著者
寺井 利久 池田 貢介 三好 祐二 泉 省吾 神田 茂生 西野 敏勝 入口 義春 原 英雄 鳥居 謙吾 寺島 正彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.27-30, 1996-05-15

長崎県北中山間地域である波佐見町における現地実証により耕転一鎮圧一播種方式の乾田直播の現地適用性とその補完技術を検討した。1.播種量は乾籾3,5程度でよかった。播種深度を3〜4?に設定できるため,ヒノヒカリでも極端な倒伏は認められず,本品種の乾田直播栽培の可能性が示唆された。収量性は1993年の低温及び1994年の高温下でも比較的高く,異常気象にも十分対応可能であり,この方法による乾田直播の現地適用性が認められた。2.播種時の降雨を想定し,乾田直播を補完する技術としての乳苗移植栽培は減収したものの,準備した催芽籾を無駄にすることなく,十分に補完できる技術としてその可能性が示唆された。3.漏水を考慮すれば,基肥は入水後,稲の2葉期頃に施肥することが可能で,乾田直播の現地での定着にはほ場の団地化並びに代掻を伴う移植とのローテーションが必要であるものと考えられた。
著者
萩原 英雄 高雄 啓三 宮川 剛
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.633-640, 2015 (Released:2015-12-15)
参考文献数
8

要約:マウスはヒト疾患のモデル動物として広く使われているが,ヒトで重篤な炎症が起きた時に発現が変化する遺伝子群はマウスでは全く異なるふるまいをしており,この観点からヒトとマウスはほとんど似ていないという報告が2013 年に出された.この報告はマウスをヒト疾患のモデル動物として使うことの有効性や妥当性などについて大きな議論を巻き起こした.しかし筆者らは,この報告で解析されたのと同じ遺伝子発現データを用いて,解析手法の改善を加えて再解析をした結果,マウスはヒトの炎症性疾患のモデルになり得ることを改めて確認することができた.この結論は,炎症性の疾患に限らず,ヒト疾患のモデルとしてマウスを用いて病態・病因の解明や治療法の開発を行う際に,ヒトとマウスの共通している部分に注目して研究を進めることが有効であることを示唆するものと考えられる.
著者
中谷 誠 小柳 敦史 荻原 英雄 渡辺 泰
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.83-89, 1988-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

サツマイモ苗の5-10日間の取り置きが活着, 塊根形成, 収量に及ぼす影響をコガネセンガンと高系14号を用い, ポリエチレンフィルムマルチ栽培で1985-86年の2か年3作期にわたり検討した. 取り置きは約14℃, 相対湿度約80%, 弱光の条件下で行い, 以下の結果を得た. 挿苗直後, 対照区では葉身や茎頂が地表まで垂れ下がっているものが多かったのに対し, 取り置き区では茎や葉柄が立っているものが多く, 挿苗1, 2週間後の展開葉数や蒸散速度はいずれの作期, 品種でも取り置きにより増加した. 塊根形成期ではいずれの作期でも取り置きにより塊根数や塊根乾物重は増加した. また全乾物重や葉面積も増える傾向を示した. 収穫期の上いも収量は取り置きしたものの方が高い値を示した. 1985年には有意な差がなかったが, 1986年には有意な差があり, 上いも数, 上いも1個重とも増加した. 全乾物重や収穫指数も取り置きしたものの方に高い傾向が見られた. 以上から, 5-10日間の苗の取り置きは活着や塊根形成を促す効果を持つことが明らかになった. また, これらの点が全乾物重や収穫指数の向上につながり, 塊根収量の増大をもたらす可能性が強いことも判明した. さらに, 必ずしも増収に結びつかない場合にもサツマイモ栽培の安定性を高める効果が期待できると思われた.
著者
河原 英雄 石坂 芳男 油井 香代子 秋元 秀俊 山形 徳光 夏見 良宏 増田 純一 上濱 正 Henry H Takei Perry R Klokkevold 林 崇民 Anthony Rowley 河津 寬 渡辺 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.249-258, 2015

