著者
深田 吉孝 小亀 浩市
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.263-272, 1994 (Released:2007-02-06)
参考文献数
50

Guanine nucleotide-binding regulatory proteins (heterotrimeric G proteins) are composed of α-, β- and γ-subunits, and they mediate a variety of intracellular signal transductions by coupling activated membrane receptors with effector enzymes and channels. Activated receptors catalyze the exchange of GDP bound to the α-subunits for cytosolic GTP, and GTP-bound α-subunits in turn regulate activities or functions of the effectors. The βγ-complex is not dissociable under physiological conditions, and it is indispensable for the GDP/GTP exchange reaction on the α-subunit. Recently, three kinds of lipid modifications have been found in the α- and γ-subunits. The first is the attachment of fatty acids, myristate (C14:0) or structurally related fatty acids to the N-terminal glycine residues of some members of the α-subunits. Another type of fatty acylation to be characterized is the linkage of palmitate (C16:0) to a number of α-subunits via a thioester bond at their cysteine residues. The third type of modification is polyisoprenylation (farnesylation or geranylgeranylation) and α-carboxyl methylation at the C-terminal cysteine residue of the γ-subunit. These modifications on the two subunits have been shown to play a critical role in not only protein-membrane interaction but also proper protein-protein interaction, both of which are required for the G protein function.
著者
深田 吉孝
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

一日の中で食餌が得られる時刻を予知する「食餌予知行動リズム」は、摂餌時計と呼ばれる脳内の時計機構によって制御されている。しかしこれまで、この摂餌時計が存在する脳領域や分子メカニズムは不明であった。本研究ではまず、給餌のタイミングを自由に調節できる自動給餌装置を開発した。さらに、食餌に応答する脳領域としてMBHに焦点を絞り、そのマイクロアレイ解析を通して摂餌時計(予知行動リズム)と連関するであろう遺伝子群を網羅的に探索した。
著者
深田 吉孝 富岡 憲治 河村 悟 津田 基之 徳永 史生 塚原 保夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を進め、以下の知見を得た。【視覚の光情報伝達】種々の部位特異的変異を導入した光受容蛋白質を作成して光応答特性を調べた結果、光受容蛋白質の特性(桿体型または錐体型)を規定するアミノ酸を同定することに成功した(七田)。また、脊椎動物視細胞に発現する諸蛋白質の性質を検討し、カルシウム(河村、深田)あるいはリン脂質代謝系(林)を介した未知の光情報調節機構があるという証拠をつかんだ。一方、無脊椎動物については、ロドプシンキナーゼの一次構造を決定し、脊椎動物のロドプシンキナーゼとβアドレナリン受容体キナーゼの両者の特徴を併せもつことを明らかにした(津田)。この事実は、無脊椎動物のロドプシンが脊椎動物の光受容蛋白質と古くに分岐して以来、独立して進化し、色覚などの視覚システムを発達させたという知見(岩部、深田、徳永)と矛盾しない。【光受容系と概日時計】節足動物の視葉におけるセロトニンやドーパミンの量に概日リズムがあることを見出し、その投与により視覚ニューロンの光応答特性が変化することから、生体アミンによって周期的に視感度が調節されている可能性が考えられた(冨岡)。魚類においては光以外に温度がメラトニン合成の概日リズムを規定する重要な環境因子であることが判った(飯郷)。また、ヤツメウナギやカエルの松果体・脳については、光受容蛋白質やセロトニンに対する抗体を用いて、光受容細胞を幾つかのクラスに分類することができた(保、大石)。ピノプシン抗体を用いた免疫組織学的解析からは、鳥類の松果体におけるピノプシンの局在を示す(荒木、深田)と共に、濾胞を形成しない新しいタイプの光受容細胞を同定した(蛭薙、海老原)。一方、ショウジョウバエ変異体の概日時計に与える光の効果を解析した結果、口ドプシン以外の光受容系の存在が示唆された(塚原)。