著者
寺井 利久 池田 貢介 三好 祐二 泉 省吾 神田 茂生 西野 敏勝 入口 義春 原 英雄 鳥居 謙吾 寺島 正彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.27-30, 1996-05-15

長崎県北中山間地域である波佐見町における現地実証により耕転一鎮圧一播種方式の乾田直播の現地適用性とその補完技術を検討した。1.播種量は乾籾3,5程度でよかった。播種深度を3〜4?に設定できるため,ヒノヒカリでも極端な倒伏は認められず,本品種の乾田直播栽培の可能性が示唆された。収量性は1993年の低温及び1994年の高温下でも比較的高く,異常気象にも十分対応可能であり,この方法による乾田直播の現地適用性が認められた。2.播種時の降雨を想定し,乾田直播を補完する技術としての乳苗移植栽培は減収したものの,準備した催芽籾を無駄にすることなく,十分に補完できる技術としてその可能性が示唆された。3.漏水を考慮すれば,基肥は入水後,稲の2葉期頃に施肥することが可能で,乾田直播の現地での定着にはほ場の団地化並びに代掻を伴う移植とのローテーションが必要であるものと考えられた。
著者
舩場 貢 西村 勝久 泉 省吾 三好 祐二
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.60, pp.23-26, 1994

良食味品種の収穫適期と判定法について検討した。1.成熟期前5~7日の刈取では収量の低下は少なかった。2.刈取が早い場合は粒張不足により検査等級は低下した。刈取が遅い場合はうす茶米・乳白米に加えて,2次枝梗籾由来と考えられるその他未熟粒・奇形粒が増加し,その結果整粒歩合が低下し,検査等級は低下した。3.玄米重と検査等級から総合的にみて,収穫適期はコシヒカリでは-5日~成熟期までの6日闘,ヒノヒカリ・ユメヒカリでは-6日~+3日までの10日間であると判断した。4.上記の収穫適期の判定法として,出穂後の積算気温,籾水分および最長稈穂の稔実黄化籾割合を示した。
著者
舩場 貢 泉 省吾 西村 勝久
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.6-8, 1992-12-21
被引用文献数
4

水稲品種ヒノヒカリおよびユメヒカリの作期移動試験において,両品種は出穂後の異なる生育段階で台風17号・同19号の2回の台風に遭遇した。そこで,その被害様相を明らかにするため調査を行い,次の結果を得た。1.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど登熟歩合の低下が大きい傾向が見られた。また,乳熟期以降の台風遭遇では早い時期の台風ほど減収程度が大きい傾向が見られた。2.ヒノヒカリ,ユメヒカリとも出穂後早い時期に台風に遭遇したほど整粒歩合が低下し,整粒歩合は最高約38%,最低約6%であった。3.未熟粒・奇形粒および青未熟粒の発生が多かった。未熟粒・奇形粒はヒノヒカリの6月10目植で少なく,それより遅く移植した場合には著しく増加し,台風時における穎花の発達段階によって被害が異なることがわかった。4.乳白米の発生も多く,とくに乳熟後期から糊熟期にかけて台風に遭遇すると乳白米か増加する傾向があった。5.薄茶米の発生は台風時における出穂後日数が少ないほど多かった。