ディスカッションに先立って河原先生は,多くの患者に生き甲斐のある暮らしを提供することを目的に,「嚙むことの大切さ」を掲げ,治療時には特に義歯の新製を行わず義歯を調節する,それも和食を箸にて食べる文化を尊重し, Balanced occulusion で前歯で咬める咬合を付与すると説明した.調整前後のビデオでは義歯が調整されるだけで,患 者の人としての行動に改善が見られ,目が開き,話し,笑い,歩き,歌を唄った.エビデンスは確立していないが咬合の回復によって運動能力の活性化や認知症の改善をもたらす.「転ばぬ先の杖」元気なうちに義歯を作りそれをうまく使いこなすことが大切であると説明.まさに歯科医療は暮らしを支える医療となったと提言された.増田先生から長寿社会を生き抜くためには,まず「健口」な子どもの口腔を作る必要があることが説明された.具体的には,3 歳までに咬合の基本と土台を習得し,う蝕はゼロ,4 ~5 歳までこれを維持,第一大臼歯の萌出が始まったら,3 ~4 年間う蝕に罹患させない.そして,下顎位を完成させる.その後1 年くらいで側方歯が萌出して永久歯に生え変わり,12 歳でう蝕なしを達成する.このようにして,健全な永久歯と咬み合わせを持った「健口」な状態で人生の旅立ちができるようになると提唱. それらの説明を受けて上濱理事長は「口の健康が元気に生きる源である.嚙んで食べて消化吸収して,元気な体を作ることは生涯の宝である」とし,前述の二方の先生の話を生理学的根拠からまとめた.的確な咀嚼で刺激が脳に伝えられ,脳血流も増加する.また,唾液とよく混和された食物は適切に消化管で分解・吸収され,全身の源となる.子どもに対しては,母乳で育て,正しい方法・バランスで離乳食を食べさせ,しっかり嚙ませてう蝕にしないこと.幼児期に自然の味覚を覚えることも生涯において宝である.成人期は口腔内の疾患を早期に治療し,よく嚙ませる.高齢期は残存歯を維持する,口腔を清潔にする,入れ歯でよく嚙める環境を維持する.これによって健康な頭と体を取り戻す.たとえ脳血管障害,認知症などの患者でも,徐々に嚙み応えのある食事を応用した「食事による総義歯リハビリテーション」を行おうと提言した. これらの学会活動は学会内・外問わず注目され,メディアからの取材をはじめ外人記者クラブによる記者会見は記憶に新しい.今回のディスカッションではこれらの講演を元に変わりゆく日本の歯科医療について語っていただいた.
著者
杉原 英雄 谷口 暢子 上原 伸基 臼井 勝久 内田 博之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

<br>防府市クリーンセンターは、一般廃棄物を焼却処理するごみ焼却施設にメタン発酵処理するバイオガス化施設を併設した「ごみ焼却・バイオガス化複合施設」である。混合収集されたごみを機械選別し、隣接施設から受入れた下水、し尿汚泥と混合してメタン発酵を行い、得られたバイオガスを用いて高効率なごみ焼却発電を実現している。<br>2014年4月から商用運転を開始し、これまで安定的な処理を継続しているが、日常運転の中では複合施設特有の問題が発生することがあるため、都度対策を講じ解消することで、より効率的な運用を図っている。本稿では、バイオガス化施設から排出される発酵残渣の焼却処理に関する改善事例について報告する。
著者
河原 英雄 成松 由香 小松 亜希子
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1-2, pp.17, 2016-04-25 (Released:2019-07-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

義歯をリマウントして,咬合調整によりフルバランスの咬合を与えると,「すっきりした」「かめるようになった」など患者の満足を得ることができる.筆者は,リマウント調整後のフードテストの様子を映像で記録することにより,個別的に咀嚼能力の回復を評価してきた.このリマウント調整による咀嚼能力の回復を客観的に確認するため,リマウント調整をした総義歯装着者の70 人(男性23 人,女性47 人,平均年齢75.8 歳)を被験者としてリマウント調整の前と後に咀嚼能力検査を行った.咀嚼能力測定には咀嚼試料中に溶出するグルコース濃度を測定する市販キットを用いた.その結果,92.8%の被検者でリマウント調整後に10%以上の溶出グルコース濃度の向上が得られ,平均41.8%の溶出グルコース濃度の改善をみた(調整前に咀嚼能力の低かった上下総義歯群では68.1%改善した).リマウント調整により高い確率で咀嚼能力が改善することが客観的に確認できた.この事実は,一般に使われている総義歯は,無歯顎者の咀嚼能力を十分に回復しておらず,改善の可能性があることを示している.【顎咬合誌 36 (1 ・2 ): 1 7 - 2 4 ,20 1 6 】
著者
河野 孝太郎 川邊 良平 松原 英雄 南谷 哲宏 羽部 朝男 半田 利弘 川良 公明 田村 陽一 江澤 元 大島 泰 児玉 忠恭 伊王野 大介
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

