著者
入江 和美 飯野 ゆき子 水谷 俊美 宮澤 哲夫 寺島 邦男
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.1201-1206, 1996-10-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
16

It is known that ear piercing can cause various complications such as infection, allergic contact dermatitis, granulation, dermoid cyst formation buried earring and so on. We describe a case of earlobe keloid caused by ear piercing. The patient, an 18-year-old female, visited our hospital complaining of a large tumor hanging from the left earlobe. The tumor was excised and a histological examination revealed keloid tissue with subcutaneous clusters of lymphocytes.An immunohistochemical study of the keloid tissue was performed using a polyclonal antibody against human IgG and IgE. Numerous IgE positive cells, presumably mast cells, were found below the epidermis, suggesting that the keloid was still active and still sensitized by some stimulation. The inflammatory response seemed to have contributed to formation of the large keloid.
著者
洲崎 春海 野村 恭也 水野 正浩 川端 五十鈴 田部 浩生 宮川 晃一 坪井 洋 鳥山 稔 飯野 ゆき子 中井 淳仁 市村 恵一 土田 みね子 中村 直也 山口 宏也 深谷 卓 安部 治彦 井上 都子 杉本 正弘 鈴木 康司 佐藤 恒正 大西 信治郎 小林 恵子 伊藤 依子 井上 憲文 小林 武夫 室伏 利久 水野 信一 鳥山 寧二 飯塚 啓介 市川 朝也 森田 守 石井 哲夫 鍋島 みどり 船井 洋光 浅野 恵美子 矢野 純 吉見 健二郎 横川 友久
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Supplement7, pp.575-581, 1991-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

12歳以上のスギ花粉症患者118例 (男55例, 女63例) にトラニラスト (リザベン ®) を投与し, 予防効果と治療効果について比較, 検討した。投与方法はトラニラストとして1日300mgを原則としてスギ花粉飛散 (20個/cm2/日以上の飛散) の2週間以前から投与し (予防投与), 飛散後4週間継続投与した (治療投与)。改善度判定は,「効果あり」以上は予防投与群32例 (57%), 治療投与群28例 (45%) で,「やや効果あり」以上は予防投与群42例 (75%), 治療投与群49例 (79%) であった。花粉飛散初期において鼻症状, 鼻鏡所見, 眼症状のいずれの程度も治療投与群に比べて予防投与群の方が有意に改善しており, 自覚症状, 他覚所見のいずれもトラニラストの予防効果が認められた。治療投与群においてはくしゃみ, 鼻汁, 鼻鏡所見, 眼のかゆみの程度が投与終了時に有意に改善した。副作用は予防投与群4例 (7.1%) 治療投与群5例 (8.1%) にみられたがいずれも投与中または投与中止により軽快した。以上より, トラニラストの予防投与は有用でかつ合理的な治療法と考えられる。また, 治療投与も有用であることが確認された
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
中本 吉紀 飯野 ゆき子 小寺 一興
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.172-181, 2005-02-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

【目的】 騒音性難聴を呈した2症例の側頭骨標本を観察し, 聴力像と内耳変化の関係を調べ内耳変化の要因を考察した.【対象】 症例1は50歳男性, 甲状腺癌で死亡した症例で38年間印刷工場に就労し, 純音聴力検査にて4kHzを中心とした高音障害型感音難聴を認めた. 症例2は58歳男性, 上顎洞癌にて死亡した症例で22年間建設現場に就労し, 高音急墜型感音難聴を認めた.【方法】 光学顕微鏡下に内耳変化を観察し, Schuknechtらのaudio-cytocochleogram作成法に基づきaudio-cytocochleogramを作成した.【結果】 側頭骨病理所見では症例1, 2において基底回転のコルチ器, ラセン神経節細胞, 神経線維に変性, 消失を認めた. 症例1では血管条にも変性, 消失を認めた. Audio-cytocochleogramにおいて症例1, 2の難聴像と内耳変化は一致し, 特に症例1のコルチ器, 血管条の変性, 消失は限局性で高度であった.【結論】 騒音性難聴の成因として長期間の騒音暴露により基底板の最大振幅部のコルチ器は, 音響エネルギーの機械的ストレスと音刺激による感覚細胞の代謝亢進から疲弊し, 障害を生じることはよく知られている. また動物実験では, 騒音暴露により蝸牛内循環障害が生じることが報告されている. 今回の症例1においてはコルチ器に加え血管条にも変性を生じていたことから, ヒトにおける騒音性難聴の側頭骨病理変化の成因として従来からの説である疲弊効果に加え, 騒音暴露による蝸牛内循環障害も生じる可能性があると考えられた.
著者
綿貫 幸三 高坂 知節 草刈 潤 古和 田勲 西条 茂 小林 俊光 新川 秀一 飯野 ゆき子 六郷 正暁 柴原 義博 富岡 幸子 佐久間 眞弓 粟田口 敏一 三好 彰 荒川 栄一 橋本 省 大山 健二 原 晃 沖津 卓二 郭安 雄
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.766-776, 1982
被引用文献数
6

The laryngeal cysts were treated in 14 cases in our in-patient clinic during the last 9 years and 8 months between the April 1972 and the December 1981. The laryngeal cysts at the vocal cord were excluded in this study. The clinical, histological and some other findings of these cysts were briefly described. After some considerations regarding the origin and the developing mechanism of the cysts, a new classification of the laryngeal cysts was proposed as follows. <br>Laryngeal cysts. <br>1) Retention cysts: The cysts due to stenosis of the glands, their ducts, lymph vessels or other similar structures. <br>2) Epidermoid or dermoid cysts: The cysts due to stray germs, implantation or the result of down growth with separation and eventual isolation of a fragment of epidermis or dermis. They may also due to dysontogenesis of a foetal epithelial tissue. Dermoid cysts are extremely rare. <br>3) Cysts of a special origin: Branchiogenic cysts, thyroglossal duct cysts, and cysts of laryngocele origin.