- 著者
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河尻 澄宏
木村 容子
伊藤 隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.3, pp.295-299, 2018 (Released:2019-02-27)
- 参考文献数
- 20
<緒言>胃食道逆流症(GERD)は胃食道症状に加え,咽喉頭違和感などの食道外症状を起こすことがある。今回,GERD による咽喉頭違和感に対し,清熱補血湯が有効であった症例について報告する。<症例>72歳女性。X年2月に咽喉頭のヒリヒリ感が出現し,耳鼻咽喉科では異常を指摘されず,上部消化管内視鏡検査で逆流性食道炎を認め,ラベプラゾールで症状の改善を認めた。同年9月に再燃し,11月に当院受診。皮膚・目の乾燥症状,浅い眠り,足の冷え等の血虚に伴う症状を多く認めたため,清熱補血湯を処方した。ヒリヒリ感は速やかに改善し,2ヵ月で消失した。また,皮膚や目の乾燥症状および不眠も改善した。<考察>清熱補血湯は血虚,燥熱による口舌の潰瘍・びらんなど口腔局所の炎症を治す方剤として理解されてきた。しかし,今回の症例を通じて,本方剤の作用が口腔局所だけでなく GERD による咽喉頭症状にも及んでいる可能性が示唆された。