 名の被験者が参加した。被験者には視線追尾装置を装着し,自身が読みたい図書を1 冊以上,館内から選択するタスクを課した。得られたデータから書架を注視している場面を抽出し,書架の高さ,注視されていた垂直位置(段),水平位置(左・中央・右)ごとの注視時間を算出した。分析結果から以下の知見が得られた。(1)書架上の垂直位置(段)は配架図書の注視時間に影響し,上段の方が下段よりも長時間見られる傾向がある。また,書架自体の高さにより垂直位置が注視時間に与える影響は異なる。(2)書架上の水平位置は図書の注視時間に影響しない。(3)書架上の垂直位置と水平位置の間に交互作用は認められない。
著者
神野 真帆 渡辺 和広 中野 裕紀 高階 光梨 伊藤 弘人 大平 哲也 野村 恭子 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.23-024, (Released:2023-06-08)
参考文献数
20

情報通信技術(Information and Communication Technology: ICT)を活用したメンタルヘルスケアサービスが注目されている。予防効果が評価されているアプリケーションがある一方,エビデンスが不確かなものも乱立している。エビデンスの構築とともに,必要な対象に,適切なツールを届ける社会実装が求められている。 ICTを用いたヘルスケアサービスについて,非薬物的な介入手法におけるエビデンス構築のための研究デザイン構築やサービス利用者による適切な選択のための基盤整備のための研究支援が始まっている。エビデンス構築および社会実装の側面からは,想定利用者の実生活での情報をモニタリングして不安・抑うつを予防するアプリケーションを,深層学習モデルを用いて開発している試みや,原子力発電所事故の被災地で,ニーズ調査,セキュリティの検討,ニーズに合わせたアプリケーションの設計,そのアプリケーションの試験運用といった形で,住民の安心・安全向上を目指したアプリケーションを開発している事例がある。諸外国では,ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスの実装を進めるために,サービス提供者が適切なアプリケーションを紹介する際やサービス利用者が選択する際に指針となるアプリケーションを包括的に評価するモデルが提案されている。わが国では,そのようなモデルを実用化した評価項目を使って,利用者のニーズに合わせた適切なアプリケーションを紹介する試みが行われようとしている。 ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスのエビデンスの構築にあたっては,利用者のニーズや実際のデータに基づく開発とその評価が行われようとしている。一方で,非薬物的な介入手法におけるエビデンス構築のための研究デザイン(とくに評価手法や指標など)が十分に確立していないことは課題となっている。ICTを利用したメンタルヘルスケアサービスの社会実装を進めるためには,構築されたエビデンスを含め,ヘルスケアサービスの評価と選択ができる仕組みづくりの必要がある。
著者
多田 早織 渡邉 恒夫 寺林 伸夫 伊藤 亜子 島村 美咲 篠田 貢一 野久 謙 古田 伸行 伊藤 弘康 清島 満
出版者
一般社団法人 日本超音波検査学会
雑誌
超音波検査技術 (ISSN:18814506)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.287-294, 2015 (Released:2015-06-17)
参考文献数
15

Purposes: The purposes of this study were to assess blood flow in the shoulders of patients with rotator cuff tears using the Doppler ultrasonography (US) and to evaluate the relationship between blood flow and tear size. Methods: From August 2010 to August 2013, 87 patients with rotator cuff tears (RCTs)and 20 healthy volunteers (controls) were enrolled in this study. The patients were divided into two groups depending on the presence or absence of night pain. The peak systolic velocity (PSV) and resistance index (RI) of the anterior humeral circumflex artery (AHCA) were evaluated using pulse Doppler US. The PSV and RI were compared between the aflected and unaflected sides in patients and between the dominant and nondominant sides in controls. Results: No significant difference in PSV and RI was noted between the dominant and nondominant sides in the controls. In the patients with RCTs, PSV of the AHCA in the affected side was significantly higher than that in the unaffected side (p 〈 0.001). PSV of the AHCA in the group with night pain was significantly higher than that in the group without night pain (p 〈 0.001). Moreover, the patients with night pain showed significantly lower RI on the affected side than on the unaffected side (p=0.012). Meanwhile, no significant relationships were observed between tear size and blood flow of the AHCA. The receiver operating characteristic curve of the PSV revealed that the area under the curve was 0.85 with an optimal cutoff value of 20.5 cm/s, yielding 83% sensitivity and 86% specificity. Conclusion: These results suggest that assessment of blood flow with Doppler US is useful for the diagnosis of RCT, especially in patients with night pain.
著者
山本 建太 伊藤 弘樹 菊池 司
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.211-213, 2014

