著者
村松 圭司 得津 慶 大谷 誠
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.59-64, 2021 (Released:2021-04-15)
参考文献数
8

本研究では、DPCデータ分析の練習に用いるため、DPCデータのうち様式1のダミーデータを作成するロジックを開発した。ダミーデータを集計した際に現実的な値となるよう厚生労働省のDPC公開データの集計結果を参考とした。開発したロジックを用いて規模の異なる2つのデータベースを生成し、性別について二群の比率の差の検定を行った。規模の小さいデータベースでは有意な差が認められたが、規模の大きいものでは実際の値と優位な差は認められなかった。
著者
松田 晋哉 村松 圭司 藤本 賢治
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.31-39, 2022 (Released:2023-03-25)
参考文献数
6

【目的】人生の最終段階における療養生活の質向上を図るための医療介護提供体制の在り方を考えるために、国内5広域自治体の医療・介護レセプトを収集し、それを個人単位で連結したデータベースを用いて、死亡症例について、死亡前24か月間の医療介護サービスの利用状況を可視化することを試みた。【資料及び方法】分析に用いたのは国内5広域自治体の医療・介護レセプトである。レセプトデータを個人単位で連結し、このデータベースから65歳以上の死亡症例を抽出した。次に、死亡が発生した年月を起点(死亡月、経過月=0)としてその差を経過月として24か月前まで計算した(例えば、前月は-1)。上記で把握した死亡患者について、医科レセプトおよび介護レセプトを用いて経過月ごとに医療・介護サービスの利用状況及び傷病の状況を把握した。【結果および考察】本分析により以下のことが明らかとなった。まず、分析結果から死亡に至る傷病のパターンとして、心不全や腎不全といった循環器系の不全症状の進行と肺炎・誤嚥性肺炎の発生が重要な契機となっていることが明らかとなった。次に、人生の最終段階においては、気分障害の有病率が10%程度あり、メンタルヘルス面での対応の必要性が示唆された。第三に、死亡前24か月間の有病率を年齢階級別にみると年齢の高い群では心不全、認知症の有病率が増加する一方で、悪性腫瘍の有病率が低下していた。悪性腫瘍診療領域では我が国においてもホスピス等の長い経験があるため、人生の最終段階におけるケアの在り方に関する議論が他領域よりは進んでいる。他方、年齢の高い群ではがんが直接的な死因になるよりは、肺炎や心不全などの死因としての重要性が増大することが示された。また、年齢とともに認知症にり患している対象者が増加しており、今後ACPを実践していく上で、代理人の選定問題を生じうる。したがって、今後、ACPを含めて人生の最終段階における医療の在り方を考える上で重要な検討課題であると考えられた。【結語】本分析の結果、死亡に至る傷病のパターンとして、心不全や腎不全といった循環器系の不全症状の進行と肺炎・誤嚥性肺炎の発生が重要な契機となっていることが示された。このような状態の兆候が出始める前後の時期が、ACPに関連するプロセスを本人や家族を含めた関係者と始めるタイミングであると考えられる。また、こうした死亡に至る傷病のパターンについて広く国民に情報提供することが、国民が自らの人生の最終段階における生き方を決めることを可能にするために必要であると考えられる。
著者
松田 晋哉 福留 亮 村松 圭司 藤野 善久 久保 達彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.318-321, 2014-04-01

前回は論文の設計図であるアウトラインを作成しました.今回からこのアウトラインに従って実際の論文を書いていきます.前半はイントロダクションに相当する「目的」,論文の方法論を説明する「データおよび分析方法」,そして「結果」です.福留さんの書いた論文を松田,藤野,久保が中心となって批判的に読み,そして訂正していく過程を読者の皆さんにも追体験していただきます.
著者
村松 圭司
出版者
産業医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

NDBは世界にも例のない悉皆性の高い医療保険のデータベースであるが、そのデータ構造が複雑であり利活用が進んでいない。申請者は先行研究として、データ構造の理解促進を目的に、実際のNDBに格納されているデータの個票と同じ形式で作成したダミーデータで構成される練習用データセットを開発する研究を実施している。本研究では、①練習用データセットを活用した教材及び②ミニテストによる自己チェックシステムを含む教育プログラムを開発する。そして、研究期間中に実際に受講してもらい、ミニテストやアンケートを行う。その後、これらの結果を用いて開発したプログラムの学習効果を測定する。
著者
藤野 善久 久保 達彦 村松 圭司 渡瀬 真梨子 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.291-297, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

英国では,健康問題を抱える労働者の就業を支援する制度として,2010年からThe Statement of Fitness for Work(通称,Fit Note)と呼ばれる文書を医師が発行する仕組みが導入された.Fit Noteは,病気や外傷などの健康問題を抱える労働者が,就業に適しているか,もしくは就業配慮が必要かに関する意見を医師が記載したものである.通常,Fit Noteは,労働者が雇用主に提出し,就業配慮を求めるために利用されたり,もしくは就業できない場合には,休業補償(Statutory Sick Pay)の申請書類として用いられる.今回,英国におけるFit Note導入の背景と運用状況に関する調査を,General Practitioner,産業医,理学療法士のインタビューを通じて行ったので報告する.
著者
松田 晋哉 村松 圭司 藤本 賢治 峰 悠子 高木 邦彰 得津 慶 大谷 誠 藤野 善久
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-14, 2021 (Released:2021-04-15)
参考文献数
11