サブミリ波望遠鏡ASTEに連続波カメラを搭載し、ダストに隠された大質量の爆発的星形成銀河(サブミリ波銀河)を1400個以上新たに発見した。これらの距離や性質を調べるため、多色超伝導カメラ、および超広帯域分光観測システムを開発した。赤方偏移3.1という初期宇宙の大規模構造に付随したサブミリ波銀河の集団の発見、重力レンズによる増光を受けた極めて明るいサブミリ波銀河の発見、非常に赤方偏移の高いサブミリ波銀河候補の発見、など、大質量銀河の形成・進化について重要な知見を得ることができた。
著者
松原 英雄 中川 貴雄 和田 武彦 有本 信雄 児玉 忠恭 川良 公明
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、最先端のスペース及び地上望遠鏡を用いて、可視光から電波領域にわたる多波長サーベイ観測を連携させることにより、「超極赤銀河」(遠方の大きな赤方偏移を受けたスペクトルを持つ銀河で、宇宙の星形成史を解明する上で重要な天体)を多数発見し、さらにその正体を探ることにある。これにより宇宙誕生から現在にいたる宇宙の星形成の歴史の解明に挑む。そこで本研究では、天空の1-5平方度の領域について可視光域〜電波領域にわたる多波長サーベイを連携的に行った。波長2-160ミクロンでのサーベイは、平成18年2月に打ち上げられた赤外天文衛星「あかり」で行った。この特徴は「広く・かつ深く、地上からできない波長をカバー」であり、これによりこれまでに知られている超極赤銀河の数に比べて桁違いに大きいサンプルを得ることができた。「あかり」は、Spitzer宇宙望遠鏡に比べて多数の連続したフィルターバンドを持つおかげで、「あかり」でしか検出不可能な、「PAH高輝度銀河」、「シリケイトブレーク銀河」といった新天体の発見や、700個にも及ぶ「極赤中間赤外線天体」(ERMOs)を検出した。PAH高輝度銀河は中間赤外線で選択した銀河サンプルの約1%に過ぎないけれども、星形成の年齢の極めて若い大変重要な段階にある銀河と考えられる。一方ERMOsは中間赤外線で選択した銀河サンプルの約10-15%存在し、そのかなりの割合が、星形成銀河というよりもむしろ塵に埋もれた活動的銀河核をエネルギー源とするような天体であることがわかってきた。今後このような天体の正体をさらに詳しく調べていくことで、銀河進化の描像に新たな知見を加えることができるであろう。
著者
川村 静児 中村 卓史 安東 正樹 坪野 公夫 沼田 健司 瀕戸 直樹 高橋 龍一 長野 重夫 石川 毅彦 植田 憲一 武者 満 細川 瑞彦 佐藤 孝 佐藤 修一 苔山 圭以子 我妻 一博 青柳 巧介 阿久津 智忠 浅田 秀樹 麻生 洋一 新井 宏二 新谷 昌人 井岡 邦仁 池上 健 石徹白 晃治 市耒 淨興 伊藤 洋介 井上 開輝 戎崎 俊一 江里口 良治 大石 奈緒子 大河 正志 大橋 正健 大原 謙一 奥冨 聡 鎌ヶ迫 将悟 河島 信樹 神田 展行 雁津 克彦 木内 建太 桐原 裕之 工藤 秀明 國森 裕生 黒田 和明 郡和 範 古在 由秀 小嶌 康史 小林 史歩 西條 統之 阪上 雅昭 阪田 紫帆里 佐合 紀親 佐々木 節 柴田 大 真貝 寿明 杉山 直 宗宮 健太郎 祖谷 元 高野 忠 高橋 忠幸 高橋 弘毅 高橋 竜太郎 田越 秀行 田代 寛之 田中 貴浩 谷口 敬介 樽家 篤史 千葉 剛 辻川 信二 常定 芳基 徳成 正雄 内藤 勲夫 中尾 憲一 中川 憲保 中野 寛之 中村 康二 西澤 篤志 丹羽 佳人 野沢 超越 橋本 樹明 端山 和大 原田 知広 疋田 渉 姫本 宣朗 平林 久 平松 尚志 福崎 美津広 藤本 眞克 二間瀬 敏史 前田 恵一 松原 英雄 水澤 広美 蓑 泰志 宮川 治 三代木 伸二 向山 信治 森澤 理之 森脇 成典 柳 哲文 山崎 利孝 山元 一広 横山 順一 吉田 至順 吉野 泰造
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 (ISSN:13428349)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, 2006-03-04