著者
出水 力 渡邉 輝幸 遠原 智文 石坂 秀幸 義永 忠一 平塚 彰 向 渝 海上 泰生 出水 純子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

日本企業の海外生産に伴う技術移転問題を、現場・現物・現実の視点に沿い多面的に調査した。アセアンと中国の8カ国で、約100社の個別企業の技術移転の達成度、それを支えた日本のマザー工場の役割を中心に調べた。海外生産は円高と人件費の高騰により、1990年代以降に急拡大した。その多くは大企業の海外展開に隋伴する中堅企業や中小企業であった。海外生産と国内生産を相互に補完することで、個別企業として利益の還流で所得収支を伸ばし、黒字という企業が多い。海外生産の利益が日本経済を支えており、今や生産のみならず開発の一部も海外に進みつつあるのが、現実である。
著者
出水 力 高橋 泰隆 林田 治男 渡邉 輝幸
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

インドにあるホンダ系のアッセンブリーメーカーHMSIと、その関連するパーツサプライヤーを調査した。インド1999年に自動車生産が自由化されたことで、沢山の日系二輪・四輪部品企業が生産に踏み切った。1990年代から発展を遂げた二輪生産のインドと他の東南アジア諸国との大きな違いは、二輪生産の技術的基盤が整った中でスタートが切られた。そのため外資との合弁生産とは別に民族的な二輪企業が自立的に誕生していた。部品企業を育てながら外資に技術と資本を頼るインド、タイなど東南アジア諸国の国産化と違うのが、インドの二輪産業の特徴で台湾の二輪産業に近いと考えることができる。中国の二輪生産で、天津摩托集団はドイツのツンダップの工場設備と製品技術を買収して生まれた二輪では古いメーカーであった。しかし、経営的な行き詰まりからホンダとの合弁で息を吹き返しながら、次なる根本的な戦略を見出せず、その中国側の持分を民営の新大洲摩托に売り払い、新大洲本田摩托(天津)分公司が新たに発足した。上海にある本工場の分工場という位置づけである。部品の調達は上海の本工場が持つ、中国全土に張り巡らされた安く品質の保証された購買ルートに依拠することで、コストダウンを達成していた。新大洲本田摩托(天津)分公司の工場設備のうち工作器械は欧米のものが、日中の合弁が成立する前に導入されていた。この台数が多いのでかなり目がつくが、現在はほとんどの機械類はリプレイスする際には中国製に置き換えられつつあった。中国・東南アジア・インドなどで生産されているローエンドバイクの生産には、高性能な工作機械はコストの点から経験的に不必要なことに依拠している。