著者
村田 勇太 和智 道生 治郎丸 卓三 大西 均 藤谷 亮 野口 真一 布留 守敏
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.289-293, 2023 (Released:2023-08-15)
参考文献数
14

〔目的〕ライフキネティックトレーニング(LKⓇ)の介入を行い,視覚機能と視覚と身体コントロールの協調性に対する効果の検証を行うこと.〔対象と方法〕対象者は,高校サッカー部に所属する男性52名とした.一般的なサッカーのトレーニングに加え,60分間のLKⓇを週1回,12週間連続で行うLKⓇ群と,一般的なサッカーのトレーニングのみを行うCON群に無作為に分類し,選択反応回数と周辺視野を計測した.〔結果〕LKⓇ群で選択反応回数,周辺視野ともに有意に増加を認めた.〔結語〕LKⓇによりサッカー選手の選択反応回数,周辺視野は向上することが示唆された.
著者
藤谷 亮 治郎丸 卓三 伊坂 忠夫 来田 宜幸 野村 照夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0606, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】不良姿勢は関節や筋の構造に影響し,腰痛の発症と関連する。中でも成長期前から観察される不良姿勢のLordosis(以下LO)やSway-back(以下SW)は腰痛との関連が多く報告されている。また不良姿勢(LO,SW)は静的場面のみならず,スポーツのような動作場面でも肉離れや膝関節疾病の発生率を増加させる。しかしながら,不良姿勢が動作に与える影響を検討したものはない。歩行はヒトが最も簡便に使用できる移動手段であり,古くから腰痛治療に取り入れられてきた。しかし,腰痛に対する歩行訓練に対しては否定的な報告がみられる。そのため不良姿勢であるLOやSWが歩行動作に与える影響を検討することは,姿勢指導の必要性と歩行訓練の有効性を検討する上で需要である。したがって本研究では,不良姿勢を持たない健常成人に対して不良姿勢(LO,SW)を取らせた際の歩行と通常歩行を比較し,不良姿勢が歩行動作に与える影響を検討することを目的とした。【方法】不良姿勢を持たない健常成人男性15名(年齢:24.3±3.4歳,身長:172.3±3.7cm,体重:65.1±7.9kg)を対象とした。全身49点の3次元座標値を,三次元動作解析装置(Motion Analysis社製,200Hz,16台)を用い計測した。歩行計測は速度(5Km/h)を一定にするためトレッドミル上にて行った。各姿勢条件およびその定義は,先行研究を参考に①直立(Neutral:以下NU),②LO,③SWとした。また各姿勢条件を験者の指示に対して直ちにとれるように姿勢練習を行った。姿勢指導は,同一験者が指導を行い,測定はランダムに行った。得られた解剖学的特徴点の3次元座標値は,フィルタ処理を行い足部のマーカーを元に歩行周期を算出した。また座標データから歩行時の骨盤傾斜角,骨盤回旋角,また股関節・膝関節・足関節の屈曲および伸展角度を算出した。なお重心位置の算出には江原らの方法に基づき算出した。また歩行中の姿勢条件を確認するため脊柱骨盤角度を計測した。統計はすべての測定項目に対して一元配置分散分析を歩行周期格化5%ごとに行い,有意差のある項目について多重比較検定を行った。有意水準は5%未満とした。【結果】脊柱および骨盤角度から歩行中,各姿勢定義に合った脊柱-骨盤姿勢が保たれていた。NUと比較してLOは,遊脚終期からの立脚初期の骨盤回旋角度の増加と前方重心を認めた。NUと比較しSWは,立脚初期の骨盤側方傾斜,股・膝関節屈曲,足関節背屈角度の有意な増加と重心位置の低下を認めた。【結論】LO,SWの不良姿勢を取ることで歩行動作に影響を与えることが明らかになった。それらは姿勢変化に伴い立脚初期の荷重応答が変化することで,歩行時の骨盤動揺を増加させる。また不良姿勢時の骨盤変位を直立姿勢は減少させる可能性が示唆された。
著者
