著者
清水 惠子 松原 和夫 浅利 優
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

医薬品の犯罪への使用は、目的外使用であるから、刑事裁判の審理に必要な医薬品のデータは整備されてない。ベンゾジアゼピン系薬物が犯罪に使用される場合を想定した、薬剤の飲料への溶解試験と、投与後の一見大胆に見える被害者の行動解析を動物実験により検証した。
著者
塩野 寛 清水 惠子 松原 和夫 浅利 優 安積 順一 清水 惠子 塩野 寛
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

除草剤として世界的に広く使用されているパラコート(PQ)は、急性毒性として肺及び肝腎障害を生じ、慢性毒性(環境毒性として)では中枢神経障害を生じることがしられている。マウスを用いた実験から得られた生存曲線より、各種抗酸化剤及びACE阻害薬は、PQ毒性を抑制し生存率の向上が認められた。一方、PQによる中枢神経障害を抑制したドパミン作動薬やドパミントランスポーター阻害薬は、肺障害にはむしろ促進的に作用した。ACE阻害薬は、抗酸化作用があることが知られている。ACE阻害薬によるPQ毒性軽減には、酸化的ストレス抑制が関与していると考えられる。そこで、この機構を解明するために、PQ投与後2日及び4日後の肺組織ホモジネートについて、SDS-PAGEを行った。Cleaved caspase-3及びnitrotyrosine抗体によって、ウエスタンブロットを行い、抗体で染色された蛋白量はアクチンを指標として半定量化した。PQによって、nitrotyrosine抗体に反応する蛋白質が著明に増加し、PQ肺毒性に一酸化窒素による酸化的ストレスの関与が示唆された。このnitrotyrosine抗体に反応する蛋白質を免疫沈降法を用いて精製したところ、Mn-SODと考えられた。Mn-SODは、活性中心tyrosine残基を有し、ニトロ化されると活性を消失することが知られている。従って、PQによる酸化ストレスはさらに増大されることが示唆された。一方、アポトーシスの指標であるCleavedcaspase-3は、PQによって、わずかに検出された。この変化はPQ投与後2日後から著明に観察された。Captoprilによって、これらの蛋白質の出現が著明に減少した。従って、ACE阻害薬はPQによる酸化障害を防御し、PQ中毒時の治療薬として期待できる可能性が示唆された。
著者
清水 惠子 浅利 優 奥田 勝博 田中 宏樹 塩野 寛 松原 和夫
雑誌
法医病理 (ISSN:13415395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-19, 2017-07

ここに掲載した著作物の利用に関する注意 本著作物の著作権は法医病理研究会に帰属します。本著作物は著作権者である法医病理研究会の許可のもとに掲載するものです。ご利用に当たっては「著作権法」ならびに「日本法医病理学会倫理綱領」に従うことをお願いいたします。 Notice for the use of this material: The copyright of this material is retained by the Japanese Society for Forensic Pathology (JSFP). This material is published on this web site with the agreement of the author(s) and the JSFP. Please be complied with Copyright Law of Japan and the Code of Ethics of the JSFP if any users wish to reproduce, make derivative work, distribute or make available to the public any part or whole thereof. All Rights Reserved, Copyright the Japanese Society for Forensic Pathology「酔っぱらって記憶が無い」という現象は、アルコール飲料による一過性前向健忘であり、誰もが知るところである。犯罪者達は、少量の睡眠薬単独で、又は少量のアルコールとの併用で、被害者に一過性前向健忘が生じることを知っている。この知識は、医療関係者にはよく知られているが、捜査関係者を含む日本の一般社会には普及していない。被害者は女性とは限らない。捜査機関は、「渡された飲料を飲んだ後の記憶がない。その間に被害(準強姦や準強制わいせつ、昏睡強盗)に遭ったようだ」という事件の相談に困惑する必要はない。"睡眠薬による一過性前向健忘により、事件当時の記憶が欠落する"という知識が、捜査機関及び法医学者に普及し、被害者の人権が適切に守られることを希求している。