現在では、大きな建物やライブの演出などにプロジェクションマッピングを用いているのが主流であるが、それをあえて小型化することによって、プロジェクションマッピングをより身近に体験できるツールとして、本研究では、プロジェクションマッピングとアミッドスクリーンの後ろが透けて見える特性を生かした、今までにない宣伝ツールを提案する
著者
大類 真嗣 田中 英三郎 前田 正治 八木 淳子 近藤 克則 野村 恭子 伊藤 弘人 大平 哲也 井上 彰臣 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.101-110, 2020-02-15 (Released:2020-02-22)
参考文献数
27

大震災の支援に当たった専門家による研究成果と経験に基づき,災害時のメンタルヘルスと自殺予防に資する留意点についてまとめた。支援の対象と支援方法の重点は,被災からの時期・段階によって変化する。とくに被災による避難時と避難指示解除時はともに留意が必要である。対象のセグメンテーションを行い,必要な支援を必要なタイミングで届ける必要がある。真に支援が必要な対象やテーマは表出されない場合があることに留意する。震災後に生まれた子どもや母親の被害,高齢者の認知症リスクも増えることが観察されている。被災者だけではなく,その支援を行う自治体職員や保健医療福祉職員のメンタルヘルスにも配慮する必要がある。避難地区だけでなく避難指示解除地区においても自殺率が高いという知見も得られている。教育や就労支援,社会的役割やサポートまで,総合的・長期的な支援が必要で,保健医療関係者だけではない分野横断的なネットワークの構築が平時から必要である。危機的な状況であるほど,なじんだ手段しか使えない。平時からの教育・訓練・ネットワーク化で被害の緩和を図っていく必要がある。
著者
伊藤 弘明 岩崎 基 原田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ここ数十年で乳がんの年齢調整罹患率は著しく増加してきたが、乳がんの原因はその既知の危険因子だけでは半分程度しか説明できないとされている。一方、新規な環境汚染物質である有機フッ素化合物への曝露が乳がん発生に関与している可能性が注目されている。しかしながら世界的にもデータが乏しく、国際機関が発がん性を評価していない有機フッ素化合物も多い。既存の疫学研究では異性体別に研究しておらず、南半球での研究例もまだない。これまで日本人女性において有機フッ素化合物が乳がんの発生に及ぼす影響の解明を進めてきたが、これに加え、本研究ではブラジル人女性における症例対照研究を行い、国際比較と統合解析を行う。
著者
川島 大輔 小山 達也 川野 健治 伊藤 弘人
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.121-132, 2009-03-01 (Released:2009-04-08)
参考文献数
31
被引用文献数
3 4

本研究は医師が一般診療場面において希死念慮を有した患者にどのようなメッセージを呈しているのかを探索的に検討することを通じ,医師の自殺予防に対する説明モデルを明らかにしようとしたものである。希死念慮者への医師の対応に関する調査において,これまで死にたいと述べる患者に自殺をとどまるようにメッセージを伝えた経験があると回答した166名の医師の自由記述を対象に,テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。結果,頻繁に用いられる言葉が同定され,また対応分析により「共感的理解と告白」,「精神科への相談」,「病気の診断と回復の見通し」,「自殺しない約束」,「生の価値と他者への配慮」の5つのクラスターが確認された。さらに得られたクラスター変数と患者の性別および年齢との関連についても検討を行った。
著者
奥村 泰之 藤田 純一 野田 寿恵 伊藤 弘人
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.79-85, 2010-01-15

