著者
和田 桂子 岸本 直之 宗宮 功 佐藤 寿彦 津野 洋
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.55-62, 2014 (Released:2014-03-10)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

富栄養化の原因となるリン除去を目的に,赤玉土を土壌浸透浄化法へ適用するため,カラム法を用いてリン除去性能を把握する短期通水試験と共に,赤玉土のリン吸着寿命評価のため約7年間に渡る長期連続通水のリン吸着試験を実施した。その結果,土壌カラムのリン除去性能向上は,土壌との接触時間の維持確保,および,土壌層の厚み確保の双方が重要であることが明かとなった。リン吸着試験から,流出水リン濃度の急激な上昇が観測されるまでの累積リン吸着量はおよそ0.5~1.5 gP•kg-1の範囲と推察された。また,リン酸吸収係数の10%が土壌の浄化容量に相当し,施設設計のリン吸着寿命を推定する上で有効な指標となり得る。水質モニタリングから求めた累積リン除去量と累積リン吸着量はある程度一致し,本実験条件では,週2回程度の水質モニタリングにより吸着量を推定することができ,これによって実際の施設運用年数を推定することもできた。
著者
津野 洋 河村 正純 西村 文武 日高 平 本間 康弘 蒲池 一将 渡部 紀一
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 = Environmental conservation engineering (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.227-234, 2012-04-20
参考文献数
16

溶解性の重クロム酸COD(以下CODと記す)濃度が1000~1500㎎/LおよびSS濃度が300㎎/Lとなるように糖質系高濃度食品工場廃水と人工的合成生ごみにより調整した調整食品廃水,ならびに実際の製あん食品工場廃水の処理に対し,生物活性炭嫌気性反応装置を適用し安定的および効率的な処理の可能性とその操作因子について検討した.調整食品廃水および製あん食品工場廃水に対し,COD流動床容積負荷が各々0.5~33㎏/(m<sup>3</sup>・日)および1.6~29㎏/(m<sup>3</sup>・日)の条件下で,平均全COD除去率は各々86%および89%であった.調整食品廃水に対して,平均溶解性COD除去速度を基にした固形性COD変換率は平均0.12㎏COD/㎏COD-除去量であり,流入固形性CODの95%が可溶化することがわかった.
著者
津野 洋 張 鶴清 坂本 昌則 山田 春美
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.111-119, 2009

エストロゲン様活性を波長405nmにおける発色強度で測定するNRL/TIF2-BAPアッセイはフミン質系着色試水についても適用できると考え,その再現性ならびに適用性の評価を試みた.また種々の下水処理工程水や汚泥サンプルについてGC-MSから得られた結果と比較検討を試み,以下の知見を得た.<br> 1)E1がE2の1.6倍,E3がE2の2.7倍も感度が高く,BPAに関しても他の方法より活性値が2桁高く,NPは同程度であり,本法は感度の高い方法である.<br> 2)下水一次処理水および二次処理水のE2添加回収率は60%以上で,変動係数は20%以内であった.<br> 3)GC/MSによる測定値と高い相関性が確認され,フミン質系着色試水や汚泥に対しても適用可能であること,およびオゾン処理の評価においては安全側の指標として有用であることが示された.<br> 環境水における生態系への影響が合成物質に比べ天然エストロゲンが寄与していることを考えると,NRL/TIF2-BAPアッセイは安全側の水処理指標になると考えられる.
著者
津野 洋 宗宮 功 西村 文武 小島 岳晴
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.246-253, 1997-04-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The low pH of acid precipitation is buffered by soil to some extent, but the pH-buffering mechanism also releases variety of materials, which may cause wide effect on the aquatic environment. So in this research, we have permeated artificial acid rain through soil to examine the quality of soil leachates. As a result, we have found that some soils around Lake Biwa have reached the aluminium buffer range which has possibilities of deteriorating the aquatic ecosystem. We have also found that phosphorus included in the leachate causes great effect on algal growth potential under low pH condition as 4.0.