著者
平沢 秀人 浅川 理 小山 恵子 高橋 祥友 渥美 義賢 熊倉 徹雄
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.811-814, 1994-10-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

症例は, 59歳男性, もの忘れ・性格変化を主訴に受診. 神経学的には眼症状を含め特に異常なく, 精神医学的には落着きのなさ, まとまりのない会話, 記銘力低下を主とした痴呆などを認めた. 血清, 髄液のTPHA陽性, 髄液の細胞数, 蛋白量増加, FTA-ABS陽性などから進行麻痺と診断. ペニシリン治療は, 2クール行ったが, 2クール目は大量療法を行った. 治療後, 髄液所見は改善, 軽度痴呆が残遺したものの精神症状も著しく改善した.
著者
浅川 理
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

(目的)痴呆患者の介護者における介護負担と医療機関へのニーズの実態を明らかにする。(対象・方法)東京都老人医療センター痴呆専門外来を、平成7年9月から平成8年2月までに受診した患者とその介護者のうち、精神科医が診察した28例を対象とした。患者背景、長谷川式知能スケール(改)(HDS-R)、問題行動評価尺度(TBS)、N式日常生活動作能力評価尺度(N-ADL)、および介護者における受診理由、介護負担度、受診後の負担感の変化、満足度、自己評価抑うつスケール(SDS)などについてアンケート調査を行った。(結果・考察)受診理由は、診断確定35.4%、痴呆自体の治療31.3%で、精神症状などの問題行動の治療や応対方法の指導29.2%であった。介護負担度は、限界および負担ながらも家庭介護継続可能60.7%、十分家庭介護に余裕あり32.1%であった。診察後の負担感の変化は、減ったものが57.0%であったが、かえって増したものも7.1%であった。外来での診察・説明で、満足できたもの71.3%だったが、不満足としたものも28.5%であった。不満の理由には、患者診察のみで家族の悩みを聞いてもらえなかった、進行の見通しや具体的な応対方法についての説明がほしかった、診断が確定してかえって絶望感が増した、などがあった。介護負担度別にHDS-R、TBS、N-ADL、SDSを比較したところ、介護負担が高い群でHDS-R、N-ADLの点が低く、TBSの点が高かった。また、介護負担が高い群でSDSの点が高く、介護者に抑うつ傾向が強く現れていることもわかった。以上から、負担感の強い介護者のニーズは、診断や痴呆に対する治療以上に、精神症状の治療や具体的な応対方法の指導・心理的サポートであることが示唆された。今後さらに例数を増やし、適切な治療的アプローチを検討していく必要がある。