- 著者
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海鋒 有希子
八木 麻衣子
石山 大介
渡邉 紗都
赤尾 圭吾
桑村 雄偉
大森 慎太郎
太田 明雄
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.4, pp.172-178, 2020-04-30 (Released:2020-04-30)
- 参考文献数
- 28
糖尿病(DM)患者の筋力や筋肉の質(MQ)の低下が指摘されているが,患者背景や身体機能との関連は不明である.本研究の目的は,2型DM患者の下肢筋力および下肢MQの維持・低下に関連する因子を調査し,評価特性の違いを明らかにすることである.対象は当院入院・通院中の2型DM患者のうち,取込み基準を満たす95例(男性67例,女性28例,年齢59.0±14.4歳,罹患歴6.9±8.6年,HbA1c 8.8±2.8 %)とした.下肢筋力及びMQ各々について,維持群と低下群における基本属性・体組成・身体機能を比較し,さらにロジスティック回帰分析にて,維持・低下の関連要因を検討した.下肢筋力には体脂肪率が,下肢MQには10 m最大歩行速度が,それぞれの維持・低下に独立して影響していた.2型DM患者ではMQの方が,年齢や体格の影響を受けにくく,歩行能力を鋭敏に反映する指標であることが示唆された.