著者
清野 陽一
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.37-42, 2011-12-03

本研究では『延喜式』内の主計式に見える地方の国府と平安京との移動日数に関して,これまで文献史学で行われてきた研究成果を参考にしつつ,GIS を用いてあらためて今日的視点からシミュレーションを行うことによって,その具体的数字の意味するところを再度検証し,数値のもつ意味を考えた.その結果,文献史学では史料内からしか考察できない材料に対して,外部の客観的なデータをもってその検証作業を行うことができた.加えて,移動コスト分析において留意すべき点,更には現状の検討材料における問題点を整理し,今後どのようなデータが整備され,分析が行われれば研究が進展するかについての提言を行った.
著者
清野 陽一 魚津 知克
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.219-224, 2012-11-10

「海のシルクロード」と呼ばれる,太平洋・インド洋沿岸の交易ルートは,古代アジア全体の相互交流に大きな役割を果たしたと考えられる.そのルートを具体的に復原するうえで大きな問題となるのが,マレー半島基部にあるクラ地峡の存在である.本研究では,クラ地峡を陸路で横断した場合と,マラッカ海峡を海路で通過した場合とのそれぞれについて,地理情報システム上での移動コスト計算をおこなった.その結果,特別な理由が無ければ,クラ地峡を通らず海上を通るルートの方が楽に移動できることがわかった.クラ地峡ルートを採用するのは,従来の説の通り,船の座礁や難破,海賊による略奪といった人文的環境が背景にあるに違いない.今後は,海上交通における移動コストをより実態に近い形で算出するためのパラメータを求めることが重要課題である.
著者
清野 陽一 山田 太造 高田 智和 古瀬 蔵
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.4, pp.1-6, 2014-07-26

『古事類苑』 および芳賀矢一編 『日本人名辞典』 から抽出した人物等を対象とする 「人名一覧表示システム」 について紹介する.本システムは,近代以前の人名の一覧中に,『日本人名辞典』 に掲載されている 「解説」 を説明文として提示する.また,姓名等をキーワードとして,人間文化研究機構の統合検索システム nihuINT での検索を実行する機能により,人名等に関連した様々な人文科学研究資源にアクセスすることが可能となる.This paper describes a system listing personal names constructed from humanities databases such as "Kojiruien" and "Nihon Jinmei Jiten" by Yaichi Haga. In this system, the source of descriptions about each pre-modern person in the list are referenced in "Nihon Jinmei Jiten". In addition, each personal has links to "nihuINT" search provided by National Institutes for the Humanities, which enables us to access various humanities' resources related to personal names.