著者
米谷 朋恵 鈴木 有 室崎 益輝
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-8, 2000-11-17 (Released:2018-09-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The purpose of this report is to clarify what caused the death or survival of the residents in wooden houses during the Great Hanshin-Awaji Earthquake Disaster, through the case study in Toshima, Hokudan based on the Structural damages of wooden houses and on the life-styles and reactions of the residents to sudden shaking. The results are summarized as follows: The causes of the inhabitants' survival or death were interpreted through a flow chart.The phases of occurrcnce of inhabitant's death were roughly divided into two categories; how the house was damaged and h ow their lives were threatened. The most important keywords related to survivals of inhabitants are repairs of old houscs, immediate rescues, and existence of materials to make effective spaces for escape such as fumiture.
著者
平野 智紀 鈴木 有紀
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.275-284, 2020 (Released:2022-04-01)
参考文献数
11

本研究では,対話型鑑賞のファシリテーションにおける「どこからそう思う?」という問いかけの意味について,「どうしてそう思う?」と比較する授業を小学校段階において設計・実践し,データをもとに検証した。教員と児童の発話分析およびふりかえりシートの分析から,「どこからそう思う?」という問いかけにより,子どもたちは作品の表現内容に根拠を求めることができるとともに,教員が子ども同士の発言をつなげてコメントする回数が増え,さらに鑑賞を深めることが可能になっていたことが示唆された。
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2008-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
35
被引用文献数
49 33

本研究の目的は, 共感性の多次元的アプローチに従い, 他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度 (MES) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し, 質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果, 5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数, I-T相関係数, 再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また, 既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後, 自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが, 共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
著者
鈴木 有美 速水 敏彦
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.23-31, 2015-09-30 (Released:2015-10-08)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

Focusing on the argument of which assumed competence was derived from the motivation of self-enhancement for the ego-threatened person, the present study elucidated its relationship to anxiety, defense mechanism, subjective well-being, and hopelessness. In the first study, 354 undergraduates were classified into 4 competence types based on crossing scores of the Assumed Competence and Self-Esteem scales: atrophic, self-esteemed, omnipotent, and assumed. Those who were categorized in assumed competence type rated the highest on anxiety and coped with their ego-threat on immature defense level. In the second study, a self-report questionnaire was administered to 300 undergraduates to examine the relationships among assumed competence, self-esteem, subjective well-being, and hopelessness. The results clarified that their mental health varied not solely with a tendency of undervaluing others but with self-esteem. Discussed were some issues for future research in terms of training programs exerted to cope with ego-threats on mature defense level, to protect self-esteem, and then to improve well-being for adolescents.
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.125-133, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

本研究は,ウェルビーイングの検討において共感性を考慮する重要性に着目し,特に共感性の感情的側面である共感反応の他者指向性―自己指向性の違いに焦点を当ててウェルビーイングにおける差異を検討した。大学生210名を対象とした相関分析の結果から,他者指向的な共感反応傾向および社会的スキルの高い者ほど日常生活や対人関係で満足している一方,自己指向的な共感反応傾向が高く社会的スキルの低い者ほどディストレスの多い傾向が明らかとなった。また,他者/自己指向的な共感反応および社会的スキルにより分析対象者を4クラスタに分類し,ウェルビーイングの差異を検討した分散分析では,他者指向的な共感反応傾向が高く,自己指向的な共感反応傾向が低く,社会的スキルの高いクラスタのウェルビーイングが良好であった。これらにより,自身のウェルビーイングを維持するためには,社会的スキルが高いというだけでなく,他者指向的に共感すると共に自己指向的に共感しない重要性が示された。
著者
鈴木 有佳 仙田 幸子 本庄 かおり
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-151, (Released:2021-08-06)
参考文献数
16

目的 出産を経ても就業を継続する女性の割合が増加している。欧米では,女性の特定の職種が出産時・出生後の児の死亡リスクと関連することが報告されているが,日本ではこの関連を検討した疫学研究はない。そこで本研究は,全国調査データを用い,母親の職種による妊娠12週以降出生までの児の死亡リスク(解析1),出生から出生1年後までの児の死亡リスク(解析2)について検討することを目的に実施した。方法 1995, 2000, 2005, 2010, 2015年度人口動態職業・産業調査(出生票,死産票)ならびに1995-96,2000-01,2005-06,2010-11,2015-16年度人口動態調査(死亡票)を用いた。解析1では生まれた児のうち,5,355,881人を対象とし,解析2では同期間に出生した児のうち,5,290,808人を対象とした。説明変数は母親の職種(管理・専門・技術,事務,販売,サービス,肉体労働,無職),目的変数は自然死産(自然死産なし=出生)(解析1),新生児・乳児死亡(新生児・乳児死亡なし=出生1年後生存)(解析2)とし,ロジスティック回帰分析を用いて解析した。また,有職者における職種に起因した自然死産の人口寄与危険割合を算出した。結果 自然死産は61,179人(1.1%),出生した児のうち新生児・乳児死亡は12,789人(0.2%)だった。出産時の母親の職種が管理・専門・技術と比較した,事務,販売,サービス,肉体労働,無職の,自然死産に関する調整オッズ比(95%信頼区間)は,1.24(1.20-1.29),1.48(1.41-1.56),1.76(1.69-1.83),1.54(1.46-1.61),0.95(0.92-0.98)だった。母親の職種と新生児・乳児死亡の関連は見られなかった。また,有職者における母親の職種が事務,サービスの自然死産に対する人口寄与危険割合は7.4%,12.3%だった。結論 本研究の結果,母親の職種により自然死産リスクに差が認められた。とくに,母親の職業がサービス職である場合,自然死産のリスクならびに人口寄与危険割合が最も高かった。一方,母親の職種と出生後の新生児・乳児死亡リスクには関連がみられなかったことから,母親の職種は妊娠期において児の状態に影響する可能性がある。本研究結果により,妊娠期の母親の職業に注意を払う必要が示唆される。
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2008-12-30
被引用文献数
17

