著者
津田 右子
出版者
広島文化学園大学
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.8-26, 2001-09

日本の近代的な看護教育は,ナイチンゲールによって発展させられた一つの専門職として職業化された近代看護が日本に導入され,いわゆるTrained Nurse(正式な看護婦)としての誕生をみた時を出発点としている。これは西洋看護教育(ナイチンゲール方式)の導入と言うことも出来る。そして,草創期とは,このような看護婦養成が開始された明治18年を基点に,主に明治20年代をさしている。ここでは,1.有志共立東京病院看護婦教育所,2.京都看病婦学校,3.桜井女学校付属看護婦養成所,4.帝国大学付属看病法練習科,5.日本赤十字社看護婦養成所,6.聖路加病院附属高等看護婦養成所の6校を対象にとりあげ、近代看護教育の草創期に関わった人々の資料や当時の卒業生の声を集めて,その教育観をまとめた。(英文抄録:Modern training of nurses in Japan commences with the appearance of the qualified nurse following the introduction of modern nursing as a profession along the lines developed by Florence Nightingale. This may be characterised as the introducion of Western-style nurses' training by the Nightingale method. The pioneering days of nursing in Japan thus begin in 1885 and continue throughout most of the last decade of the nineteenth century. The present paper concentrates on six schools, namely Yushi Kyoritsu Tokyo Byoin Kangofu Kyoikusho [Yushi Kyoritsu Tokyo Hospital Nurses' Training Institute], Kyoto Kangofu Gakko [Kyoto Nurses' School], Sakurai Jogakko Kangofu Yoseisho [Sakurai Girls' School Nurses' Training Institute], Teikoku Daigaku Fuzoku Kanbyoko Renshuka [Imperial University Nursing Practice Department], Nihon Sekijujisha Kangofu Yoseisho [Japan Red Cross Nurses' Training Institute] and Sei Ruka Byoin Koto Kangofu Yoseisho [St Luke's Hospital Higher Nurses' Training Institute]. It sifts through materials on the people who contributed to the pioneering days of modern nurses' training in Japan and listens to the voices of the young women who were trained in these schools in an attempt to build up a picture of the educational philosophy of the age.)
著者
西川 まり子 木村 誠子 芥川 清香 津田 右子 井筒 潤子 久米 絢弓
出版者
広島国際大学看護学部
雑誌
広島国際大学看護学ジャーナル (ISSN:13495917)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.53-59, 2012-03-31

日本と肩を並べ世界トップクラスの長寿国であるマルタ共和国は,非常に小さな島国で日本ではほとんど知られていない.マルタ共和国の人口は40.3万人で,年間約1 ,000万人の外国人観光客を受け入れている.この小さな国の医療観光者を含む全ての人々に平等に行き渡る無料で質の高い大きなヘルスケアについて,日本でも参考にし得る事があるか模索した.その結果,患者中心で外国人を含めた皆に平等なヘルスケアを目指している事,タイムリーに整う多言語通訳サービスの充実と退職した看護師の積極的な人材活用への挑戦は日本も参考にし得ると考える.
著者
津田 右子
出版者
松本短期大学
雑誌
松本短期大学研究紀要 (ISSN:09107746)
巻号頁・発行日
no.16, pp.229-236, 2007-03

看護は患者-看護師の信頼関係の成立を基盤として行われるケアである。この患者と看護師の関係は時間的経過が影響していると考えられる。そこで、本論では、アメリカの患者-看護師関係論を取り上げて、時間の概念(時間的経過と一時)がどのように論じられているのか比較検討、分析した。その結果、時間的経過がオーランド、ウィーデンバック、ペプロウ、トラベルビーの4人の理論家には明確でなかった。しかし日本の外口玉子と川野雅資の人間関係論には時間的経過の概念が含まれていた。但し、オーランドとウィーデンバックは「即時、その時その場で」という「一時」の時間の概念があった。現代の日本の医療における看護援助では、入院日数の短縮化でゆったりとした「時間的経過」で患者-看護師関係を形成するには困難があるが、そのような状況では、「即時」にどのように患者-看護師関係を形成していくのか、「時間」に注目して患者-看護師関係を形成することが重要であると考えている。それには、ここで取り上げた人間関係論を見直すことが必要である。