著者
浜口 哲一 青木 雄司 石崎 晶子 小口 岳史 梶井 公美子 小池 文人 鈴木 仁 樋口 公平 丸山 一子 三輪 徳子 森上 義孝
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.297-307, 2010-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

神奈川県茅ヶ崎市において、指標種を用いた環境評価調査を行った。この調査は、望ましい自然環境を想定しそれを指標する動植物種の分布調査に基づいて評価を行ったこと、調査区域の区分や指標種の選定などの計画立案から現地調査にいたるまで市民の参画があったことに特徴がある。まず市民による議論をもとに里山(森林、草地、水辺)や海岸など、住民の心情や生物多様性保全の観点から望ましい自然環境を決め、それらに対応する合計163種の指標種(高等植物、昆虫、脊椎動物)を決めた。集水域に対応し、また人間が徒歩で歩き回る範囲程度の空間スケールである76の小区域(平均0.47km^2)において、一定の努力量の上限のもとで最も発見できそうな地点を優先して探索する方法で指標種のマッピングを行った。小区域ごとの出現種数をもとに小区域単位の評価マップを作成したほか、詳細な地点情報を用いて保全上最も重要なコア地域を明らかにすることを試みた。