はじめに 治療効果研究成果に基づいて治療ガイドラインが作成されるなど,精神科領域においても,「効果が十分に確認されている,さまざまな治療やサービス」15)である科学的根拠に基づく実践(evidence-based practice;EBP)が普及しつつある。EBPの必要性は行政機関や学会などで支持されている。 しかし,EBPは実際の診療にまで浸透していないという問題が提起されている9,11,15)。このような,EBPの普及と実施を阻害する主要な原因は,「EBPへの態度」であると指摘されている16)。たとえば,統合失調症患者への抗精神病薬の処方は単剤およびクロルプロマジン換算で1,000mg以下であることが治療ガイドラインで推奨されている13)が,EBPへの態度が不良であると,このガイドラインに従わないという研究もある10)。 このように,EBPへの態度を測定する試みはこれまでいくつかの研究でなされており,精神科医の治療ガイドラインへの態度10,19),双極性障害の臨床家の治療ガイドラインへの態度17),臨床心理士の治療ガイドラインへの態度5),物質関連障害の臨床家が特定の科学的根拠に基づいた治療を行うことへの態度12)などが測定されてきている。しかし,従来のEBPへの態度を測定する試みは,ある特定の専門家や特定の疾患を対象としており,より一般化した態度を測定することが内容的に難しいという問題があった。 Aarons1)が開発した,「科学的根拠に基づく実践を適用することへの態度尺度(evidence-based practice attitude scale;EBPAS)」は,特定の専門家や特定の疾患に限定せずにEBPへの態度を測定することが可能な,数少ない尺度である。EBPASは,15項目,5段階評定,4下位尺度から構成されている自己記入式尺度であり,探索的因子分析1)と確認的因子分析1,3)により,EBPASの下位尺度は以下の4つから構成されていることが明らかにされている。 (1) 要請(requirements):EBPを実施する要請がある時に,EBPを適用する可能性(例:あなたにとって初めての治療や介入の訓練を受けたとして,その治療や介入を上司から命じられた場合に,その治療や介入を利用する可能性を答えてください)。 (2) 魅力(appeal):EBPへの直感的な魅力(例:あなたにとって初めての治療や介入の訓練を受けたとして,その治療や介入が直観的に魅力的だと感じた場合に,その治療や介入を利用する可能性を答えてください)。 (3) 開放性(openness):新しい実践への開放性(例:クライエントを援助するために,新しいタイプの治療や介入を用いてみたい)。 (4) かい離性(divergence):研究者が開発した介入と現状の実践との間の認知のかい離(例:研究に基づいた治療や介入は,臨床的に用をなさない)。 2004年に開発されたEBPASは,2008年末までに,筆者らの知る限り,9つの論文で利用されており1~4,6~8,20,21),その応用可能性の広さのため,徐々に普及が進むことが考えられる。そこで,本研究では,EBPAS日本語版を開発し,その心理測定学的特徴を検討することを目的とした。
著者
森田 学 稲垣 幸司 王 宝禮 埴岡 隆 藤井 健男 両角 俊哉 伊藤 弘 山本 龍生 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.352-374, 2013-01-16 (Released:2013-04-24)
参考文献数
106

2011年8月「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された。高齢化が進む中,生涯を通じて歯科疾患の予防や口腔機能の維持に取り組み,国民が健全な生活を営める社会の実現に向けた法的な整備が開始したことになる。この動きを受けて,本論文では,日本歯周病学会として,ライフステージごとの歯周病予防戦略について提案する。How to 式ではないので,「読んですぐ実践できる」という種類のものではない。むしろ,どのような考えをベースにこれからの歯周病対策をすべきか,診療室・地域において,歯周病学会会員ならではの活躍の参考資料になればと願う。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):352-374, 2012
著者
伊藤 弘了
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.31-44, 2016

