著者
沼倉 茜 吉川 沙耶花 上條 篤 松田 帆 新藤 晋 池園 哲郎 加瀬 康弘 神山 信也 伊藤 彰紀 大澤 威一郎
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.134-138, 2018-02-20 (Released:2018-03-07)
参考文献数
15

拍動性耳鳴に対しては, 器質的疾患の存在を疑う必要がある. 今回われわれは, 拍動性耳鳴を主訴に来院し, 横- S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断された1例を経験した. 拍動性耳鳴の診断には頸部血管の圧迫による変化と聴診が重要である. 硬膜動静脈瘻のスクリーニングには脳 MRA が優れている. しかし, 脳疾患の MRA 診断においては脳主幹動脈領域のみを関心領域とした MIP 画像が用いられることが多く, 外頸動脈系や静脈洞が関与する硬膜動静脈瘻は見落とされる可能性がある. したがって, 見落としを避けるには, MIP 画像のみならず MRA の元画像を確認することが重要である. 硬膜動静脈瘻は根治が期待できるため見落とさないことが重要である.
著者
中島 正己 原 睦子 沼倉 茜 加瀬 康弘
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.201-206, 2016-06-10 (Released:2016-09-27)
参考文献数
14

アメリカ睡眠学会により2014年に睡眠障害国際分類第3版が公表され, 閉塞性睡眠時無呼吸症 (Obstructive sleep apnea, OSA) の診断基準が変更された. 大きな変更点としては, 簡易モニターによる無呼吸低呼吸指数 (Apnea hypopnea index, AHI) でもポリソムノグラフィー (Polysomnograpy, PSG) と同等の基準で診断できること, AHI が5回/時以上かつ無症状であっても, 高血圧や, 糖尿病などの合併症が存在すれば OSA と診断されることの2点である. そこで, 以前に行われた PSG と簡易モニターの検査結果を retrospective に検討し, 診断結果の影響について考察した. 本邦では診断機器の選択について, 医療従事者の判断に委ねられている現状にあるため, 本邦の現状に即した診断機器選択のガイドラインを早急に作成する必要性がある.