本研究の目的は,共感性の多次元的アプローチに従い,他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度(MES)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し,質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果,5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数,I-T相関係数,再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また,既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後,自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが,共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
著者
鈴木 有佳 仙田 幸子 本庄 かおり
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.669-676, 2021-10-15 (Released:2021-10-06)
参考文献数
16

目的 出産を経ても就業を継続する女性の割合が増加している。欧米では,女性の特定の職種が出産時・出生後の児の死亡リスクと関連することが報告されているが,日本ではこの関連を検討した疫学研究はない。そこで本研究は,全国調査データを用い,母親の職種による妊娠12週以降出生までの児の死亡リスク(解析1),出生から出生1年後までの児の死亡リスク(解析2)について検討することを目的に実施した。方法 1995, 2000, 2005, 2010, 2015年度人口動態職業・産業調査(出生票,死産票)ならびに1995-96,2000-01,2005-06,2010-11,2015-16年度人口動態調査(死亡票)を用いた。解析1では生まれた児のうち,5,355,881人を対象とし,解析2では同期間に出生した児のうち,5,290,808人を対象とした。説明変数は母親の職種(管理・専門・技術,事務,販売,サービス,肉体労働,無職),目的変数は自然死産(自然死産なし=出生)(解析1),新生児・乳児死亡(新生児・乳児死亡なし=出生1年後生存)(解析2)とし,ロジスティック回帰分析を用いて解析した。また,有職者における職種に起因した自然死産の人口寄与危険割合を算出した。結果 自然死産は61,179人(1.1%),出生した児のうち新生児・乳児死亡は12,789人(0.2%)だった。出産時の母親の職種が管理・専門・技術と比較した,事務,販売,サービス,肉体労働,無職の,自然死産に関する調整オッズ比(95%信頼区間)は,1.24(1.20-1.29),1.48(1.41-1.56),1.76(1.69-1.83),1.54(1.46-1.61),0.95(0.92-0.98)だった。母親の職種と新生児・乳児死亡の関連は見られなかった。また,有職者における母親の職種が事務,サービスの自然死産に対する人口寄与危険割合は7.4%,12.3%だった。結論 本研究の結果,母親の職種により自然死産リスクに差が認められた。とくに,母親の職業がサービス職である場合,自然死産のリスクならびに人口寄与危険割合が最も高かった。一方,母親の職種と出生後の新生児・乳児死亡リスクには関連がみられなかったことから,母親の職種は妊娠期において児の状態に影響する可能性がある。本研究結果により,妊娠期の母親の職業に注意を払う必要が示唆される。
著者
久保田 真弓 鈴木 有香
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.45-57, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
10

コロナ禍で急遽要求されたオンライン授業に不慣れな教員等を対象にZoom利用に関するワークショップが実施された。そこで本研究では,参加者の躓き要因をデザイン原則の観点から明らかにし,ワークショップの意義を提案する。異文化コミュニケーション学会が開催した1回2時間の初級(2回),中級(3回)の合計5回のワークショップを取り上げ,延べ参加者62名の躓き要因とデザイン原則との関連を分析した。ワークショップの内容は,初級レベル14項目,中級レベル12項目ある。そのうち,参加者の躓き要因は,「シグニファイア」,「制御感」,「想定外」,「重層構造」にまとめられた。「シグニファイア」による躓きは,記号や用語の使用方法であり,的確なフィードバックで解決する。一方,「制御感」「想定外」「重層構造」による躓きは,ユーザーの概念モデルの多様化が背景にあると考えられた。デザイナーが示すシステムイメージの変化にユーザーの利用習慣がついていけないのである。そこで,ワークショップでファシリテーターが参加者の潜在意識のレベルでの違和感を見抜き躓きに対応することで,デザイナーとユーザーの概念モデルのギャップを縮めることができることを提案した。
著者
鈴木 有美
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.145-155, 2002-12-27
被引用文献数
1

