著者
伊東 乾 添田 喜治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ルクセンブルク大司教座大聖堂、バイロイト祝祭劇場を始めとする西欧教会・オペラ劇場を、従来の建築音響学に存在しなかった儀礼や演出の空間性、僧侶や歌手の発声の特質を踏まえた非線形音響の枠組みで詳細測定・解析し、教会・劇場内音響の動的異方性を始めて明らかにした。海外での測定評価の準備として国内でも同様の実証を東大寺二月堂、新国立劇場などにおいて行い、宗教建築内での伝統儀礼が言語の明瞭性や没入感など、音声言語の脳認知と密接に連関している可能性を、物理測定によって始めて示した。旧来顧慮されてこなかった垂直方向の音源移動評価のため6軸相関計等を開発し、高所からの歌声や話声が抱擁感を持つ機構を解明した。
著者
細井 裕司 添田 喜治 西村 忠己 下倉 良太 松井 淑恵 中川 誠司 高木 悠哉
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我々人間の聴覚では 20 kHz 以上の超音波領域の音は聞こえないが、超音波振動として骨導に与えると音知覚が得られる(骨導超音波)。さらにこの骨導超音波は、音が全く聞こえない最重度難聴者でも聴取可能である。この現象を利用し、我々は最重度難聴者に音知覚を与える骨導超音波補聴器の開発を行っている。本研究では(1)未だ知られていない超音波聴覚メカニズムの解明、(2)骨導超音波補聴器の実用化研究という二つの課題に取り組んできた。そしてその研究成果から、骨導超音波の末梢の知覚器官は蝸牛の基底回転に存在すること、またそれは変調された可聴音ではなく超音波自体を聴取していること、その際外有毛細胞が関与している可能性は低いことなど、聴覚路上の末梢・中枢での超音波聴覚メカニズムが明らかになってきた。また語音で変調した骨導超音波のプロソディ(抑揚)が弁別可能であること、リハビリテーションによって言葉の聞き取りが改善されることなどの実用化研究も大きく進展した。
著者
伊東 乾 青木 直史 添田 喜治 岩城 達也 石原 茂和
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日欧の木造・石造建築物の比較測定に基づき、西欧教会、オペラ劇場の動的音楽音響特性を、そこで行われる演奏・儀礼との関係に基づいて明らかにした。上下方向に移動変化する音楽音響に既存の評価法がなかったため、相関解析を用いてこれを定式化し数理を準備した。これを用い、作曲家リヒャルト・ヴァーグナーが設計に直接関与したバイロイト祝祭劇場の音楽音響ダイナミクスを、ヴァーグナー楽劇の上演を伴って収録解析した。その成果に基づいて空間演奏の要素を伴う指揮の技法を初めて体系化、国際公刊した。この過程で創出した新しい非線形音楽音響解析手法群を適用し、古代ギリシャ・ハルモニアのヘテロダイン共鳴などの機構も明らかにした。
著者
中川 誠司 添田 喜治 西村 忠己 細井 裕司 大塚 明香 今田 俊明 クール パトリシア N. メロツォフ アンドリュー N.
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

骨導(骨伝導)で呈示された超音波であれば,聴覚健常者はもとより,最重度難聴者にも知覚される.この骨導超音波知覚の末梢処理過程には,通常の聴覚とは異なる特異なメカニズムの存在が示唆されるが,その詳細は明らかにされていない.本提案課題では,骨導超音波知覚を利用した重度難聴者のための新型補聴器(骨導超音波補聴器)の開発に有用な知見の獲得を目指して,骨導超音波知覚メカニズムの全体像の解明に取り組んだ.聴覚末梢機能を反映する各種の生理反応の計測および骨導超音波の頭部内伝搬特性結果に基づき,骨導超音波知覚の末梢~中枢処理モデルを提案した.得られた知見は骨導超音波補聴器の最適化や適用基準の策定に有用である.