【研究目的】高齢期において自立した生活を継続するためには、要介護度の悪化に関連する要因を把握し、それらへの対策が求められる。そこで本研究では、認定調査票データ、医科及び介護レセプトを用いて要介護度の悪化に関連する要因の明らかにすることを試みた。【資料及び方法】 東日本の一自治体における介護保険の認定調査データと介護レセプト、医科レセプトを個人単位で連結したデータベースを作成した。このデータベースから2014年度の要介護認定で要介護1と認定された在宅の対象者11,658人を抽出して、2017年まで追跡し、データベースで把握できる状態像や傷病に関する変数を用いて、要介護度の悪化に関連する要因をロジスティック回帰分析によって検討した。【結果】分析の結果、状態像としては寝返り、起き上がり、座位保持、両足および片足での立位、歩行、移乗、移動といった筋力の低下に関連する項目で自立していない者、そしてその結果として外出の頻度が少なく、買い物に関して他者に依存している者で要介護度が悪化していた。使用している医療介護サービスで福祉機器を利用している者が悪化していたが、この結果は「福祉機器を利用するような状態にある者」が高リスクであると解釈することができる。傷病に関しては下肢関節障害、脊椎障害のあるもので有意に悪化がみられた。利用している医療・介護サービスでは、医療保険および介護保険ともに訪問看護を利用している者で有意に悪化の割合が低かった。【考察及び結論】本研究の結果、要介護度の悪化予防には筋力低下の予防及び看護の視点からの継続的なケアが有効であることが示唆された。
著者
久保 達彦 藤野 善久 村松 圭司 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.299-303, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
10
被引用文献数
2

英国では2010年からThe Statement of Fitness for Work(通称Fit Note)と呼ばれる就業支援を目的とした医療文書を地域医療を担うGeneral Practitioner(GP)が発行する仕組みが導入されている.今回,我々はFit Noteの導入影響に注目しつつ英国の産業医制度の現状について現地で2名の産業医に対してインタビュー調査を実施した.現地の産業医からは産業医が不足して国民全体,とりわけ中小企業や自営業者には産業保健サービスが行き渡っていないことへの強い課題認識が繰り返し聴取された.Fit NoteはGPの産業保健への参加を誘導するツールとして位置づけられ,地域医療の担い手であるGPは産業保健の新たなパートナーとして期待されていた.現地の産業医はFit NoteおよびGPの産業保健への参入を英国の産業衛生の着実な前進と評価していた.
著者
松田 晋哉 村松 圭司 藤本 賢治 峰 悠子 高木 邦彰 得津 慶 大谷 誠 藤野 善久
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-29, 2021 (Released:2021-04-15)
参考文献数
7

【目的】介護保険制度の目的は、高齢者が要介護状態になっても、できうる限り自立した生活を送ることが出来るよう支援することである。この目的には在宅介護の可能性を高めることが当然含まれる。そこで本研究においては、東日本の一自治体における介護保険の認定調査データおよび介護レセプトと医科レセプトとを用いて、在宅の中重度要介護高齢者の特別養護老人ホーム入所に関連する要因を分析し、在宅介護を進めるための条件について検討した。【資料及び方法】東日本の一自治体における介護保険の認定調査データと介護レセプト、医科レセプトを個人単位で連結したデータベースを作成した。このデータベースから2014年度の要介護認定で要介護3以上と認定された在宅の対象者6,540人を抽出し、2018年3月まで月単位で追跡し、その後の特養入所の有無を介護レセプトから把握した(特養入所のイベント発生を1)。そして、分析期間中の最初の認定審査時における傷病の状況及び医療・介護サービスの利用状況を医科レセプトと介護レセプトから把握し、特養入所に関連する要因についてCoxの比例ハザードモデルによって検討した。【結果】特養入所に関しては女性であること、年齢が高くなること、認知症があること、口腔清潔・洗顔・洗髪で介助が必要なこと、通所介護の利用者であることが有意にハザード比を高めていた。いずれも認知症との関連が深い項目である。他方、寝返りや起き上がり、座位保持、立位、移乗、移動といった筋力に関わる項目で自立度が低いことは特養入所のハザード比を有意に下げる結果となった。また、通所介護の利用を除くと、他の医療介護サービスの利用は、いずれも特養入所のハザード比を有意に下げていた。【考察及び結論】本分析の結果、中重度の在宅要介護高齢者が特別養護老人ホームに入所する要因としては高齢、認知症及びそれに関連した生活障害があること、女性が有意のものであることが示唆された。他方で、医療ニーズの高い高齢者は入所リスクが低くなっていた。こうした特性を持つ中重度要介護高齢者は特別養護老人ホームよりは医療系施設に入院している可能性が示唆された。
著者
村松 圭司 久保 達彦 藤野 善久 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.305-311, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
11

英国の雇用関連給付には,我が国の傷病給付金や雇用保険に対応するものとしてStatutory Sick Pay, Jobseekerʼs Allowance, Employment and Support Allowanceがある.英国では「福祉から労働へ」(Welfare to Work)のスローガンのもと,つねに労働のインセンティブが働くよう福祉制度改革が行われており,貧困と福祉への依存を解消するために,非拠出制給付を一本化したUniversal Creditという新たな給付方式が2013年から開始となった.また,これまでのフレキシブル・ニューディール政策は廃止され,「福祉から労働へ」施策はすべて「ワークプログラム」にまとめられ,就労を継続することにインセンティブが働くよう労働施策も改革が行われている.