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
鈴木 有 青野 文江 後藤 正美
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.185-192, 1995-11

本論では、1994年12月28日に発生した三陸はるか沖地震地震で主要な被災地となった青森県八戸市を対象に、市の健康福祉部と八戸市域消防本部がまとめた負傷者の資料に基づいて、若干の統計分析を行い、1993年釧路沖地震の場合と比較しながら、人身被害の発生状況と発生原因、建物被害の地域分布との関連等を、特に高齢者の被害に注目しながら考察した。本論での検討結果をまとめると、次のようになる。(1) 本地震は、2年前に発生した釧路沖地震と発震の季節や日時、主要被災地の環境条件が似通っており、人身被害の発生にも共通する傾向が認められた。(2) 女性の被災率が男性を上回ること、災害弱者となる高齢者(特に女性)に負傷の発生率が高いこと、がまず指摘できる。(3) 最近の地震による人身被害の発生過程と同様に、重量のある家具や設備機器の転倒や落下で身体の各部位に挫傷・打撲・捻挫等が、散乱した落下物の割れ物で下肢や手部に切傷が、被震中や直後の対処行動時の転倒・転落・衝突で各部位に打撲・捻挫・骨折等が、そして石油ストーブ上の熱湯による下肢の熱傷が著しかった。釧路沖地震の場合と比べると、熱傷の発生比率が半減し、挫傷系列の占める割合が多いこと、ガス中毒の発生が少なかったことが今回の特徴である。(4) 今回の地震は本震の10日後に強い余震を伴った。両者の震源が異なるため、地動分布に差を生じ、負傷者発生の地域分布も相当に変わったが、余震時の人身被害の発生は本震の体験を経て抑制されたと評価できよう。(5) 高齢者は心因性による内科性や神経性の発症割合が他の年代よりも多く、非常時の精神的ダメージの影響が大きいことが現れている。また外傷性では、骨折・捻挫が多くを占め、特に女性に目立っている。これは高齢に伴う身体全体の老化に加えて、骨粗鬆症など骨の老化が起こりやすい女性の特性を反映していると考えられる。(6) 釧路沖地震の場合も含めて、重傷は骨折・捻挫と熱傷から多く発症している。また年代別では、高齢者に重傷の発生割合が高く、身体機能の低下により、軽傷で防ぎ切れない場合が多いことをうかがわせる。(7) 震度6程度の揺れでは、建物の大きな被害が起こる以前に、生活空間中の多様な存在物が危険物と化し、在室者の対処行動の混乱も加わって、負傷発生の原因となる。寒冷地における熱傷防止には、暖房用火器への作用度の高い対震自動消火装置の装備普及に加えて、湯沸かしや加湿のための容器を直上に置かないこと、本体の転倒抑制を工夫することが必要となる。打撲や挫傷の防止には重い家具の転倒・落下対策が、切傷の防止には割れ物の破損対策が基本で、安全空間の事前確保が肝要である,特に高齢者を含めて弱者への配慮を心がけたい。こうした一連の備えが重度の被害防止に役立つはずである。
著者
鏡味 洋史 鈴木 有 宮野 道雄 岡田 成幸 熊谷 良雄 中林 一樹 大西 一嘉 多賀 直恒
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では地震災害事象について発災を出発点とし、緊急対応、復旧対応、復興、そして次の災害に対する準備に至る時系列の中で、対象としては個人・世帯を出発点とし、地域社会、地域行政体、国、国際に至る空間軸でできる限り広く問題設定を行った。個別の災害情報管理の問題を情報の受信者である被災者・被災地の側からのアプローチと情報発信側となる行政体など各組織・セクターからのアプローチで展開し、情報管理のあるべき姿、ガイドライン構築を目指した。各分担課題は、全体の枠組みを整理するもの、情報システムの視点を被災者側におく課題、視点を対応組織の側におく課題の3種類に区分してすすめ、最終年度には研究の総括を行った。被災者側の視点からは、被災者の住環境からの情報ニーズの把握、災害弱者を対象とした情報伝達・収集システムの提案、郵便配達システムを活用した情報システムの提案、地域の震災抑制情報の有効性、住民主体の復興まちづくりにおける情報ニーズの把握がなされた。対応組織の側からは、地方行政体による被災情報の収集状況に関する時系列モデル化、地震火災については消防活動訓練システムの構築、災害医療情報については阪神・淡路大震災の事例を分析したシステム化の方向、ライフライン停止に伴う生活支障を計量化の提案、都市復興期における情報の役割、が明らかにされている。各課題では、既往の地震災害に基づく情報ニーズの整理、それに基づく情報管理のあるべき姿の提示、プロトタイプシステムの提案へ統一した形で進めた。課題によっては、問題の大きさ、複雑さなどにより到達度の差は大きいが、大きな方向を示すことができたと考えている。本計画研究は単年度の申請であるが継続して4年間研究を行い、最終年度には報告書の刊行を行った。