著者
浅岡 悦子
雑誌
人間文化研究 = Studies in Humanities and Cultures (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.68-44, 2017-01-31

卜部氏の職掌は亀卜を行うことだけではなく、大祓にも従事していた。卜部氏の氏文である『新撰亀相記』では卜占の起源のみでなく、大祓の元となったスサノヲ追放神話を詳しく述べ、卜部氏の関わる祭祀の起源を説く。亀卜・大祓などの神祇祭祀に供奉していた卜部氏は、『新撰亀相記』や『延喜式』によると伊豆・壱岐・対馬の三国の卜部氏から取られた卜部である。この三国の卜部氏の系譜には異同や混同が含まれるが、概ね中臣氏と同祖と見て問題ない。宮中の卜部は宮主―卜長上―一般の卜部という昇叙形態をとっており。『養老令』の段階で宮主三人、卜長上二人、一般の卜部最大十五人が取られていた。『新撰亀相記』では卜部の他に中臣・忌部などの祭祀氏族がわずかに確認できるが、『新撰亀相記』に記される神話の殆どが、卜部が関わる神祇祭祀について触れたものである。
著者
浅岡 悦子
出版者
名古屋市立大学大学院人間文化研究科
雑誌
名古屋市立大学大学院人間文化研究科人間文化研究 = Studies in humanities and cultures (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.27, pp.68-44, 2017-01

卜部氏の職掌は亀卜を行うことだけではなく、大祓にも従事していた。卜部氏の氏文である『新撰亀相記』では卜占の起源のみでなく、大祓の元となったスサノヲ追放神話を詳しく述べ、卜部氏の関わる祭祀の起源を説く。亀卜・大祓などの神祇祭祀に供奉していた卜部氏は、『新撰亀相記』や『延喜式』によると伊豆・壱岐・対馬の三国の卜部氏から取られた卜部である。この三国の卜部氏の系譜には異同や混同が含まれるが、概ね中臣氏と同祖と見て問題ない。宮中の卜部は宮主―卜長上―一般の卜部という昇叙形態をとっており。『養老令』の段階で宮主三人、卜長上二人、一般の卜部最大十五人が取られていた。『新撰亀相記』では卜部の他に中臣・忌部などの祭祀氏族がわずかに確認できるが、『新撰亀相記』に記される神話の殆どが、卜部が関わる神祇祭祀について触れたものである。