- 著者
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深澤 倫子
- 出版者
- 公益社団法人 日本雪氷学会
- 雑誌
- 雪氷 (ISSN:03731006)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.5, pp.369-375, 2009 (Released:2021-04-09)
- 参考文献数
- 16
氷や雪のもつ“滑りやすさ”は,スキーやスケート等のウィンタースポーツには欠かせない.この“滑りやすさ”の秘訣は,結晶氷表面の構造にある.結晶氷表面には,融点以下の低温においても,擬似液体層と呼ばれる液体状の層が存在することが知られている. 擬似液体層は,1859年にFaradayによってその存在が提唱されて以来,一世紀以上にわたり,多くの研究者の興味を惹きつけてきた.本稿では,最近の分子動力学計算による研究を中心に,氷表面の構造とダイナミクスについて解説する.