藤谷 亮 篠山 大輝 杉本 優海 長谷川 七海 林 穂乃花 小嶋 高広 和智 道生 治郎丸 卓三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0589, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛をもつ患者の多くは,特有の不良姿勢を有することが指摘されている。腰痛と姿勢は関連すると考えられ,古くから腰痛治療には姿勢再教育訓練が行われてきた。腰痛患者における特有の立位姿勢として,Sway-Back(以下SW)や,過度な腰椎前弯を示したLordosis(以下LO)などが多い。先行研究から,上記の不良姿勢では体幹深層筋の活動低下,体幹表層筋の過活動が生じることが報告されている。骨盤-脊柱の変化は姿勢制御に影響を及ぼすことは明らかである。しかし,股関節周囲筋の活動の検討なしでは,姿勢と腰痛との関連を明らしたとはいえない。そこで本研究は,基本的立位姿勢をNeutral(以下NU)とし,不良姿勢(SW,LO)の体幹・股関節の筋活動を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,健常男性17名(21.2±3.6歳,174±5.5cm,67.6±8.8kg)とした。計測する姿勢は先行研究を参考にNU,SW,LOの3条件とした。姿勢計測のためC7,Th7,Th12,S2,上前腸骨棘(ASIS),上後腸骨棘(PSIS),肩峰,大転子に反射マーカーを貼付し,矢状面画像を取得した。取得した画像から画像処理ソフト(ImageJ Version 1.48,NIH)を用い,先行研究を参考に,胸椎後弯角(C7-Th7-Th12),腰椎前弯角(Th12-L3-S2),骨盤傾斜角(ASIS-PSIS),体幹傾斜角(肩峰-大転子)を算出した。筋活動の計測には表面筋電計(Kissei Comtec社製MQ16)を用いた。対象筋は腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,腰部腸肋筋,胸部腸肋筋,多裂筋,大殿筋上部,大殿筋下部,大腿筋膜張筋,大腿筋膜張筋,縫工筋,大腿直筋の12筋とし,いずれも測定は右側とした。得られた筋電図データは,筋電図解析ソフト(Kissei Comtec社製KineAnalyzer)を用いて,全波整流処理を行い,MVCを基に各姿勢に合わせ正規化した。統計処理は,各姿勢の角度および筋活動に対して一元配置分散分析を行い,有意差のあった項目に関して,Bonferoni法による多重比較検定を行った。統計処理には解析ソフト(SPSS Statistics Ver21 for Windows)を用い,いずれも有意水準は5%未満とした。【結果】筋活動においてSWではNUに対し,内腹斜筋(p<0.05)・大殿筋上部(p<0.05)・大殿筋下部(p<0.05)・腸腰筋(p<0.05)で有意に低値を示し,腹直筋(p<0.05)では有意に高値を示した。LOはNUに対して,大殿筋下部(p<0.05)で有意に低値を示し,腰腸肋筋(p<0.05)・胸腸肋筋(p<0.05)・多裂筋(p<0.05)では有意に高値を示した。【結論】今回の結果から姿勢変化が,股関節の姿勢保持筋の筋活動に大きく影響を与えることが明らかになった。これは骨盤-脊柱肢位が,股関節の姿勢制御に強く影響を与えることを示唆するものである。またこれらは姿勢制御の変化は,不良姿勢が腰部に異なるストレスを発生させることを示唆するものである。
著者
野村 瞬 治郎丸 卓三 中田 康平 兵頭 勇太郎 金沢 伸彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>knee-inは,非接触型ACL損傷における代表的な危険肢位である(Ireland 1999)。knee-inにより,膝関節外反,大腿に対して下腿外旋という一連の動きが生じる。つまり,knee-inでは大腿筋膜張筋や外側ハムストリングスなどの過活動が生じ,knee-in改善にはこれらの筋の活動を低下させることが重要となる(井野2014)。