- 著者
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二宮 仁志
渡邊 法美
- 出版者
- 公益社団法人 土木学会
- 雑誌
- 土木学会論文集F4(建設マネジメント)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.4, pp.I_93-I_102, 2011
現在,地方公共事業においては,一般競争入札の適用範囲の拡大を進めるとともに,簡易な総合評価方式など,各自治体に実情に応じた入札制度の導入・適応が模索されている.価格競争入札では,応札者の多くが最低制限価格狙いで応札し,くじ引きくじ引きで受注者が決定される工事が頻出するなど,受注社側の品質確保・確実な施工への懸念が高まっている.総合評価方式は,品質確保やダンピング防止等の効果が期待される一方,取引コストの増大は避けがたく,総合評価方式が建築業の中長期経営に及ぼす影響について必ずしも十分に議論されているとは言い難い.本稿は,地方公共団体における「くじ引き」と「総合評価方式」が建築業経営に与える影響・メカニズムについて分析し,その特性と可能性について考察することを目的とする.先行研究において開発した入札・契約・経営シミュレーションモデル(SUMM)を発展させた新たなモデルを構築し,くじ引き入札と総合評価方式について比較分析した.また,地方建築業の健全な経営環境を"正直者"の業者による競争としてモデリングし,入札・契約制度改革の将来像をイメージ・議論する材料の提案を試みた.