著者
洲崎 春海 野村 恭也 水野 正浩 川端 五十鈴 田部 浩生 宮川 晃一 坪井 洋 鳥山 稔 飯野 ゆき子 中井 淳仁 市村 恵一 土田 みね子 中村 直也 山口 宏也 深谷 卓 安部 治彦 井上 都子 杉本 正弘 鈴木 康司 佐藤 恒正 大西 信治郎 小林 恵子 伊藤 依子 井上 憲文 小林 武夫 室伏 利久 水野 信一 鳥山 寧二 飯塚 啓介 市川 朝也 森田 守 石井 哲夫 鍋島 みどり 船井 洋光 浅野 恵美子 矢野 純 吉見 健二郎 横川 友久
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Supplement7, pp.575-581, 1991-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

12歳以上のスギ花粉症患者118例 (男55例, 女63例) にトラニラスト (リザベン ®) を投与し, 予防効果と治療効果について比較, 検討した。投与方法はトラニラストとして1日300mgを原則としてスギ花粉飛散 (20個/cm2/日以上の飛散) の2週間以前から投与し (予防投与), 飛散後4週間継続投与した (治療投与)。改善度判定は,「効果あり」以上は予防投与群32例 (57%), 治療投与群28例 (45%) で,「やや効果あり」以上は予防投与群42例 (75%), 治療投与群49例 (79%) であった。花粉飛散初期において鼻症状, 鼻鏡所見, 眼症状のいずれの程度も治療投与群に比べて予防投与群の方が有意に改善しており, 自覚症状, 他覚所見のいずれもトラニラストの予防効果が認められた。治療投与群においてはくしゃみ, 鼻汁, 鼻鏡所見, 眼のかゆみの程度が投与終了時に有意に改善した。副作用は予防投与群4例 (7.1%) 治療投与群5例 (8.1%) にみられたがいずれも投与中または投与中止により軽快した。以上より, トラニラストの予防投与は有用でかつ合理的な治療法と考えられる。また, 治療投与も有用であることが確認された
著者
野老 美紀子 大野 浩史 青栁 奈央 立木 都 園原 めぐみ 小島 正愛 浅野 恵美子 福永 憲隆 浅田 義正
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第109回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.P-46, 2016 (Released:2016-09-16)

【目的】抗セントロメア抗体(ACA)は抗核抗体(ANA)の1つであり,細胞核のセントロメアに対する自己抗体である。近年,不妊患者の一部にACAを高値で持つ患者が存在し,その胚では高頻度に多前核が形成されることが報告されている。しかしながら,ACA陽性者において多前核形成率が高くなる原因は明らかになっていない。そこで本検討では,ACA陽性者から得られた多前核胚および未成熟卵子を蛍光免疫染色によって解析し多前核形成の原因を検討した。【材料および方法】当院において抗核抗体検査を行った1290症例を対象とし,ACAが陽性(ACA(+)群),ACAを除くANAが陽性(ANA(+)群),ANAが陰性(ANA(–)群)の3群に分け,各実験群における多前核形成率を比較した。さらにACA(+)群の多前核胚およびMI期卵子は,雌性染色体を認識するH3K9me3抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。【結果】抗核抗体検査の結果,当院におけるACA(+)群は全体の0.9%(12/1290)存在していた。採卵周期あたりの多前核形成率は,ACA(+)群51.3%,ANA(+)群3.3%,ANA(–)群4.2%であり,ACA(+)群で有意に高い結果が得られた。ACA(+)群の多前核胚を蛍光免疫染色した結果,ICSI由来のすべての胚(52/52)およびC-IVF由来の85.7%(12/14)において,雄性前核が1個と雌性前核が2個以上存在していた。さらに,MI期卵子62個を染色した結果,75.8%(47/62)の卵子で雌性由来の染色体が卵子細胞質に散在している状態が観察された。【考察】通常,IVF由来の多前核胚は多精子受精が原因と考えられるが,ACA(+)群では雌性前核が複数存在していたことから,この多前核形成は卵子側に原因があることが示唆された。さらにACA(+)群ではMI期卵子で染色体の散在がみられたことから,この異常が媒精後の高頻度な多前核形成に関与していると考えられる。