著者
市橋 秀友 渡辺 俊彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.429-437, 1990-08-15
被引用文献数
91

学習型のファジィ制御の一つとして簡略推論を用いた, 最急降下法と逐次学習に基づく制御方式について述べる.これは非線形な逆ダイナミックスモデル(逆系)をファジィモデルとして逐次的に同定することによって出力(制御入力)を理想出力に近づけようとするものである.簡略化によってファジィ推論の数式モデルが多重線形関数で表されることから排他的論理和などのパリティビットの学習や2次, 3次の高次関数の逐次学習にも有効であることを示す.また学習アルゴリズムの収束性を示すとともにファジィパーティションの段階的な細分化を用いた学習則を提案する.これは区分的な多重線形関数で非線形関数を近似する学習方法であり, 区分的な2次, 3次の高次関数で近似することもできる.学習型のファジィ制御の一例としてロボットマニピュレータの制御を取り上げ, ニューラルネットワークモデルを用いる場合とのシミュレーションによる比較結果を報告する.