著者
山田 景子 津島 ひろ江
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-25, 2013

昭和54年の養護学校義務制度の開始により,重度障害のある児童生徒等の就学が可能となったが,医療的ケアを行う者は,学校に同伴する保護者であった.しかし,保護者負担の軽減や児童生徒等の 教育的ニーズにこたえる形で,各学校に配置された看護師や研修を受けた教員等へとケアを行う者が 推移していった.平成23年6月に出された「介護保険等の一部を改正する法律による社会福祉士及び 介護福祉士法の一部改正」により,特別支援学校において,教員等が医療的ケアを実施することが制 度上可能になった.本研究では,医療的ケアや医療的ケアを行う者についての法制度に係わる背景及 び変遷について述べ,教員等と看護師,養護教諭の職務に係わる課題を考察した.1特定行為を行う教員等が,教員の養成段階で医療的ケアの知識を得ておくことで,医療的ケアの 理解につながる.2看護師は,医療的ケアを行う者であり,教員等の指導者でもある.学校と病院と の看護の相違に戸惑うことがあり,学校における看護やその在り方について研修が必要である.3医 療的ケアに係わる校内体制のキーパーソンとなる養護教諭は,養護教諭の養成段階で医療的ケアに関 する知識や技術を取得しておくことが求められている.さらに,学校内外の連絡調整や医療的ケア校 内委員会等のコーディネーターとしての能力育成が課題である.
著者
太田 美智男 山田 景子 岡本 陽
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1.黄色ブドウ球菌biofilm形成は菌株によって発現が異なる。Biofilm高度産性株において、ica遺伝子ノックアウト、プロテアーゼ処理、DNase処理のいずれでもbiofilm産生は大幅に低下した。したがってbiofilm高度産生にはica産物であるPIAならびに蛋白、DNAが関与していた。icaノックアウト株ではプロテアーゼ処理、DNase処理の影響はほとんど見られなかった。したがってノックアウト株が形成する少量biofilm形成はc-di-GMPの影響を受けるが、蛋白、DNAが関与せず、恐らく他の多糖体のみによって形成される。このことはc-di-GMPが主に多糖体合成調節に関与することを示唆する。2.A群連鎖球菌はc-di-GMP生合成を行うGGDEFモチーフを持つ蛋白をゲノム配列から見いだすことができない。これは他の連鎖球菌においても同様である。しかし我々はA群連鎖球菌の細胞内にc-di-GMPを検出することに成功した。ゲノム配列を再検索したところ、GGDQVモチーフを持つ蛋白が一種類見いだされた。この蛋白はPAS,DHHドメインを有し、c-di-GMP生合成に関与することが予想された。この蛋白の遺伝子をノックアウトすると、biofilm形成が促進された。またc-di-GMPの産生が失われた。したがってこの蛋白はc-di-GMPの合成を行うことが証明された。GGDQV蛋白はGGDEF蛋白を持たない多くのグラム陽性菌などにおいて広く見いだされた。したがってc-di-GMPは細菌におけるbiofilm合成に関与する普遍的なシグナル分子であることが明らかとなった。
著者
早川 芳宏 塚本 眞幸 太田 美智男 山田 景子
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

環状ジグアニル酸(c-di-GMP)および人工修修飾体の(1)生理活性探索と(2)生理活性発現機構の解明研究を行い、(1)については、c-di-GMP類は、肺炎双球菌、Ehrlichia chaffeensis菌、Anaplasma phagocytophilum菌、Borrelia brugdoferi菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感染力を、主に免疫活性化作用によって低下させることを発見、(2)については、c-di-GMP類が示すいくつかの生理活性の中でも最も重要な免疫活性化の機能発現機構解明の鍵となる、「免疫は、c-di-GMPが哺乳動物に存在する免疫タンパク"stimulator of interferon genes(STING)"と結合する事によって発現される」という証拠を発見した。