著者
堀本 雅章 Horimoto Masaaki 法政大学沖縄文化研究所 Institute of Okinawa Studies Hosei University
出版者
沖縄地理学会
雑誌
沖縄地理 (ISSN:09166084)
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-26, 2009-06

沖縄県竹富町にある鳩間島では,過去2度にわたり小学校廃校の危機に直面した.学校存続のために,親戚の子を呼び寄せ,施設の子どもを受入れ,近年は「海浜留学生」を受入れることにより学校を維持している.学校の役割は第一に「教育の場」と考えられるが,調査の結果,「島の存続」,「島の活性化・過疎化させないためのもの」をあげる者が多かった.島外から子どもを受入れることにより廃校にならず,島は明るく活気が出て,子どもたちが島へ与える影響は大きい.同時に,島民や島の自然が子どもたちに与える影響も大きい.近年,少ないながら,鳩間島出身者が戻りつつある.今後鳩間島出身者を含め,人々が定住できるように,鳩間島に合った観光を取り入れると同時に,観光だけに頼らない新たな島の産業の確立が必要である.
著者
清川 紘二 桜井 国俊 Kiyokawa Kouji Sakurai Kunitoshi 法政大学沖縄文化研究所 沖縄大学人文学部
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.15, pp.61-68, 2013-03-15

本稿はアジア・太平洋戦争下で行われた日本政府・朝鮮総督府による朝鮮人被強制連行者、徐正福氏の2度(2006 年12 月、2007 年4 月)にわたるインタビューからの抜粋である。農民であった徐さんは1944年6月に慶尚北道達城郡嘉昌面の自宅で拉致され、沖縄県宮古島に連行された。宮古に上陸後は、軍夫として艦船からの荷物の揚陸作業を行った。徐さんは3000 人の強制連行者のうち唯一の日本語のできる朝鮮人であったため、軍夫長と言う重要な役職につき、軍隊と軍夫との通訳等も行った。宮古における軍夫の使役の状況、米軍爆撃の様子、日本軍人による差別、朝鮮人慰安婦のエピソード等についての詳細な口述は、沖縄における朝鮮人軍夫の状況をよく伝えている。徐さんの語りは、2006 年6月沖縄大学で講演した被強制連行者、姜任昌氏(慶尚北道英陽郡出身)による阿嘉島からの報告とともに、朝鮮人強制連行史における宮古島の空白のページを埋める貴重な証言である。