著者
竹村 淳子 津島 ひろ江 泊 祐子
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 = The journal of child health (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.72-80, 2014-01

成人移行期に二次障害を発症した重症心身障害児の親が治療選択過程で発揮するレジリエンスの様相を明らかにするため, M-GTA の手法を用いて質的に分析した。その結果,親は《二次障害の予備知識のえ蓄え》を土台に,《二次障害出現の実感》をしていた。症状が出現すると《治療の価値と機能の喪失の聞で逡巡》しつつ, 《体調回復への努力》をしたが,わが子の体調悪化をみて《タイムリミットの見極め》をしていた。親は苦悩を断ち切り,二次障害の治療は, 《わが子が生きるための治療と判断》する。そして,〈この先も続く体調変化を受け止める覚悟〉をしながら.,《わが子の体調変化に向き合う覚悟》を高めてゆく。
著者
山田 景子 津島 ひろ江
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-25, 2013

昭和54年の養護学校義務制度の開始により,重度障害のある児童生徒等の就学が可能となったが,医療的ケアを行う者は,学校に同伴する保護者であった.しかし,保護者負担の軽減や児童生徒等の 教育的ニーズにこたえる形で,各学校に配置された看護師や研修を受けた教員等へとケアを行う者が 推移していった.平成23年6月に出された「介護保険等の一部を改正する法律による社会福祉士及び 介護福祉士法の一部改正」により,特別支援学校において,教員等が医療的ケアを実施することが制 度上可能になった.本研究では,医療的ケアや医療的ケアを行う者についての法制度に係わる背景及 び変遷について述べ,教員等と看護師,養護教諭の職務に係わる課題を考察した.1特定行為を行う教員等が,教員の養成段階で医療的ケアの知識を得ておくことで,医療的ケアの 理解につながる.2看護師は,医療的ケアを行う者であり,教員等の指導者でもある.学校と病院と の看護の相違に戸惑うことがあり,学校における看護やその在り方について研修が必要である.3医 療的ケアに係わる校内体制のキーパーソンとなる養護教諭は,養護教諭の養成段階で医療的ケアに関 する知識や技術を取得しておくことが求められている.さらに,学校内外の連絡調整や医療的ケア校 内委員会等のコーディネーターとしての能力育成が課題である.
著者
吉利 宗久 津島 ひろ江
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.225-233, 1999-12-25

本研究においては, アメリカ合衆国における健康障害児の統合教育をとりあげ, ヘルス・ケアサービスとの関係から今日的課題を探った.近年では, 個別障害者教育法(IDEA)における統合教育の要求や医療技術の進歩とともに, 健康障害児が通常の教育環境において教育を受ける機会が拡大している.それに伴い, 教育現場においても, 教育者が複雑なヘルスケアへの対応を求められるようになってきた.しかしながら, それと同時に, 「特殊教育及び関連サービス」の枠組みの中でのヘルス・ケアの性質や範囲をめぐる議論がなされ, 訴訟においても大きな争点となっている.そこで, 健康障害児の教育状況を把握し, ヘルス・ケアをめぐる法解釈と判例を中心に検討を進めた.また, ケアサービスの提供システムに関する実態と問題点についても言及した.