本論文では是枝裕和の映画作品における入浴の役割を論じていく.第1節では, 是枝のフィルモグラフィを辿りながら, 入浴場面が「他者との親密な関係性を構築する場」として機能している点を確認する.入浴のこの機能は, しばしば「血縁によらない家族関係」という是枝作品の主要なテーマと結びつく.登場人物たちは風呂の水を共有することで家族になっていくのである(『幻の光』[1995年], 『誰も知らない』[2004年], 『花よりもなほ』[2006年], 『歩いても歩いても』[2008年]), その裏返しとして, 他者と水を共有しない入浴(一人きりの入浴)は, その人物の孤独をあらわすことになる(『ワンダフルライフ』[1998年], 『歩いても歩いても』, 『そして父になる』[2013年], 『海街diary』[2015年], 『海よりもまだ深く』[2016年]).第1節の議論を踏まえて, 弟2節では『DISTANCE』(2001年) に入浴場面が完全に欠けている意味について考察する.この作品では, 他者との関係性の不全が描かれており.入浴の欠如はこのテーマを体現しているのである, 水の主題系に彩られた本作では, 他者と関係を深めるための装置として, 入浴の代わりにプールが用いられることになる. This paper sheds light on the function of taking baths in Hirokazu Kore-eda's films. Section 1 demonstrates that throughout his filmography, bathing creates intimate relationships between characters. The function of baths is linked with the theme of families without blood relationships, one of the most important subject themes of Kore-eda's works. His characters create families by taking baths together (Alaborasi 1995 ; Nobody Knows 2004 ; Hone 2006 ; Still Walking 2008). Contrarily, taking a bath alone represents the solitudes of the character (After Life 1999 ; Still Walking ; Like Father, Like Son 2013 ; Our Little Sister 2015 ; After the Storm 2016). Based on this argument, section 2 examines Distance (2001). This film completely lacks a bath scene. It depicts the disorder of intimate relationships, and the lack of bath scenes embodies this theme. Yet, Distance substitutes the scene of swimming pools with the bath scenes and thereby articulates the relationship between water and intimacy as other Kore-eda films do.
著者
川島 大輔 小山 達也 川野 健治 伊藤 弘人
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.121-132, 2009
被引用文献数
4 8

本研究は医師が一般診療場面において希死念慮を有した患者にどのようなメッセージを呈しているのかを探索的に検討することを通じ,医師の自殺予防に対する説明モデルを明らかにしようとしたものである。希死念慮者への医師の対応に関する調査において,これまで死にたいと述べる患者に自殺をとどまるようにメッセージを伝えた経験があると回答した166名の医師の自由記述を対象に,テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。結果,頻繁に用いられる言葉が同定され,また対応分析により「共感的理解と告白」,「精神科への相談」,「病気の診断と回復の見通し」,「自殺しない約束」,「生の価値と他者への配慮」の5つのクラスターが確認された。さらに得られたクラスター変数と患者の性別および年齢との関連についても検討を行った。
著者
工藤 豊 小野 良平 伊藤 弘 下村 彰男
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.369-372, 2007-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
35
被引用文献数
3

Kaki is one of the most familiar fruit trees in Japan and a landscape with kaki tend to be connected with a nostalgic image of an autumn rural landscape. In this respect, a landscape with kaki can be seen as a Japanese “prototype-landscape.” The point we have to focus on here is that common image and feeling about kaki are shared among the Japanese. It is due to our “landscape viewpoints”, a common “way of seeing” shared in a specific social group. This study considers how our landscape viewpoints have been changed by analyzing the representation (waka, haiku and painting) of kaki as an expression of landscape. Kaki might have been one of the most familiar fruits in Japan throughout the history. It was, however, after the latter half of the 17th century, when haiku had been established and spread, that a landscape with kaki started to be expressed positively. This can be explained that our “landscape viewpoints” had been turned from the traditional one, in which waka played the most important part, into the modernized one, through some new cultural activities which began in the Edo era. New landscape discovered by new culture in the Edo era had been combined with rural landscape, and have been regarded as Japanese prototype-landscape.
著者
柳田 健太 小野 良平 伊藤 弘 下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.643-646, 2004-03-31
被引用文献数
4

Today, people have paid more attention to scenery in Japan. Scenery from trains is not exception. Some local governments mention about scenery from trains in their issue of landscape planning, though they are only statements without detailed plan. The aim of this study is to analyze characters of scenery from trains by comparing impressions on movies and a series of still pictures of scenery from the same train. The results are 1) scenery which locates 200-300 meters away showed more differences of impressions between movies and a series of still pictures of scenery, 2) scenery of cities showed more differences in 'perception of three dimensions' and 'changes', 3) scenery from trains is easily affected by surroundings. From these 3 results, some guidelines about diverse scenery from trains, which are urban, natural, and ever with train stations, can be proposed.
著者
矢野 翔平 伊藤 弘大 山下 真由 高嶋 和毅 伊藤 雄一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.1002-1013, 2023-05-15

