著者
松本 久也 井元 佑介 浅井 光輝 三目 直登
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210017, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)
参考文献数
33

粘性流れ問題に対し海底面形状に適合した座標変換を適用した,底面境界適合型 moving particle semi-implicit/simulation (MPS) 法を提案する.また,この座標変換の際に出現する混合偏微分の計算モデルを提案する.この混合偏微分モデルは,MPS 法の既存の微分作用素モデルを包括する形で導出する.提案手法の精度検証として,混合偏微分モデルおよび曲線座標系におけるラプラシアンモデルの収束性の評価を行う.加えて,底面が曲線的な容器内の静水圧問題を解析し,底面境界適合型 MPS 法の精度を検証するとともに,三角形状障害物を有するダムブレイク問題を解析し,動的な問題への適用性を議論する.
著者
森本 敏弘 浅井 光輝 笠間 清伸 藤澤 和謙 井元 佑介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_213-I_221, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
26

2011年東北地方太平洋沖地震では,津波により防波堤や防潮堤などの港湾施設が甚大な被害を受けた.防波堤や防潮堤の被災メカニズムに関するこれまでの研究・調査により,I. 防波堤前面と背面の水位差に起因して作用する水平力,II. 防波堤の越流水ならびに目地で発生する流水による捨石マウンドの洗掘,III. 浸透流による捨石マウンドの支持力低下に伴うパイピング破壊などが被災の主因として考えられている.本研究では,この中でもIII. の浸透流による防波堤の崩壊現象の解明に焦点をあて,まず基礎段階として,粒子法による地表流(津波)と浸透流の統一解析法を構築した.支配方程式には既往の研究よりナビエ・ストークス方程式と拡張されたダルシーの法則を統一的に記述したものを採用し,粒子法の一種である安定化ISPH法の概念に基づいて定式化している.最後に,簡単な例題を用いて本解析手法の検証を行った.
著者
藤井 孟大 浅井 光輝 井元 佑介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_247-I_257, 2020 (Released:2021-02-01)
参考文献数
23

安定化 ISPH 法は,非圧縮性流れに対する粒子法の一種であり,圧力ポアソン方程式に粒子配置を平滑化するための安定化項を付加した粒子法である.固液混相流解析においては,固液の境界付近で生じる粒子密度の誤差を補正するため,安定化項の影響を大きくする必要がある.一方で,安定化項は物理変数に非物理的な影響を与えるため,激しい流れを伴う固液混相流解析では物理変数の誤差が影響して計算が不安定化する.そこで本研究では,物理変数の更新に用いる流速(物理速度)と粒子の位置更新に用いる流速(輸送速度)を区別し,輸送速度にのみ安定化項の影響を与える選択型デュアル流速 ISPH 法を提案する.提案手法の精度検証としてダム崩壊混相流れの再現解析を行い,実験および従来手法と比較することで提案手法の妥当性と有効性を確認した.
著者
田邊 将一 浅井 光輝 宮川 欣也 一色 正晴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_329-I_338, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
18

東日本大震災から数年が経過した今,今後危惧される巨大津波に備えて橋梁の津波対策が積極的に議論されている.実寸大での橋梁流失実験が現実的に困難であるため,数値シミュレーションによる橋梁の流失被害予測が期待されている.本研究では,流体解析分野だけでなく破壊を考慮した固体解析分野での利用も注目されている粒子法を解析手法として採用し,これまで粒子法の中で提案されてきた流体剛体連成解析の定式化を整理した後,主に用いられている2つの定式化(速度ベースと外力ベース)による差異を検証することにした.この際,外力ベースの定式化においては近年開発された高精度な境界処理法を採用した改良法を提案している.最後に,簡単な橋梁流失問題を通して両定式化による結果を比較検討した.
著者
大村 浩之 三目 直登 浅井 光輝 磯部 大吾郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210011, 2021-07-15 (Released:2021-07-15)
参考文献数
26

本稿では,壁領域の角を考慮し,Incompressible Smoothed Particle Hydrodynamics (ISPH) 法のような半陰解法の粒子法に適したポリゴン壁境界モデルを開発した.基本的な理論はExplicitly Represented Polygon (ERP) 壁境界モデルを踏襲しつつ,オリジナルのERPモデルで定義されている平面ポリゴンに対する壁面寄与計算を角に対しても拡張した.そのうえで,角に対して表現された壁領域の体積を角の平面角度および立体角度に基づく近似式で補正することで,計算効率を維持しながら精度の向上を図った.開発したモデルを改良ERP壁境界モデルとし,ISPH法へ導入した.開発したモデルの妥当性を検証するため,3次元の静水圧問題およびダムブレイク問題を解いた.計算結果から,改良ERPモデルを用いた場合,従来のERPモデルと比べて理論値もしくは実験値に近く,かつ滑らかな圧力分布が得られることが確認された.