著者
沢田 勇 原田 正史
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.37, pp.20-23, 1988-06-25
被引用文献数
2

1986年10月1日,台湾新竹県関西鎮の石灰洞から採集されたヒナキクガシラコウモリにイセ条虫が寄生していた.イセ条虫は種子島を南限とする日本各地のコキクガシラコウモリに寄生する固有種である.南西請島の奄美大島・徳之島のオリイコキクガシラコウモリ,石垣島のイシガキコキクガシラコウモリ,西表島のイリオモテキクガシラコウモリなどにもイセ条虫の寄生がみられる.こうした条虫相からみて,台湾のヒナキクガシラコウモリは同じpusillusグループに属する前述の日本産小形Rhinolophus属のコウモリと分布上での関連性があるように思われる.
著者
沢田 勇 原田 正史 織田 銑一 子安 和弘
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.47, pp.26-28, 1992-06-25

1991年7月28日,中国吉林省長嶺県にある長嶺種馬場内で捕獲された1頭のニオイモグラScaptochirus moschatusの消化管を剖検した結果,1隻の成熟虫体が寄生していた.同定の結果,日本のヒメヒミズ及びヒミズに寄生していたヒメヒミズ膜様条虫Hymenolepis dimecodontis SAWADA et HARADA.1990であることが判明した.条虫の終宿主特異性の観点からして,中国吉林省に生息するニオイモグラと日本のヒメヒミズやヒミズとは地理的分布上関連性があるように考えられる.
著者
沢田 勇
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.14, pp.5-9, 1978-06-26
被引用文献数
1

1.沖永良部島,沖縄本島,宮古島,石垣島および西表島の洞穴棲コウモリの条虫相を明らかにし,それらの条虫相を奄美大島以北の日本各地のそれと比較した。2.沖永良部島のユビナガコウモリMiniopterus schreibersiiは剖検した12頭中わずかに1頭に同定不能の幼弱虫体1条のみが寄生していたが,沖縄本島のオキナワコキクガシラコウモリRhinolophus cornutus pumilusには条虫の寄生は認められなかった。3.宮古島ではコウモリの生息が確認できなかった。4.石垣島および西表島のリュウキュウユビナガコウモリM. s. blepotisにはVampirolepis hidaensisが,西表島のヤエヤマコキクガシラコウモリR. c. pumilusにはV. isensisがそれぞれ寄生していた。5. V. hidaensisは西日本一帯に生息するユビナガコウモリおよびキクガシラコウモリに寄生する条虫と同一種であり,V. isensisは奄美大島以北の北海道を除く日本各地のコキクガシラコウモリに寄生する条虫と同一種である。こうしたことから八重山諸島のリュウキュウユビナガコウモリとヤエヤマコキクガシラコウモリは条虫相からみて奄美大島以北に生息するキクガシラコウモリおよびコキクガシラコウモリと何らかの関連性があると考えてよい。
著者
沢田 勇 原田 正史 小林 恒明
出版者
日本寄生虫学会
雑誌
寄生虫学雑誌 (ISSN:00215171)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.p515-523, 1984-12
被引用文献数
2
著者
沢田 勇 原田 正史
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.10-13, 1990

1989年8月25日,長野県南安曇郡安曇村鈴蘭で捕獲されたヒメヒミズ3頭巾,2頭に膜様条虫に属する1新種が寄生していた.この新種Hymenolepis dymecodontisは中国産モグラの1種Talpa sp.に寄生していたH. peipingensis HSU, 1935に極めて類似しているが,虫体が小形であり,卵巣の形態が異っている.
著者
沢田 勇 原田 正史
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.6-9, 1988
被引用文献数
1

1986年,台湾の南投県捕里鎮南村里にあるトンネル内で捕獲した14頭のタイワンカグラコウモリHipposideros armiger terasensisのうち,1頭から小形条虫の1種を2個体得た.同定の結果,Vampirolepis属の新種と認めたのでV. brachysomaとして記載した.和名はタイワンカグラ小形条虫としたい.
著者
沢田 勇 原田 正史 伊明 煕
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.45, pp.25-29, 1991-12-25

1991年2月23〜27日の間に韓国南部の4箇所の廃坑を調査した結果,Rhinolophus ferrumeqnum korai,Myotis macrodactylus,M.mystacinus,M.formosusおよびPipistrellus corensisの生息が確認された.これらのコウモリの中でR.ferrumequi num koraiにのみVampirolepis hidaensisが寄生していた.V.hidaensisは済州島のR.ferrumequinum quelpartis,日本のR.ferrumequinum nippon,Miniopterus schreibersii fuliginosus,およびM.s.blepotisにも寄生している.こうした条虫相からみると韓国のキクガシラコウモリは日本のキクガシラコウモリと地理的分布からみて関連性が濃いように考えられる.
著者
沢田 勇 子安 和弘
出版者
日本寄生虫学会
雑誌
寄生虫学雑誌 (ISSN:00215171)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.p86-91, 1991-02
被引用文献数
1
著者
沢田 勇 子安 和弘
出版者
日本寄生虫学会
雑誌
寄生虫学雑誌 (ISSN:00215171)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.p567-575, 1991-12
被引用文献数
2
著者
沢田 勇 Mohammad Mohammad K.
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-7, 1989-06-25
被引用文献数
2

1985年9月,イラクのハディサで捕獲されたコウモリに膜様条虫に属する2新種が寄生していた.Asellia tridens murraianaに寄生していたVampirolepis mesopotamiana sp.nov.は長さが0.018〜0.022mmで,22〜30本の額嘴鉤を有する既知種8種のいずれとも額嘴鉤の形態が異っている.Rhinopoma microphyllumに寄生していたHymenolepis rhinopomae sp.nov.は台湾産H. scotophiliに極めて類似しているが,頸部の長さ,生殖孔の位置,精巣の配列状態および卵巣の形態が異っている.さらに1985年5月にバグダッドで捕獲されたPipistrellum kuhli ikhwaniusには種の同定が不可能な微小条虫Raillietina(s.l.)sp.が寄生していた.
著者
沢田 勇 久木 義一
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-3, 1986-07-25

1985年4月16日大分県別府市内で捕獲されたイエバトの消化管を剖検した結果,多数の条虫が寄生していた.同定の結果,新種と認めたのでRaillieiina(Raillietina)bungoensisとして記載した.和名はブンゴハト条虫としたい.
著者
沢田 勇 原田 正史 織田 銃一
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.54, pp.19-27, 1995-12-25

1994年7月24日から8月6日までの間,南中央シベリアの2箇所にて3属7種からなる29種のトガリネズミ類が採集された.消化管を剖検した結果,9属12種の条虫類が寄生していた.その条虫類はSoricinia longisegmentalis,Ditestolepis diaphana,D.secunda,D.sp.,Lineolepis skrjabini,Skrjabinacanthus jacutensis,Neoskrjabinolepis singularis,Staphylocystis(Staphylocystis)naganoensis,Vampirolepis novosibirskensis,Cucubilepis skrjabini,Choanotaenia crassiscolex及びC.baicalensisであった.これら条虫類の寄生率は29頭のトガリネズミ類の62%であった.今回は前調査で寄生がみられなかった4種の条虫類(Skrjabinacanthus jacutensis,Cucubilepis skrjabini,Ditestolepis secunda,Choanotaenia baicalensis)について記載した.