一般的な教育現場では,教師が生徒の理解状況を把握するために,テストを実施したり,机間巡視をして問題解答の様子を観察したりする.しかし,教師の能力や状況によっては正しく理解状況を把握できていない場合がある.近年では,情報技術を用いた学習支援システムが発達し,学習時の情報を取得することが容易になった.一方,情報教材が普及してきたとはいえ,現在最も普及している学習方法はペンを用いてノートに筆記するものである.また,紙を使用して学習する方が,電子デバイスを使用して学習するよりも優れているという結果が報告されている.そこで本研究では,筆記行動から理解状況を推定する手法を検討する.筆記量や筆記速度は,理解状況と相関があるといわれており,学習者の理解状況が筆記行動に表れていると考えられる.理解状況の評価には,解答した問題の正誤判定と学習者の解答に対する自信度を組み合わせて評価する統合評価法を用いる.また,筆記行動取得の手段として,学習者のペンを握る力(ペン把持力)を用いる.60名の実験データより,理解状況は,特に解答時間やペン把持力の平均変化量に表れていることが確認された.また,ペン把持力には自信度の影響が強く表れていることが分かった.理解状況の推定精度を評価したところ,圧力センサ付きペンから得られる情報と解答用紙から得られる情報(解答情報)を組み合わせることで72.1%の推定精度が得られた.
著者
佐藤 弘喜 石川 和也 堀江 大 伊藤 弘基 山根 生也
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_18-1_21, 2016-02-01 (Released:2016-04-19)
参考文献数
2

選挙活動において、選挙カーは活動の為の重要なツールである。しかし従来の選挙カーは、機能的に候補者のニーズを十分に満たしているとは考えにくい。また、選挙カーは一般市民にとって好ましい、魅力的な印象を持つ事も重要である。そこで、インタビューや実験などの調査に基づき、候補者の政策等を効果的に伝達できる選挙カーの開発を行った。現状の選挙カーの調査や、議員など利用者のインタビュー調査をもとに新たな選挙カーのニーズを分析し、デザイン案を制作した。採用候補とした複数のデザイン案に対して幅広い年代に評価実験を実施し、どのような選挙カーが好まれるかを調査した。実験結果の分析によってデザイン案を絞り込み、最終的に決定されたデザイン案に基づいて、実際に選挙カーの車輛が製作された(図1)。車輛は今後の選挙において利用される予定である。
著者
濱久保 衛 伊藤 弘
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.399-404, 2022-03-30 (Released:2022-05-13)
参考文献数
31

This study aims to understand the current status and issues of viewpoint fields in the Setonaikai National Park by clarifying the relationship between the actual condition of the view from them and the establishment and management of them, and to consider the management of the viewpoint fields from the standpoint of the appreciation of the archipelago landscape.The methodology was field survey and analyze the pictures from all viewpoint fields, and literature survey such as national park management plan and so on. As a result, Setonaikai National Park can be divided into three areas, and the actual condition of the view in each was different from each other including the artificial structures such as towns, bridges, and industries. Especially the view from each viewpoint field in the Geiyo Islands, many artificial structures were seen in visually essential areas. The establishment and management of viewpoint fields were different among each management district. All the management plan was focused on the islands. It can be said that the management plan was made not concerning the characteristics of the archipelago landscapes, so the establishment and management of the viewpoint fields are not appreciated to enjoy the archipelago landscapes.
著者
佐藤 弘喜 石川 和也 堀江 大 伊藤 弘基 山根 生也
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_18-1_21, 2016

選挙活動において、選挙カーは活動の為の重要なツールである。しかし従来の選挙カーは、機能的に候補者のニーズを十分に満たしているとは考えにくい。また、選挙カーは一般市民にとって好ましい、魅力的な印象を持つ事も重要である。そこで、インタビューや実験などの調査に基づき、候補者の政策等を効果的に伝達できる選挙カーの開発を行った。<br>現状の選挙カーの調査や、議員など利用者のインタビュー調査をもとに新たな選挙カーのニーズを分析し、デザイン案を制作した。採用候補とした複数のデザイン案に対して幅広い年代に評価実験を実施し、どのような選挙カーが好まれるかを調査した。実験結果の分析によってデザイン案を絞り込み、最終的に決定されたデザイン案に基づいて、実際に選挙カーの車輛が製作された(図1)。車輛は今後の選挙において利用される予定である。
著者
伊藤 弘了
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 = Human and Environmental Studies (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.75-90, 2017-12-20

