著者
浜田 玲子 井手 一郎 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.79-89, 2002-01-01
参考文献数
19
被引用文献数
23

筆者らは, マルチメディアの中でもテキストの付随するマルチメディアに注目し, テキストからの情報を画像・音声解析に反映させることで, 実用的な精度のマルチメディア統合技術の実現を目指している.特に, 現在はテキスト教材の付随する料理番組に着目し, 料理映像とテキスト教材の対応付けシステムを開発している.本論文では, このような対応付けシステムの一部分であるテキスト解析部に焦点を当て, 調理手順の構造解析手法を提案した.本手法では, 解析対照の特徴を最大限に利用し, 実用的な処理を目指す.そのため, 対象に固有の辞書を構築し, これを利用した構造解析を行う.本論文では, 評価実験とその結果から, 本手法により高精度で調理手順の構造解析が可能であることを示した.なお, 本手法は付随する映像の存在しない調理手順文書などにも適用可能である.調理手順のような説明的文書は, 調理にとどまらずテキスト教材やインターネット上など様々なメディアから大量に入手可能であるが, それぞれが独自の書式で互いに独立に存在している.本手法は, 従来は難しかったこれらの膨大な情報の活用にも役立つものと考えられる.
著者
椎尾 一郎 浜田 玲子 美馬 のゆり Itiro Siio Reiko Hamada Noyuri Mima お茶の水女子大学理学部情報科学科 東京大学情報理工学系研究科 公立はこだて未来大学システム情報科学部 Department of Information Sciences Ochanomizu University Graduate School of Information Science and Technology The University of Tokyo School of Systems Information Science Future University-Hakodate
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータソフトウェア = Computer software (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.36-46, 2006-10-26
参考文献数
9
被引用文献数
10

キッチンは生産の場であり,調理を媒介とした教育とコミュニケーションの場でもある.このため,家庭環境の中でも,実用的なユビキタスコンピュータアプリケーションの可能性が高い場所と考えられる.そこで筆者らは,コンピュータ,ネットワーク,センサを組み込んだ未来のキッチン,Kitchen of the Futureを開発している.このコンピュータ強化されたキッチンにより,単に調理の効率を向上させるだけではなく,キッチンを学びとコミュニケーションの場として復活させることができると考えている.本論文では,Kitchen of the Futureを利用して実装した,調理の記録とネットワークでの公開と共有,調理過程の再生,遠隔地キッチンを接続しての調理支援,調理教材の効果的な提示を実現するアプリケーションについて報告する.A kitchen is a place of food production, education, and communication. As it is more active place than other parts of a house, there are lot of potential ubiquitous computing applications in a kitchen. We are developing a computer-augmented kitchen environment: the Kitchen of the Future that embeds various computing elements into a standard kitchen unit. In this paper, we will describe overview of the Kitchen of the Future system and its three applications, i.e, web-ready recipe pages generator, video conference system for cooking instruction, and interactive cooking navigation system.
著者
椎尾 一郎 浜田 玲子 美馬 のゆり
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.4_36-4_46, 2006 (Released:2007-06-11)
被引用文献数
2

キッチンは生産の場であり,調理を媒介とした教育とコミュニケーションの場でもある.このため,家庭環境の中でも,実用的なユビキタスコンピュータアプリケーションの可能性が高い場所と考えられる.そこで筆者らは,コンピュータ,ネットワーク,センサを組み込んだ未来のキッチン,Kitchen of the Futureを開発している.このコンピュータ強化されたキッチンにより,単に調理の効率を向上させるだけではなく,キッチンを学びとコミュニケーションの場として復活させることができると考えている.本論文では,Kitchen of the Futureを利用して実装した,調理の記録とネットワークでの公開と共有,調理過程の再生,遠隔地キッチンを接続しての調理支援,調理教材の効果的な提示を実現するアプリケーションについて報告する.
著者
三浦 宏一 浜田 玲子 井手 一郎 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.21-29, 2003-07-15
被引用文献数
14

近年,マルチメディア情報を有効に活用する重要性が増すにつれ,テレビ映像の自動要約に関する研究がさかんに行われつつある.本論文では,料理映像を対象にした自動要約手法を提案し,検討する.我々は料理映像要約の目的を,調理の全体的な流れを視覚的・直感的に理解するのに十分な映像を作成することとしている.要約映像を作成する際には,映像の重要部分を抽出することが必要となるが,料理映像においては,調理動作および料理や食材の状態を示す部分が特に重要である.これらは画像全体の動きの激しさと関連があることから,オプティカルフローによりこれらの重要部分を検出する手法およびカメラワーク(パン)を除去する手法を提案し,評価実験によりその有効性を示した.さらに,この手法によって抽出された重要部分と,調理動作の中でも特に重要な繰返し動作部分から料理映像要約を生成するアプリケーションを実装した.放送局の異なる複数の料理番組に提案手法を適用し,要約映像を自動生成した結果,要約映像は十分に調理手順の内容を保ちつつ,元の映像の1/8 から1/12 の時間に短縮できた.また,自動要約した映像の一部を,番組制作者によって作成された要約映像と比較することにより,本手法の有効性を確認した.Re flecting the increasing importance of handling multimedia data efficiently, many studies are made on automatic abstraction of television broadcast video. In this paper, we propose a method to abstract cooking videos. We de fine cooking video abstraction as shrinking videos maintaining sufficient understandability of general cooking procedures visually and intuitively. To abstract a video, important sub-shot segments need to be extracted from the original video. Important segments in a cooking video are considered as cooking motions and appearances of foods, since visual information that represents essential cooking operation is exceptionally important. These segments have typical motion-related features. Thus,a method to extract such important segments referring to the intensity of motion in the image is proposed. Effectiveness of the method is shown through evaluation experiments. We also implemented an abstracted cooking video browser that assembles important segments detected by the proposed methods and repetitious motions that is especially important among cooking motions. The resultant abstracted videos were about 1/8 to 1/12 of the original videos in time, maintaining the understandability of cooking procedures. And the validity of the abstraction method was checked by comparing some automatic abstracted videos with abstracted videos provided from the broadcaster.
著者
井手 一郎 山本 晃司 浜田 玲子 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1543-1551, 1999-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
42

増大する量への対応及び利用価値の点から,ニュース映像への自動的索引付けの実現が期待されている.これを受けて様々な手法が提案され,なかでも映像に付随する言語情報を利用したものが活発に研究され,既に実用化の域に達しているものも存在する.しかし,それらの多くは言語情報主導であり,映像データベースにとって重要であるはずの,索引 (キーワード) と画像内容の一致を考慮したものは少ない.そこで本論文では,このような問題点を踏まえ,画像的に類似した映像は類似した内容を含む,というニュース映像特有の性質を利用し,画像的に典型的な映像に対し,内容を反映した語義をもつ字幕を選択的に付与する自動的索引付け手法を提案し,その有効性を評価する.提案手法を実際のニュース映像に適用したところ,いずれかの典型的映像に分類されたもののうち,全体の25∼93%,必要な情報が字幕に存在して索引付け可能であったもののうちの75∼100%に対して索引付けに成功し,一定の有効性を示した.