著者
三沢 大介 大島 慶太 渡邊 真 浅井 幹一 井野 晶夫 上田 真努香
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.1393-1395, 2005-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

2年3カ月間に経験した横紋筋融解症11例について検討した. 7例が冬期に発症し, 65歳以上の高齢者が7例を占めた.症状は意識障害,食欲低下など非定型的なものが多く,筋痛,筋力低下を訴える例は少なかった.原因および誘因は長時間の体動不能による筋圧迫5例, A型インフルエンザ1例,感染性腸炎1例,熱中症1例,悪性症候群1例,テオフィリン製剤の多量内服1例などが推測された.合併症として腎不全,血管障害,肺炎が多く見られた.当内科入院患者における横紋筋融解症(以下RM)の臨床的特徴について検討した.
著者
下方 浩史 葛谷 文男 吉峯 徳 浅井 幹一 坂本 信夫
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.391-397, 1983

老化と深いかかわりを持つ高脂血症・動脈硬化の予防と治療に関する研究の一環として, 食事と血清脂質の関係について明らかにするための検討を行なった. 121名の健康な成人を対象に3日間の食事内容を調査し, 同時に測定した肥満度, 血圧, 血清脂質との関係について多変量解析の手法を用いて検討した.<br>まず血清脂質と食事内容とに対して正準相関分析を行ない, 弱いが有意な相関があることを確認した. 食事内容に血圧, 肥満度を加えて血清脂質との間に正準相関分析を行なったところ, より強い相関関係が示された. 次に血清脂質の各々について食事内容との間に重回帰分析を行なった. 総コレステロール, 高比重リボ蛋白コレステロール (以下HDL-コレステロールと略す), トリグリセライド, Atherogenic Index は食事内容に肥満度, 血圧を加えることによってはじめて有意な相関を示したが, リン脂質は食事内容のみでも有意な相関を示した.<br>食事のどのようなかたよりが血清脂質に大きな影響を及ぼすかについて次に検討した. 摂取食品に対して因子分析を行ない, 各食品の摂取状態の分布を求めたところ, 食品を大きく4つの群に分けることができた. しかし得られた各因子と血清脂質との間には, はっきりした関係は見い出されなかった. そこで食事のかたよりの具体的な指標として, 食品を植物性のものとそうでないものに分け, 植物性食品の摂取量と血清脂質との関係について検討した. その結果, 植物性食品は多少総コレステロールを低下させる傾向があるが, それ以上にHDL-コレステロールを大きく下げることがわかった.
著者
浅井 幹一 佐藤 労 天野 瑞枝
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.391-394, 2008 (Released:2008-08-28)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

高齢者終末期医療の決定プロセスについては,患者の意思を最重要として,患者,家族,医療·ケアチームで最善の医療を話し合うことが必要とされる.医療·ケアチームのなかで職種により終末期医療に対する認識が異なると,合意形成に影響が出る可能性があるので,職種別に終末期医療についてのアンケート調査を行い比較検討した. 1)延命治療に関しては医師が最も否定的であるが,終末期医療における説明については医師は十分であると感じても,他職種からみると不十分と感じられることが少なくない. 2)リビングウィルの取り扱いについては,法律を制定すべきとする考えが多い. 3)看取りについては,施設での終末期の看取りに賛成するものが多いが,介護職では施設の方針や体制によるとする意見が多く見られた.在宅終末期医療については,かつて在宅で看取りを行った経験や,在宅療養支援診療所の届出をしていることが促進する因子として挙げられた. 4)介護職については,終末期医療に対する意識が他職種と少し異なっている可能性に留意する必要がある. 以上,職種間の認識の違いに留意して,終末期医療·ケアの現場では情報の共有化と他職種との連携をはかる必要があると思われた.