本論文では, 是枝裕和『海街diary』の記憶表象が持つ映画史的な意味について, 理論的な言説を参照しながら明らかにし, それが映画の観客に及ぼす作用を分析する. 『海街diary』の記憶表象を考えるにあたっては, 是枝が小津安二郎から受けた影響を踏まえることが有効である. 小津と是枝の映画における演出上の重要な共通点として, フラッシュバックの排除と視線の等方向性の強調が挙げられる. 第1節では, 是枝と小津の映画におけるカメラが非人称的な存在にとどまっている点を確認する. カメラの非中枢的な知覚と人間の中枢的な知覚は別のものであり, 両者を同一視するところに映画のごまかしが生まれる. 第2節では, 是枝と小津の映画が映画のごまかしを避けるために, フラッシュバックを伴う主観的な回想シーンを排除したことを指摘する. 第3節では, 小道具としての写真に注目する. 是枝や小津の映画では, 画面上に写真が映ることがほとんどない. その理由について, ロラン・バルトやヴァルター・ベンヤミンの議論を参照しつつ, 写真と記憶の違いについて考察し, 是枝の『海街diary』では記憶の重視が徹底されていることを論証する. 第4節では, 写真との関係から視線の等方向性を問題にする. 複数の登場人物たちが同じ対象に視線を注ぐ場合, 見られている対象が重要なのではなく, 一緒に見ているという経験自体が意味を持つ. そこでは視覚の不一致よりも記憶の共振が重視される. 第5節では, 不可視の写真をめぐる序盤と終盤のシーンの分析を通して, 視線の等方向性の綻びが, 登場人物と映画観客に悟りの経験をもたらす仕掛けを明らかにする.This paper clarifies the historical meaning of the memory representation in Kore-eda Hirokazu's Umimachi Diary with reference to the theoretical discourse, and analyzes its effect on the spectator. While considering the memory representation of Umimachi diary, it is beneficial to examine Ozu Yasujiro's influence on Kore-eda. Kore-eda inherits from Ozu the elimination of flashback and the peculiar structure of looking in which characters look at the same object, which is not revealed by the camera. In Section 1, I confirm that the cameras of Kore-eda and Ozu have an impersonal presence. The non-centered perception of the camera and the central perception of the human being are distinct from each other, and a film can cheat by identifying one with the other. I argue that this idea allows both Ozu and Kore-eda to eliminate subjective recollection scenes with flashback. In Section 2, I examine the problems involved in the use of flashback, and analyze how Kore-eda and Ozu endeavored to avoid the issue, believing that it would constitute a compromise of the artistic integrity of their films. In Section 3, I focus on the use of photographs as props. The films of Kore-eda and Ozu feature few photographs on the screen. Therefore, I not only examine the difference between photographs and memory by referring to Roland Barthes and Walter Benjamin but also demonstrate the importance of memory in Umimachi diary. In Section 4, I consider parallel looks with regard to the motif of photographs. When characters cast their eyes on the same object, the object being viewed is not important ; rather, the experience of watching them together is significant. Therefore, frequent emphasis is placed on memory resonance rather than real sight. In Section 5, I analyze the scenes at the beginning and end of the invisible photographs to clarify the mechanisms where the disorderliness of the parallel looks provides an experience of enlightenment to the characters and audiences.
著者
谷内 哲夫 四方 潤一 伊藤 弘昌
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.365-369, 2002-07-15 (Released:2009-10-21)
参考文献数
20

A coherent terahertz (THz) wave can be generated by difference frequency generation (DFG) using nonlinear optical crystals. DFG has a potential advantage of wide tunability achieved by a proper selection of the DFG crystal and input wavelengths. In this paper, we present the latest progress in widely tunable THz-wave generation from 0.3 to 6.5 THz using DAST crystals. As a dual-wavelength light source for DFG, we employed a KTP optical parametric oscillator in the 1100-1200 nm range pumped at 532 nm. Using a thick DAST crystal more than 1 mm, maximun THz-frequency was limited to 0.6 THz. However, using thin DAST crystals less than 0.3 mm, a peak power of more than 10 mW were successfully generated at 2.5 and 4.3 THz. In spite of the present nanosecond-pulse operation, a compact system of widely tunable THz-waves, including a diode-pumped Q switched Nd:YAG laser and a pyroelectric detector, could be useful in THz-imaging and spectroscopic applications.