著者
青野 潤 渡辺 浩毅 東 晴彦 稲葉 慎二 池田 俊太郎 濱田 希臣
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.346-352, 2006

症例は68歳,男性.高血圧と糖尿病で近医に通院治療中であった.2004年8月4日に全身倦怠感を主訴に当科外来を受診した.外来時のトレッドミル負荷心電図でII・III・<SUB>a</SUB>V<SUB>F</SUB>のST低下を認めたため,ATPタリウム心筋シンチグラフィを施行した.下壁の取り込み低下と後期像で同部位の再分布現象を認めたため,9月9日に心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈造影では右冠動脈seg.1の慢性完全閉塞を認めた.ワイヤーをIntermediateからShinobi,Conquestに変更しExelsiorのバックアップ下でワイヤーを通過させた.Sprinter(1.5×15mm)で拡張後,血管内視鏡による観察を行った.病変部はワイヤーによる内膜損傷や小さなフラップが観察された.Seg.1~2にDriver(4.0×30mm),seg.2~3にPenta(3.5×28mm)を留置し終了した.PCI後の内視鏡ではフラップやプラークをステントが押さえつけている所見が観察された.今回われわれは慢性完全閉塞の病変部を内視鏡で観察し得た1例を経験したので報告する.