著者
伏見 和郎 難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.181-187, 1997-12-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
30

SV40(Simian virus40)はポリオワクチンを産生していたアカゲザル腎臓細胞に感染しているヴイルスとして発見された。そしてこのウイルスは八ムスターなどの動物の腫瘍を発生させることが見出されたので、ヒトにおいても癌ウイルスとして働くことが懸念されていた。その後の研究で、ヒト細胞の不死化に密接に関係していることがわかってきたが、ヒトの癌発生との関係はよくわからず否定的であった。最近、ヒト癌でSV40の遺伝子が検出され、ヒトの癌化との関係が示唆されるようになってきた。今回ヒト癌におけるSV40の関与について現状を紹介する。
著者
難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2+3+4, pp.109-116, 2009 (Released:2010-03-14)
参考文献数
26

約1世紀前に、生きた組織や細胞を動物の体外に取り出した研究が始まった。即ち、組織培養あるいは細胞培養法そのものの研究、あるいは、それらの技法を用いた研究である。この研究の流れの中で、1)組織・細胞培養の特性を生かして行われた研究でノーベル賞に輝いた研究、2)組織・細胞培養の基礎的経験からノーベル賞につながったと推定される研究、3)その他の特記できると私が考える細胞培養の研究、などについて取り上げてみたい。
著者
難波 正義 原田 信之 桑原 一良
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.173-176, 2005-12-25

本研究は一人でも多くの学生に読書習慣を身につけさせるための方法を考え出すことを目的として行った。そのために、2005年春休みに、看護学科1年生と2年生、地域福祉学科1年生、そして、5月の連休に、幼児教育学科1年生と2年生に、読書感想文を提出してもらい、その結果を分析した。この読書の課題は、正規の授業科目ではないので、提出ほ各自の裁量にまかせた。その結果、提出率は約87%であった。読まれた本を分類すると、ノンフィクションが多く(53%)、次いで、小説(23%)、実用書(17%)、随筆その他など(6%)、となった。もっともよく読まれた本は『五体不満足』であったが、281人中のわずか7人であった。このことは、学生が広範囲にわたって種々の本を読んでいることを示している。また、最近テレビで放映されたドラマを文字化した本や、新聞や雑誌で大きく宣伝されている本がよく読まれている傾向があった。このことは、歴史に耐えた良書が見のがされる危険性を示唆している。また、今回の感想文の分析より、学生に読書習慣を身につけさせるには、学生の目線にあった、あるいは、それより少し高いレベルの本を薦める必要があることが分かった。
著者
新居田 彩 小谷 悠子 田中 寿美子 浅田 伸彦 難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2-3, pp.107-113, 2005 (Released:2012-11-13)
参考文献数
10

前回の研究で水道水で作ったイーグル最小基礎培地(Eagle's Minimum Essential Medium:MEM)の培養細胞に対する傷害性の有無を報告した。すなわち、その報告では、水道水培地でも培養細胞を増殖維持でき、水道水の細胞に対する傷害性は少ないと我々は結論した。今回はこの事実をさらに確認するために実験を行ったところ、前回の結果と一部一致しない事実が分かったので報告する。実験方法は、水道水の細胞傷害を調べるために、前回と同様に水道水に溶かしたMEMに非必須アミノ酸と10%胎児牛血清を添加した培地を用いた。使用した細胞は樹立化されたヒト肝細胞(OUMS-29)である。細胞の傷害性は主にコロニー形成法で検討した。また、細胞をコンフルエント状態(生体状態に近い条件)にした場合での水道水培地の細胞傷害を調べた。この場合は傷害された細胞から培地中に遊離されるLDH活性を測定した。さらに、今回は水道水に含まれる塩素量を測定し、塩素量と細胞傷害の関係を検討した。その結果、1)水道水の採取日の違いにより、細胞傷害が弱い場合と強い場合があること、2)水道水中の塩素量は細胞の傷害には影響を与えないこと、3)細胞がコンフルエントの状態では傷害が見られないことが判った。以上の結果を総合すると、水道水の人体に及ぼす傷害性は低いと考えられる。しかし、今回の実験は水道水の細胞に対する短期的影響について調べたものなどで、長期的影響については今後の検討が必要と思われる。
著者
加納 良男 遠藤 彰 難波 正義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.55-65, 1992-03-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
19

細胞の老化と不死化は密接に関連している。ヒトの細胞は、堅固な細胞老化機構をもっていて細胞の不死化が非常におこりにくく、それが細胞の不死化機構解明を困難にしている、反対にマウスなどのローデントの細胞は容易に不死化するため不死化の原因を追及しにくい。さらにマウス等においては、myc、p53、SV40Tなどの不死化遺伝子があるが、それらがどのようなメカニズムでマウスの細胞を不死化させるのか全くわかっていない。一方、我々はヒトにおいてマウスと同じくらい高頻度にSV40Tで不死化する細胞(11p-)を見い出した。使用した2種類の11p-細胞は、老化と不死化の接点にあるクライシスに、それぞれ異なった異常を示した。第一の種類の異常は、クライシスにも多数の細胞が存在していてSV40Tによって正常の7倍の頻度で不死化するe一般にSV40Tを導入した正常細胞のクライシスでは細胞数はきわめて少なくなる。第二の異常は、クライシスが継代の若い時期から始まり、正常の50倍もの不死化率を示した。クライシスは細胞が老化してくると、老化遺伝子が発現することでひき起こされると考えられており、高い自然染色体異常と突然変異をもつ。SV40Tなどのがん遺伝子はクライシスを高め、その結果老化遺伝子自身におきる突然変異もひき上げると考えられる.そして、相同染色体に別々に2個存在する老化遺伝子に2つとも突然変異が生じて、その老化遺伝子が不活化し、老化にともなう細胞増殖の停止が起こらなくなった現象がヒト細胞の不死化と考えられる。
著者
難波 正義 大島 真波 衣笠 優美
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.129-131, 2012

本学に2010 年に入学した看護学科学生64 名の朝食摂取状況を,2011-2012 年に実施した。その結果,欠食率は約30%で,その欠食の理由は,ほぼ全員が朝食摂取の時間がないということであった。また,朝食の内容を検討すると,カロリーの不足や,野菜類の摂取の不足が認められた。朝食の摂取は,健康学的に重要であるのみならず,学力アップにも重要である。その理由は,毎日の朝食摂取のためには,日常生活のコントロールが必要で,そのような規則正しい生活は,勉学に有利に働くと推定される。したがって,入学早期に朝食摂取の重要性や日常生活のコントロールについて,教育を実施する必要がある。
著者
岡本 亜紀 岡 宏美 杉本 幸枝 矢藤 誠慈郎 難波 正義
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.187-197, 2006

本学の学生が国際ボランティア活動について学ぶことができる研修制度の設立のため、我々は、2006年1月5日〜1月9日、カンボジアのシェムリアップ市においてボランティア活動を継続している岡山県に本部を置くNGOを視察した。その団体の活動は、孤児・地雷障害者・母子家庭・エイズ患者の支援プロジェクト、井戸掘り・ジャックフルーツ植樹プロジェクト、および職業訓練施設(子供レストラン技能学校)の運営などである。帰国後、「新見公立短大カンボジア会」を設立して学生メンバーを募った。現在、我々は、支援物資の調達などの国内ボランティア活動、定例ワークショップの開催、開発途上国とそれらの国に係わるNGO (nongovernmental organization:非政府組織)のこと、国際協力に関する啓発・学習などを行っている。本稿では、カンボジアでの現地研修の報告と共に、今後の「新見公立短大カンボジア会」活動について検討する。