著者
浅田 伸彦 岩村 雅一 黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.183-188, 2011-03-03

本稿では,環境中のあらゆる文字・単語を認識する「全方位認識」の実現のために,厳しい射影歪みに対応する手法について検討する.我々は実時間認識可能,レイアウトフリー,射影歪みに頑健といった3つの要件を満たすカメラベースの単語認識手法を提案している.この手法は斜め45度から撮影した文字を認識できる頑健さを持つが,前述の全方位認識に際しては,射影歪みに対する更なる頑健性が求められる.そこで本稿では,前述の単語認識手法の文字認識誤りをオープンソースのスペルチェッカであるGNU Aspellを利用して補正する.その際,Aspellが持つ音素の類似性に基づくMetaphoneという仕組みを文字誤認識傾向に基くMetashapeに置き換える.提案手法を用いて実験を行った結果,文字が書かれた紙面に対して撮影角度が20度のときに単語認識精度には最大で約24%から約74%の向上が見られた.
著者
新居田 彩 小谷 悠子 田中 寿美子 浅田 伸彦 難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2-3, pp.107-113, 2005 (Released:2012-11-13)
参考文献数
10

前回の研究で水道水で作ったイーグル最小基礎培地(Eagle's Minimum Essential Medium:MEM)の培養細胞に対する傷害性の有無を報告した。すなわち、その報告では、水道水培地でも培養細胞を増殖維持でき、水道水の細胞に対する傷害性は少ないと我々は結論した。今回はこの事実をさらに確認するために実験を行ったところ、前回の結果と一部一致しない事実が分かったので報告する。実験方法は、水道水の細胞傷害を調べるために、前回と同様に水道水に溶かしたMEMに非必須アミノ酸と10%胎児牛血清を添加した培地を用いた。使用した細胞は樹立化されたヒト肝細胞(OUMS-29)である。細胞の傷害性は主にコロニー形成法で検討した。また、細胞をコンフルエント状態(生体状態に近い条件)にした場合での水道水培地の細胞傷害を調べた。この場合は傷害された細胞から培地中に遊離されるLDH活性を測定した。さらに、今回は水道水に含まれる塩素量を測定し、塩素量と細胞傷害の関係を検討した。その結果、1)水道水の採取日の違いにより、細胞傷害が弱い場合と強い場合があること、2)水道水中の塩素量は細胞の傷害には影響を与えないこと、3)細胞がコンフルエントの状態では傷害が見られないことが判った。以上の結果を総合すると、水道水の人体に及ぼす傷害性は低いと考えられる。しかし、今回の実験は水道水の細胞に対する短期的影響について調べたものなどで、長期的影響については今後の検討が必要と思われる。