著者
藤野 善久 久保 達彦 村松 圭司 渡瀬 真梨子 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.291-297, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

英国では,健康問題を抱える労働者の就業を支援する制度として,2010年からThe Statement of Fitness for Work(通称,Fit Note)と呼ばれる文書を医師が発行する仕組みが導入された.Fit Noteは,病気や外傷などの健康問題を抱える労働者が,就業に適しているか,もしくは就業配慮が必要かに関する意見を医師が記載したものである.通常,Fit Noteは,労働者が雇用主に提出し,就業配慮を求めるために利用されたり,もしくは就業できない場合には,休業補償(Statutory Sick Pay)の申請書類として用いられる.今回,英国におけるFit Note導入の背景と運用状況に関する調査を,General Practitioner,産業医,理学療法士のインタビューを通じて行ったので報告する.
著者
小川 みどり 高田 真一朗 高橋 正雄 安田 悦子 渡瀬 真梨子 谷口 初美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.401-410, 2006-12-01

手洗いおよび手指消毒は最も基本的な感染防止策である.現在,速乾性擦式消毒剤による手指衛生が国際的なゴールドスタンダードとなっている.しかし,我々の調査では,2004年に10.4%(48人中5人),2005年に34.3%(35人中12人)と多くの無効例が認められた.2005年の検体について,コロニーの形態より円形,不整形,拡散性コロニーに大別し,残存菌の性状を調べた.円形コロニーはブドウ球菌属の菌であり,不整形・拡散性のコロニーはグラム陽性有芽胞桿菌であると考えられた.消毒後の菌数が消毒前と同数以上あるいは300個以上の無効例の中で,ブドウ球菌属の菌が残存したと考えられる場合が3例,セレウス菌を含むグラム陽性有芽胞桿菌が残存したと考えられる場合が9例であった.医療現場では,速乾性擦式消毒剤による手指消毒を過信することなく,必要に応じて滅菌手袋の着用などの対策を講じるべきである.