著者
伊藤 弘 仲谷 寛 沼部 幸博 鴨井 久一 辰已 順一 栗原 徳善 渡辺 幸男 池田 克已
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.417-428, 1993-06-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
2 1

本研究の目的は, 垂直性骨欠損においてコラーゲンより精製した吸収性膜を組織再生誘導法 (GTR法) に応用し, 臨床的な評価を検索することである。慢性辺縁性歯周炎と診断され, 歯周初期治療終了後, 外科処置の必要性がある垂直性骨欠損を有する31名の患者に対してGTR法を応用した。GTR法は通常のフラップ手術に準じて行った。すなわち, 粘膜骨膜弁にて剥離, 翻転した後, 骨欠損部にコラーゲン膜を完全に覆うように調整し, 歯肉弁を復位し縫合を行った。術後3カ月, 6カ月に各々臨床評価を行った。その結果, 術後3カ月では術前と比較して骨変化量は, 1.15mmの増加, 付着の獲得量は, 1.52±1.81mmの増加, また, ボケットの深さは2.75±1.54mmの減少を認めた。術後6カ月では術前と比較して骨変化量は, 1 . 26mmの増加, 付着の獲得量は, 1.68±1.75mmの増加, また, ポケットの深さは2.84±1.54mmの減少を認めた。以上の結果より, 歯周組織の再生を目的としたGTR法におけるコラーゲン膜の応用は有用な処置方法であることが示唆された。
著者
仲谷 寛 原 良成 宮里 明子 佐藤 聡 伊藤 弘 小林 博 鴨井 久一 菅谷 彰 杉山 裕一 辻上 弘 田村 利之 堀 俊雄
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.220-231, 1992-03-28
被引用文献数
14 2

歯周治療におけるTBC-コラーゲン複合骨移植材: KF-300(TBC-コラーゲン合材)の臨床応用について検討した。歯周疾患によって生じた歯槽骨欠損部68名,80部位に対してTBC-コラーゲン複合骨移植材を応用し,経時的にX線写真および臨床的な評価を行った。術前と比較して術後6ヵ月で,X線写真による骨欠損最深部までの距離は3.6mmの改善が認められた。また,プロービング・デブスおよびアタッチメントレベルは,それぞれ3.2mm, 2.1mmの改善が認められた。動揺度,プロービング時の出血は,術後有意の改善が認められた。骨移植材の漏出および創〓開は,術後2週まで認められたが臨床的には問題とならないと思われた。TBC-コラーゲン合材によると考えられる副作用は1症例も認められなかつた。以上の結果より,TBC-コラーゲン複合骨移植材は,生体親和性に優れ,歯周治療における有用な骨移植材であると考えられた。