そのため,knee-inにより活動が増大する筋を知り,neutralやknee-out肢位をとることにより,その筋の活動を低下できるかを把握しておく必要がある。</p><p></p><p>理学療法を行う上で,片脚立ち,両脚立ちなど,荷重量を変えた際のknee-in,neutral,knee-out時の膝関節周囲筋の筋活動パターンに違いがあるかを理解しておくことは大切である。しかし,我々の知る限りこれらの内容について報告されたものはない。そこで本研究では,片脚立ち,両脚立ちにおける,knee-in,neutral,knee-out時の膝関節周囲筋の筋活動パターンを検討した。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は健常成人男性15名(23.8±4.7歳)とし,筋電図計(MQ16)を用いて,片脚立ちと両脚立ち時の膝関節周囲筋の筋活動を測定した。測定筋は大腿筋膜張筋,外側・内側ハムストリングス,外側・内側・中間広筋,大腿直筋,縫工筋とした。片脚立ち,両脚立ちの条件中,床面に対して体幹を垂直,進行方向に足部を平行に置き,右脚を対象に股関節屈曲25°,膝関節屈曲40°で,knee-in,neutral,knee-outの3つの課題をランダムに実施した。姿勢が崩れない範囲でknee-in,knee-outを行った。また,大腿骨の外側上顆,内側上顆にマーカーを貼付し,デジタルカメラにて各課題を撮影し膝回旋角度を算出した。両脚立ち条件では足幅50cm,左右脚同様の肢位をとり,体重計を用いて右下肢の荷重は体重の50%とした。表面電極(1×1cm)は皮膚処理後,電極間距離1cmとし,測定筋の筋線維方向に沿って貼付した。筋電図データは,筋電図解析ソフト(KineAnalyzer)を用いて,フィルタ処理後(バンドパス10~500Hz),二乗平方平滑化処理(RMS)を行い,両脚立ち条件のneutralの各筋のRMSを1として正規化を行った。統計学的分析はSPSSを用いて,条件ごとに,各筋の筋電図は一元配置分散分析(knee-in,neutral,knee-out)を用いて比較した。事後検定としてTukey法を用いて,knee-in,neutral,knee-outにおける各筋の筋電図の比較を行った。有意水準は5%とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>片脚立ち条件では,外側ハムストリングス,外側広筋の活動が,neutral,knee-outに比べknee-inで有意に増大が認められた(p<0.05)。両脚立ち条件では,大腿筋膜張筋の活動が,neutral,knee-outに比べknee-inで有意に増大が認められた(p<0.05)。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>knee-inにより,片脚立ちでは外側ハムストリングス,外側広筋の活動が増大し,両脚立ちでは大腿筋膜張筋の活動が増大した。片脚立ちと両脚立ちではknee-inにより活動が増大する筋が異なる。</p>
著者
藤谷 亮 治郎丸 卓三 池谷 雅江 宇於崎 孝 大西 均 川﨑 浩子 鈴木 美香 安田 孝志 分木 ひとみ
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.947-950, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
16

〔目的〕本研究は,脳卒中片麻痺患者の体幹伸展可動域と歩行能力との関連について明らかにすること.〔対象と方法〕維持期脳卒中片麻痺患者12名を対象とした.日整会の方式に乗っ取り体幹伸展の自動・他動可動域を計測し,歩行能力については10 mテストから歩行速度,歩行率,ストライド長を算出し,ピアソンの相関分析を用いて検討を行った.〔結果〕体幹伸展の自動可動域は,歩行速度とストライド長と強い相関関係を認めた.〔結語〕脳卒中片麻痺の体幹伸展可動域は,歩行能力との関連を示す指標であることが示唆された.このことから, 体幹伸展の自動可動域は, 脳卒中片麻痺の歩行と関連する機能の一つであると考える.